ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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東方舞踏会
ディスガイズセットによる仮装も恙無く(?)終わり、イベント開始時刻まであと10分ほどになっていた
「イベント内容の確認でもしようか。ユイ、頼む」
「にぃ、わかりました」
俺の肩に座っていたユイはふわりと浮かび上がると、俺達が囲んでいる机の上に軽やかに降り立つ
「イベントは、単純なダンジョンアタックです。参加条件は本日、10月31日の午後六時にディスガイズセットを使った状態で屋内にいること。パーティの上限は決まっておらず、閉鎖された一部屋内のすべてのメンバーがパーティメンバーとなります。ダンジョンは各パーティに一つずつ用意されており、敵分布や敵の強さは人数や平均レベルによって変化します。ダンジョンアタックの様子は上空に展開されているスクリーンで実況されています」
そこまで説明して、ユイは一息付くと俺の肩に戻ってくる
……ちなみに反対側の肩にはリーファが座ってたりする
「どうやってダンジョンまで行くんだ?」
「自動転移だそうです」
「そうか、ありがとうユイ」
そして降りる沈黙の帳
開始時刻までまだ十分弱あるからそのまま待てばよいのだが、耐えられない男が約一名……いや、二名
「そういえばよォ」
そのうちの一人、クライン(もう一人はキリト)が俺を見ながら口を開いた
「おめェの吸血ってどこから吸うんだ? やっぱ、首筋か?」
「そうだな……」
特殊技能、吸血の解説のところにはそんなことを書いてなかった
「やってみる?」
シノンは座っていた椅子から立ち上がると俺の膝に座る
俺はかなり背が高いので、女性として平均的なシノンが俺の膝に座るとすっぽりとおさまる
俺の位置からシノンを見下ろすとうなじと白い肌の首筋がよく見えた
「あ……ん……リ、リン! 首に息がかかって……く……くすぐったい……」
「おっと、すまない」
どこに噛み付くべきか考えていたのだが、息が首にかかっていたらしい
……まあ、一思いにやってみるか
「なんか……絵的に危なくないか?」
「くそっ! リン、俺様と変われ!」
「ボクもやって欲しいかな」
外野の会話はスルーする方向で
外野の会話から耳を塞ぎつつ、思い切ってシノンの首筋に歯を突き立てた
「ふわっ!?……ひゃう……り、りん……」
口の中を甘い味が広がる
どうやら多くの創作物と同じように吸血されると快感が走るようでシノンは嬌声をあげた
とはいえ、キリトやクラインにはあまり見せたくないので、すぐに首筋から口を離した
「……リン……」
欲情に濡れた瞳で腕の中から俺を見上げてくるシノン。少しぐらついたが、今からイベントだ。そう自分に言い聞かせる
「なんだ、やらねェのか」
「死ね」
シノンを見て前屈みになっているクラインを後で絞めることを心のメモ帳にメモをしておき、腕の中のシノンの頭を撫でる
シノンは先程の自分が全員に見られていたことに気づくと羞恥で顔を赤くしている
「そろそろ時間だぞ?」
シノンが喘ぎ始めるときからアスナに目を塞がれていたキリトが時計を見ながらそう言った
「わかった。じゃあ、シノン。すまんが降りてくれ」
「う、うん……」
顔の赤さがまだ引かないものの、シノンは素直に頷くと立ち上がった
「あ、転移される時立っていた方がいいみたいですよ?」
ユイの忠告に全員が立ち上がった
俺は立ち上がると軽いストレッチをしながら時計を見る
あと一分もないくらい
「じゃあ……ハロウィンイベント、楽しもう!」
「おー!」
キリトの音頭に合わせて全員が手を挙げると同時に目の前に転移する旨の警告タブが浮かんだ
その十秒後、若干の浮遊感とともに視界が切り替わり、俺達の目の前には暗い闇に沈んだ森の中にいた
「暗いな。暗視が全員にあった時点で予想はしていたが……」
「いつもより間合いが取りにくいね」
手近な木に箒で打撃を与えつつ魔女(アスナ)はそう言った
……魔女(アスナ)は後衛じゃないのか?
