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ベイサイドの悪夢

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第四章

「ここは」
「真夜中の港のことについてローザンヌファミリーが関わっていることは間違いないですね」
 キッドニーも鋭い目で言う、二人共署内の密室にいて話す。
「これは」
「そうだな、絶対にな」
「やばい相手ですね」
 ローザンヌファミリーの危険さを知っているが故の言葉だ。
「これは」
「そうだ、まさかと思うが」
 それでもだとだ、ここで言うホイットマンだった。
「警察の中にローザンヌファミリーと癒着している人間もな」
「いないとも限らないですね」
「よくある話だ」
 警察とマフィアの癒着、それはというのだ。
「アル=カポネもシカゴの警察を抱き込んでいたからな」
「そうですね、じゃあ」
「警視は大丈夫だ」
 二人の上司である日系人の彼はというのだ。
「そして署長もな」
「お二人は清廉ですからね」
「ああ、だからな」
 この二人については安心していい、ホイットマンは言う。
「お二人には話をしてな」
「そうしてですね」
「慎重に話を進めていくべきだ」
 その捜査をだというのだ。
「そうするぞ」
「じゃあまずはお二人にお話をして」
「港自体の捜査もする」
 真夜中のそこもだというのだ。
「わかったな」
「そうですね、じゃあ」
「相手は手段を選ばない、警官でもな」
「見つかればですね」
「今度は私達がああなる」
 首なし死体、それにだというのだ。
「怪物ではなく彼等が港にいるのならな」
「それならですね」
「首なし死体になりたいか」
 ホイットマンはにこりともせずキッドニーに問うた。
「その時は」
「まさか、そんな筈がないですよ」
 キッドニーはいつもの軽口になって口の端を歪めさせて笑って返した。しかし目は笑いきれてはいなかった。
「死ぬのなら可愛い娘に抱かれてですよ」
「近々結婚するらしいな」
「ええ、この事件を終わらせて警部になったら」
 その時にだというのだ。
「プロポーズするつもりです」
「ならいいな」
「はい、首なし死体にはなりませんよ」
 絶対にだというのだ。
「それは警部もですよね」
「警視になったらどうしてくれるか、妻が言った」
「何てですか?」
「最高のパーティーを開くとな」
 一家でだ、それを開くというのだ。
「そう言ってくれた」
「それもいいですね」
「だからだ、私にしてもだ」
 今回の捜査でどうにかなるつもりはない、こう言うのだ。
「生きる、そして昇進してみせる」
「お互いにそうしましょう」
「それではな」
 まずは警視と署長の信頼出来る二人に話した、すると。
 警視は署長と彼等の間で話したうえでだ、二人にあらためてこう話した。場は署内の密室だ、やはり署内にファミリーのスパイがいることを警戒しているのだ。
 その場でだ、彼は二人にこう告げた。 
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