八条学園怪異譚
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第四十三話 白蛇その十一
「いい人だからね」
「というか先輩から見ても変わってる人って」
「凄い人なんですね」
「私からっていうところは余計よ」
愛実のその言葉にはこう返す。
「とにかくね」
「はい、次の場所もですね」
「決まりましたね」
「それで今はね」
先のことも決めてだ、今の話に戻る。
「行くわよ、今から」
「はい、じゃあその洞に」
「行きましょう」
こう話して三人でその祠に向かおうとする、うわばみもまた。
同行するがその姿はというと。
「ううん、白蛇のままなのね」
「そのままなのね」
「大きいとこうした狭い場所では動きにくいからな」
それで白蛇のままだとだ、うわばみは二人に答えた。
「だからだ」
「まあ十メートル以上あったらね」
「あちおちぶつけたり壊したりするしね」
「それだけで大変よね」
「それでなのね」
「こうした時はこの姿でいるのじゃよ」
こう二人に話す。
「だがじゃ」
「だが?」
「だがっていうと?」
「いや、わしは洞に入ることは出来ないからな」
それは出来ないというのだ、そのことには理由があった。
「妖怪だからな」
「ああ、妖怪さんが入ったらね」
「記憶がなくなるからね」
行き来の時の記憶がだ、妖怪や幽霊はその辺りが生物学的な意味での人間とは違うのだ。それでうわばみは洞には、というのだ。
「あんた達で言ってくれ」
「ええ、じゃあね」
それではとだ、茉莉也も応える。そうしてだった。
三人はうわばみと共に洞の前まで来た、その前には神式に縄や祓いの棒等が置かれている。茉莉也はその縄等を前にして二人に話した。
「これうちの神社がやってるのよ」
「こうしたお祓い、いえお祀りをですか」
「されてるんですか」
「そうなのよ、神社だからね」
こうしたことは専門だというのだ。
「それでなのよ」
「ああ、だからですか」
「それでなんですか」
「そうなのよ、これはお兄ちゃんがしたのよ」
茉莉也の兄であり神社を継ぐ彼女がだというのだ。
「これもお仕事のうちなのよ」
「ううん、神主さんも忙しいんですね」
「お祓いとか以外のお仕事もあるんですね」
「そうなのよ、まあとにかくね」
「はい、今からですね」
「洞の中に入って」
本題に進んだ、そしてだった。
まずは茉莉也が縄を外した、それからだった。
祠の中に足を踏み入れた、続いて二人も。
祠の中に進んでいく、洞は三人が少し屈めば頭がぶつからない程の高さだ。その高さの暗い洞の中を進んでいくと。
暫くして奥に来た、目の前には行き止まりがあった。
その行き止まり、土のそれを観てだ、茉莉也はこう二人に言った。
「はい、次ね」
「そうですね、次ですね」
「次に行きましょう」
二人も茉莉也の言葉に応える。
「魔女の先輩のところですね」
「そこに行くんですね」
「そうよ、魔女っていうのもね」
巫女としてfだ、西洋の魔女のことを話すのだった。
「面白いから」
「面白いんですね」
「そうなんですね」
「そうよ、元々魔女は巫女の流れを汲んでるのよ」
行き止まりを見てから引き返す、その中で二人に話す茉莉也だった。
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