BALDR SKY
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17奴が出た!
軍基地内で、何時もの仕事を終えてダイブ用のベッドから起き上がる。直ぐにリーナが飲み物とタオルを運んできてくれる。
「どう考えても、忙しすぎるよな」
「あははは、そうですね。あっ、また仕事です。スラムD地区で少女がゲリラのシュミクラムに追われているそうです」
「わかった。行ってくる」
ネットの治安を守る為に戦力を投入しまくっている。最初は良かった。だが、しばらくするとブラックロッジの幹部連中が表に出て、カルト教団とかと組みだした。それによって、相手の戦力は拡大し、こっちの戦力は少ない状態で北欧中に戦火を広げやがった。GOATの部隊はまだ準備できてないらしいので、完全にこっちに丸投げだ。
「現在、155名で維持していますから、ましになってますので頑張ってください」
「了解」
ナズーリンランドに回している兵力も回収してこっちに投入している。ナズーリンランドはドローンの警備体制を敷いて、カティアのクローン3姉妹やエクセラ、ヴェローチェを筆頭に元電脳症の子達にナイチンゲールかエピオンを選ばせて与え、働かせている。元電脳症の子達はナイチンゲール3体にエピオン2体の組み合わせで叩かせて居る。ブラックロッジの幹部機体がでない限り、戦力自体は平気なのだがな。
「ダイブする」
「はい、いってらっしゃいませ」
【ダイブ】
スラムに到着した俺はシュミクラムに移行している。今回、利用するシュミクラムはザンダブルオーガンダムだ。ただ、色を青から赤に変えている。
『通報があったのはその地点から南西に50キロの地点です。現在、対象は南に移動中です』
「了解。これより、目標に向かう」
OOで上空を飛びながら全速力でジャミングを発生させるG粒子もどきを発しながら飛んで行く。そして、見つけたのがでかいシュミクラムだった。ドラム缶のような円形の胴体にドリルの腕を生やし、四本足をしてシュミクラム。ドラム缶丈夫にはバルカンかレーザー砲が取り付けられている。
「ヘーイ! そこの娘さん、大人しく吾輩に捕まるのであるっ!! じゃないと、蜂の巣になっちゃうのである!」
バルカンを撃つ5メートルクラスの巨大シュミクラム。取りあえず、割り込んでGNバスターソードIIIを合体させることで巨大な両刃の剣にしてガード。その間に襲われている少女を確認する。長めの銀髪に翡翠のような綺麗な瞳。
「こちらはGOATから委託を請けているPMCだ。どんな事情があるか知らないが、保護させて貰う」
「お断りよっ!」
逃げようとする捕獲する為に手を伸ばそうとするが、邪魔が入る。いや、邪魔しているのは俺か。
「ヘーイ! そこなシュミクラムっ! おとなしくその娘を我輩に渡すのであるっ!」
急に映像が現れた。そいつはムキムキな身体に白衣を着た緑色のキモイ男。手には赤いギターを持ち、かき鳴らしている。
「誰だお前」
いや、知っているけどあえて言わないと!
「何と!? 我輩を! 一億年に一度と呼ばれた天才科学者たる、このドクター・ウェストを知らないっ!? ななななななな何たる無知! 無知とは罪!無知とは悲劇! 悲しみと絶望に彩られた君の人生は喩えるならば、この手のひらに舞い降りた儚い淡雪……雪がすべてを白く埋め尽くす……僕の悲しみも何もかも……ゴゴゴゴゴゴ……
何? 何が起こったの? な、雪崩れ!? ギャー!」
わざわざツッコミまで自分でしてくれたぞ、この馬鹿。
「まあ取りあえず、こちらはGOATより委託されたPMCだ。大人しく除装を行い、投降せよ」
「若者よ、どうしても我輩の邪魔をするというのなら死して我輩とブラックロッジの糧となるのがモアベターな選択と言えよう! 貴様の死を乗り越えて、我輩はまた少し大人になった! さらば、少年時代! 一夏だけの淡い恋心! アイム・ロッケンロール!」
「AP、投降する気がないようだ。追われていた少女を……って、いないな」
『こちらで既に追跡しています。そちらは出来れば確保してください』
「了解」
振り下ろされるドリルを右に避ける。すると、もう片方の手のドリルをこちらに接近させてくるので、GNバスターソードIIIを分離させて、飛び上がりざまに一閃して、片手ずつで相手の両手を斬り落としてやる。そして、蹴りをかまして吹き飛ばし、足を切断する。普通ならこれで終わる。だが、相手はあのドクターウエストだ。
「ドクタァァァァァァァァァァ――ッ・ウェェェェェェェェェェストッッッッ! 先程はちょっぴり油断しただけであり、まあ、そんなドジっ娘なところが萌えと言うか。だけど、とっても努力家で、ひたむきにガクシャタで真っ直ぐな我輩が好き。くくくく……委託PMCとか言っておったな! この天才!ドクター・ウェストが味わった屈辱! 倍返しにしたうえにお釣りは取っといて貰うとしよう! レッツスイッチオン!」
デカブツから何かが飛んでいき、デカブツが少しすると大爆発を起こした。どうやら、飛んでいったのがドクター・ウエストのシュミクラムのようだ。
「AP、追えるか?」
『駄目です。既に移動を多数行い、追いきれません。それと、少女の方も撒かれました。申し訳ございません』
「データは?」
『そちらは確保してあります。少女の方は少しすれば特定は可能です』
「なら問題無い。これよりデカブツを回収して帰投する」
『了解。離脱プロセスを開始します』
さて、おそらく少女はあの子で、ドクター・ウエストが関わっているって事は普通とは違うのか?
まさか、あの子がアル・アジフの代わりなのか?
いやいや、有り得ないだろ。まあ、どうなるかな。
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