ジャッジ
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第三章
ファン達は怒った、そしてだった。
「あいつ等、何て奴等だ」
「そこまでして勝ちたいか」
「スポーツを何だと思ってるんだ」
「あれがあいつ等か」
怒りに身体を震わせての言葉だ、そして。
某国は勝ち進んだ、本来なら絶対に勝てないであろう相手にこれまた絶対に有り得ないであろうジャッジを受けていってだ。
そして準決勝まで進んだ、めでたく四強となり大会を終えた。
某国はこのことを自国の誇りだと盛んに喧伝した、だが。
ファン達は怒りで身体を震わせたままだ、こう言うのだった。
「あの国は絶対に許さないからな」
「ふざけたことしやがって」
「あんなの負けだって認められるか」
「あの審判何だ」
「買収されやがって」
「金でスポーツを冒涜しやがったな」
良識ある者達は皆怒った、それでだった。
遂にだ、この言葉が出た。
『くそったれ、とんでもねえホスト国が』
この言葉を書いた垂れ幕が出たのだ、尚原文は英語である。
某国の評判は落ちた、そして買収された審判も。
まさに札付きの男となった、誰もが憎み軽蔑した。このスポーツの歴史において忌まわしい一ページが刻まれた。
だが某国は誇りと喧伝し続けた、しかしどの国もこの国と試合をしないようになった。これが何よりの証拠だった。
某国の理事長も理事達もこの事態に喜ぶ、そして今も密室で話すのだった。
「成功したな」
「はい、そうですね」
「我が国の名声をあげました」
「見事四強になりましたな」
「出来れば優勝したかったですが」
「そうだな、より金を使うべきだったか」
理事長は少し後悔しながら言った。
「そうすれば優勝もな」
「出来たかも知れないですね」
「あの二国相手も」
「結果が全てだ」
何事もそうだというのだ。
「その結果を出す為にはだ」
「はい、ああした金も使い方もいいですね」
「我が国の名声の為には」
「スポーツとは何か」
そうした話もするのだった。
「勝って誇りを手に入れることだからな」
「我が国の、ですね」
「その為のものですから」
「ではまたしよう」
金を使ってそしてだというのだ。
「他のスポーツでもな」
「ですね、それでは」
「これからも」
彼等だけはこう考えていた、しかし他の国々はもうわかっていた。それだけ忌々しいジャッジだったからこそ。彼等だけがこのことをわかっていないまま続けていくのだった。
ジャッジ 完
2013・6・23
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