問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
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剣閃烈火
さて、マスターたちが場所を借りて戦うことになったのはいいが・・・なぜ私は観客なのだ?
私はマスターの剣なのに・・・
「まあ、見てなって。それに、あいつら程度にスレイブや獅子王どころか、量産型妖刀すら使うのはもったいないよ。
それに、女の子が参加するようなものじゃないし。」
また考えていることが読まれた。
不満そうな顔でもしていたのだろうか・・・?
「それに、あいつらを叩き潰したいんだ。」
「マスターは、たまに戦闘狂になりますよね。」
「マジで?それ、結構いやだな・・・」
「剣としては、マスターのような戦闘狂に使われることは本望です。」
快楽殺人者のようなやからに使われるのは、心の底から嫌ですが。
マスターのように、戦いを楽しんでくれるものになら、いくらでも力を貸します。
「ですが、それではマスターの武器は?」
「これ。俺のギフトから考えれば、結構相性はいいんだよね。まあ、スレイブたちには及ばないけど。」
マスターが見せてくれたのは・・・木の枝でした。
「・・・それでどう戦うのですか?あのクズどもはマスターには遠く及びませんし、負けるとは微塵も思っていませんが、」
「大丈夫だって。負ける可能性とかないし、他にも使うから。」
そういって、マスターはクズどものところに歩いていきました。
「さあ始めようか。スレイブとまだ遊ぶ予定だから、時間はないんだよ。」
「ふん、恥をさらす覚悟をしておくんだな。」
そう言いながら、剣閃烈火からはかなりの数が来ている。
向こうからすれば、アピールのつもりかもしれないが・・・他の観客は“名無し”相手に・・・という空気だ。
まあ、マスターが戦い始めれば変わるだろう。
「ルールの確認に入ります。」
審判を頼まれた一本角のものが、“契約書類”に書かれているルールの確認を始める。
「まず、ノーネーム、寺西一輝が敗北した場合、ダインスレイブは剣閃烈火に移る。」
マスターが負ける可能性などないから、私は承諾した。
「次に、剣閃烈火が敗北した場合、今回のゲームで使った全ての刀剣類を寺西一輝に譲り、無礼をわびる。」
マスターは別にいらんと言ったが、聞く耳を持たずに入れてきた。
「両者、問題ありませんか?」
「ノーネーム、問題ありません。」
「一つ質問をしたいのだが・・・!」
マスターは問題ないといったのに、クズは何かあるようだ。
手短に済ませ。
「どうぞ。」
「では、それは何だ!?我々を侮辱する気か!!」
クズはマスターの持っている木の枝を指差して喚いた。
キサマごときにマスターの考えが分かるわけがあるまい。
「ん?これ?武器だよ?」
「ふざけるな!」
「至極まじめだよ。といっても、他にも使うけど。」
「そうか。ならよい。先ほど得た剣も・・・」
「このチャッカマンを!」
「ふざけるな!!!」
マスターはポケットの中からチャッカマンを取り出す。
私は前にそれを使うところを見たことがあるが・・・
「なるほど、そういうことですか。」
ならばあの枝は・・・確かにマスターには相性のいい武器になる。
「ええい!もういい!さっさと始めろ!」
「は、はい。では、始め!」
審判の合図とともに、クズどもはマスターを取り囲み、各々の剣を抜く。
そして、マスターの持つ枝からは・・・水が出てきて、マスターの周りを漂い始める。
マスターの持っていたのは、水樹の枝。
そして、マスターのギフトを使えば・・・
「発射!」
相手の持つ剣を、同時に全て弾くことも可能だ。
「な、」
「まず五人。」
そして、マスターはがら空きにあったところに水の弾を撃ち込み、気絶させる。
音から、一切、骨を折っていないようだ。
私なら、腕の一本ぐらいは切り落とすが、マスターは優しいですね。
「さて、まだやるかい?」
マスターが残っているクズどもに言うと、そいつらは新たな剣を取り出す。
今のを見てもなお、勝てると思っているのだろうか?
「全員、かま」
「えられるかな?」
マスターはチャッカマンの火をつけ、それを槍の形に、大量に作る。
同じだけの水の槍も出来ており・・・
「一声掃射!」
それを一気に放った。
容赦なく、剣すら構えさせません。
「これで・・・残り一人か。」
土煙が晴れると、立っているのはマスターとクズどものリーダーの二人だけ。
クズのほうは吹くは土まみれで、息も上がり、元いた位置からはかなり離れているが、マスターは対照的に服は綺麗で息も整い、元いた位置から一切離れていない。
分かりやすく、マスターの強さが現れています。
「さあ、まだやる?」
「・・・ああ。俺は、貴殿との一騎打ちを申し込みたい。」
なんだか口調が変わっているのだが・・・先ほどまでのことを覚えているのだろうか?
「無論、このようなことが出来る立場ではないことは重々承知。しかし「いいよ。」これほどの実力者にって、え?」
クズは驚いた顔でマスターを見る。
「どうせ結果は変わらないし、たまにはこういうのもいいしね。さっさと構えなよ。」
マスターは倉庫の中からなんでもない、ただの日本刀を取り出し、鞘から抜く。
「・・・感謝する。」
そして、クズも新たな一振りを取り出し、構える。
「じゃあ、いくぞ!」
マスターは日本刀を手に持ち、そのまま駆ける。
「ふん!」
クズはタイミングを合わせて剣を振るうが、それは日本刀に受け止められ、受け流される。
「はい、おしまい。」
そして、バランスを崩したところにマスターの剣が打ち込まれ、クズは気を失った。
「勝者、ノーネーム、寺西一輝!」
その圧倒的な力を目の当たりにし、観客は言葉を発せずにいた。
うん、実によい反応だ。
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「この度は数々の無礼をお詫びさせていただきます。」
「「「「「「「「まことに、申し訳ありませんでした!」」」」」」」」
クズどもは全員がおきると、全員そろって土下座をした。
マスターは面倒くさそうにしているが・・・ここまで変わるものなのか。
「こちら、我々の使っていた」
「いらん。さっさとしまえ。」
マスターは言葉をさえぎり、そう言う。
クズどもは驚いているが、まあ、今回は使うだけの時間がなかったが、それなりに強い恩恵を宿しているものもあるのだ。そうなるだろう。
「ですが、ルールでは、」
「じゃあ、お前らにやる。俺には、」
というと、マスターが手を握ってくるので、私は剣の姿になる。
そして、ギフトカードから獅子王も取り出し、二刀を構えると、
「こいつらがいるからな。その程度をもらっても、邪魔なだけだ。」
「・・・ありがとうございます。」
クズどもは、再び土下座した。
マスターが獅子王をしまうので、私も人の姿に戻った。
「もういいから。暑苦しいから。」
「我々、あなたに忠誠を」
「誓うな。」
結局、そいつらはマスターのことを師父と呼ぶようになり、その場を去った。
「面倒なやつらだな・・・出来ればもうかかわりたくない。」
「そうですね。」
本当に、かかわりたくない類の連中だ。
さて・・・そろそろ問いただすべきですね。
「少し移動しませんか?かなり人も集まってきましたし。」
「だな。どこか行きたいところある?」
「そうですね・・・ではあちらに。」
私は、サラから聞いていた露店が一切出ていない、人気のない高台を指差す。
「ん、じゃあ行こう。」
話したいことがありますし、それを考えると人気はないほうがいい。
あそこはばっちりだろう。
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