「森ってことは火属性魔法は厳禁?」
「まあ、控えた方がいいかもな。敵が集まってきそうだ」
真面目に論議する幽霊(リズベット)と狼人間(キリト)。ちなみにどちらも魔法は使えない
「なかなか雰囲気がありますね……ね、ピナ」
不安をごまかすためかペットのピナと会話する吸精鬼(シリカ)。何度も言うが全く色気を感じない
「やべ……包帯がズレて前が見えねェ……」
「なら僕が巻き直そうじゃないか」
おじさん二人はほうっておくとして
「雰囲気あるねー。ボク、お化け屋敷なんて行ったことないからワクワクするなー」
「私も行ったことないけど……。こういう時は彼氏に抱き着けばいいんだったかな?」
「あ、じゃあ私もそうする!」
「別に怖くないだろ……」
右からシノン、左からユウキ、首筋にリーファだ抱き着いてくる
嬉しいのだが動きにくい
多少の悪ふざけを挟みつつ、暗い森の中を探索する
出現する敵は、浮かぶパンプキンヘッドや蝙蝠、幽霊などハロウィンらしいのが登場するが、こちらは百戦錬磨のSAO攻略組四人(キリト、アスナ、リン、クライン)に中層とはいえSAO生還者である二人(シリカ、リズベット)、GGOのトップランカー(シノン)と戦闘センスならSAO攻略組を上回る少女(ユウキ)……このメンバーが揃っているのだ
武器が変われど、その戦闘経験や戦闘センスは変わるものではない
最初は多少間合いの違いに戸惑ったものの、二、三体の敵を狩る頃にはすっかり微調整も終了していた
役人(クリスハイト)?いたか?そんなやつ
「さすがにこのメンバーだと道中の敵はただの雑魚か」
「まあ、アインクラッド攻略とかじゃなくて誰でも参加できるイベントクエストだもんね。私たちの平均レベルもそれほど高いわけじゃないし」
SAOのレベルや能力引き継ぎ組(アスナ、リン、クライン、シリカ、リズベット)は高いし、ALOのベテランであるリーファは高いものの、低レベル組(キリト、シノン、ユウキ、クリスハイト)もいるため相殺されている
故に敵の強さもさほど高くない
「なんていうかよ……物足りねェなぁ」
「ボスに期待しようか……っと、どうやら着いたみたいだな」
いきなり森が開けたところに建っていたのは薄暗い古ぼけた洋館
外壁は血のように紅く朱く染まり、いやがおうにも緊張感が高まる
「如何にもってとこじゃねェか……」
「大丈夫か、クライン。震えてるぞ?」
「へっ、武者震いだよ武者震い」
キリトの質問に親指を立てて答えるクライン。時折忘れそうになるが、クラインも戦闘経験豊富な古強者なのである。見えないが
「それにしても、何が出てくるんだろうな。洋館から察するに、御同類(吸血鬼)か?」
「私の同じ(魔女)って可能性もあるかな」
「まあ、入ってみればわかるだろう」
洋館の扉をキリトが勢いよく開く。扉は予想を裏切ってなんの音も立てず、滑らかに動いた
そして、開くと同時に中から夜の森よりもさらに冷たい空気が漂ってきた
それはまさしく
―――プレッシャー―――
「この先に間違いなくいるな」
「そうだな……。基本はいつもと同じでいいか?」
キリトの言葉に全員が頷く
そして、アスナとクリスハイトがバフをかけて準備完了
「行くぞ!」
キリトの言葉と同時に全員が同時に洋館の中に走り込んだ
洋館の中は扉が一つあり、さらに巨大な窓があった他は何もない円形状の空間があった
警戒しつつ部屋の中程まで入ると突如後方から巨大な音が響いたので振り返ると、入ってきた扉が閉まっていた
「出入り口が!」
「どうせ、逃げるつもりはない。それに……来たみたいだぞ」
俺を含む探索スキルを持っている面々は気づいていた。この円筒状の部屋の上方、この洋館のように紅く染まった満月が見える窓の側に小さなエネミー反応があるのを
「今日は月が綺麗ね」
翼を羽ばたかせ、月の光に映し出されたのは小さな身体。白いスカートに白い服。胸元には紅いリボンが結ばれている
顔は非常に整っており、幼いながらも気品さが漂っている
蒼い髪の上には服と同色の帽子を被り、微笑みを浮かべて飛んでいた
しかし、俺達が彼女を侮るなんてことはしなかった
あんなにも巨大な静かな殺気を感じ取れないような素人はここには存在しないのもそうだが、彼女の上に存在するアイコンが最たる理由
《The Vampire Princess》
吸血鬼の姫を冠する少女は優雅に微笑んだ
後書き
何故か出てきてしまった東方Projectのレミィことレミリア=スカーレットさん
実は私はフランの方が好きです
出ないけどね!咲夜さんも美鈴もパチェも出ないよ。出すと文字数が番外編じゃなくなってしまうから
ハロウィンで何を出そうか悩んでいたところ、イメージとして出てきたのが彼女でした
一応、言っておこう。この作品のおぜう様と東方Projectのおぜう様は別人です。似ていたとしてもそれは他人の空似ですのでご了承くださいw
あと道中はすべてカット。理由はただの弱い者イジメになるから
まあ、レミリア戦は派手に行くつもりなので、溜飲を下げてくださいな
最初だけレミリアにカリスマを注入しております。ただ、カリスマ☆ブレイクとまではいかないものの原作と同じような口調にはなりますね
BGMは亡き王女の為のセプテットでも再生しといてください
そういえばこのBGMのタイトル、ピアノの名曲、亡き王女の為のパヴァーヌに酷似しているんですが……どう思います?
ではでは、次回もお願いします。うー☆
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