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転生とらぶる

作者:青竹
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魔法先生ネギま!
  0418話

「……お疲れ様でした」

 闘技場から出た俺を出迎えたのは、いつものリュボース……では無く、年齢詐称薬の効果が無い、普通の状態のあやかと千鶴の2人だった。
 あやかはそう言いながら冷たいお茶の入ったコップを、千鶴はタオルを手渡してくる。
 その2つを受け取り、汗と土や血を拭いて冷たいお茶を飲んで一息吐く。

「で、どうしてお前達2人が? いや、出迎えてくれるのは嬉しいんだが」
「リュボースさんが譲ってくれたのよ。折角優勝したんだから、今日は私達にどうぞって。……気遣いの出来る人っていいわよね」

 気遣いねぇ。どっちかというと、俺に構っているよりもキズクモ代表が優勝した熱が冷めないうちに色々と動き回ってると言われた方がしっくり来るが……まぁ、その辺は言わぬが花か。

「で、お前達がこっちに来たって事はネギ達の方には?」
「ええ。アスナさん達や夏美さんが向かってますわ」
「……あんな激しい戦いだったのだけど、無事で良かったわ」

 どこか浮かない顔をしている千鶴。心根が優しい影響もあって、やはり戦いは苦手なんだろう。

「アクセル君、一応聞きますがネギ先生と小太郎君は大丈夫なんですよね?」

 あやかにしても顔見知り同士の戦いとあってやはりその辺が心配だったのか、心配そうな顔で尋ねてくる。

「ああ、問題無い。この大会は魔法世界中からの注目を受けてるおかげで腕のいい治癒術士が揃っている筈だからな。それよりも心配なのは……」

 呟き、戦闘の時のネギの様子を思い出す。
 恐らく、相当に闇の魔法に対する適性があったのだろう。魔法世界に来てから闇の魔法を習得した筈だが、恐ろしく馴染んでいるように感じられた。闇の魔法に馴染む。それはつまり、闇の魔法を使いこなせるようになるという意味だが、同時に闇の魔法による侵食も問題になってくる。俺の場合は襲ってきた精霊の魔力やあやか達の『念話』による呼びかけ。そして何よりPPという要素があったから何とかなったが、ネギの場合はそれが致命傷になりかねない。一応オスティアに来た時にその辺は言ってあるんだがな。

「アクセル君?」
「いや、一度ネギと話しておいた方がいいと思ってな。それよりもこれからどうするか聞いてるか?」
「それならネギ先生達が勝ってもアクセル君が勝っても、今夜は優勝パーティをやるって皆で騒いでたわ。ただ、ネギ先生達が参加出来るかどうかは微妙だけど……」
「こっちに来てないって事は近衛もあっちに向かってるんだろう? 近衛の治癒魔法の腕があればあの程度の傷はそれこそこの闘技場付きの治癒術士よりも余程信頼出来るだろうよ」

 何しろ治癒魔法で重要なのは術式に関してもそうだが、魔力の大きさで力押し出来るという事がある。多少の魔法の慣れ、不慣れ何てものは近衛の魔力があれば殆ど問題にならないだろう。 

「それより俺も念の為に控え室で千鶴のアーティファクトを使って回復して貰いたいんだが構わないか?」
「ええ、元々私もそのつもりだったから問題無いわ。じゃあ行きましょうか」

 そうして、あやか、千鶴の2人と共に控え室へと向かう。

「あら、お早いお戻りですね」

 控え室に入った俺を出迎えたのは、リュボースだった。ここで遭遇するとは予想外……と言う訳でもないのか?

「リュボース、何でここに? てっきり闘技場関係の事で動き回ってるとばかり思ってたんだが」
「はい、その通りです。ですが、マネージャーとしての仕事もきちんとやらないといけませんしね」
「マネージャーとしての仕事?」
「ええ。これをお渡ししないといけませんので」

 そう言ってリュボースが視線を向けた場所にはかなり大きいボストンバッグのような物が置かれていた。

「これは?」
「大会優勝の賞金です」
「……普通そういうのは表彰式とかで渡されるんじゃないのか?」
「そういう大会もありますが、ナギ・スプリングフィールド杯はあくまでもオスティア祭の出し物の1つという事になってるらしく、別個に表彰式等はありませんね」
「で、賞金もこうして渡される訳か。……さすがにちょっと予想外だった」
「とにかく、これが賞金となります。私の方は色々とやるべき事があるのでそろそろ失礼してもよろしいでしょうか?」

 邪魔をしたらどうなるか分かってるでしょうね、とでも言いたげな視線を送ってくるリュボースに苦笑を浮かべながら頷く。

「ああ、色々と世話になったな。マネージャーの仕事はこれで終了って事でいいのか?」
「そうですね。一応明日はオスティア祭の舞踏会がありますが、別に強制参加ではないので賞金首であるアクセルさん達は参加しない方がいいでしょうし……恐らくこれで終了となります」
「そうか、色々と助かった。また何か機会があればよろしく頼む」
「こちらとしては今回みたいな冒険はあまりしたくないんですが。……アクセル・アルマーさん。この度はキズクモの代表としてナギ・スプリングフィールド杯の優勝という栄誉を勝ち取ってくれた事、非常に嬉しく思います。ありがとうございました。……本来なら大会の優勝者であるアクセルさんと一晩くらいは共に過ごしたい所なのですが……」

 そう言い、チラリとあやかと千鶴へと視線を向ける。
 そこではリュボースを警戒の眼で見ているあやかに、あらあらと笑みを浮かべている千鶴の姿があった。……まぁ、リュボースはその無表情さが印象に残るが、理知的な美人で仕事の出来る女って感じだしな。……多少身体のボリューム不足ではあるが。いや、この場合はスレンダーとでも表現すべきか。

「ご覧の通り、どうやら私が入り込む隙間は無いようです。なので残念ですがここでお別れとさせて貰います」

 その無表情な顔に、僅かな微笑を浮かべて優雅に頭を下げてから俺の横を通り過ぎ……そして、ふと何かに気がついたかのように振り向いてくる。

「あ、そうそう。せめてこれくらいはいいですよね?」

 そう言い、有無を言わさずに近付いてくるとそのままあやかに見せつけるかのように俺の頬へと口付けをし、そのままさっさと控え室を出て行く。
 その様子を唖然と見守っていたあやかはリュボースが控え室から消えた所で我に返る。

「きーっ、油断してましたわ! アクセル君も唇にではないとは言っても何で受け入れてるんですか! 避けるなりなんなりして下さいまし!」
「いや、そう言われてもな。ご覧の通り殆ど身動きも出来無い状態でどうしろと」

 部屋の入り口付近にいる俺だが、その横にはあやかが立っており同時に後ろには千鶴の姿がある。前からこっちに向かって来たリュボースからの不意打ちをどうしろと。

「ほら、あやか。もうリュボースさんは行ってしまったんだから。今のはお別れのキスみたいなものよ。あまり気にする必要はないでしょう?」

 興奮しているあやかを宥める千鶴。苦笑しながらその様子を見ていると、やがてその千鶴が咎めるような眼でこっちを見てくる。

「アクセル君も、ああいう時は注意しないと駄目よ?」

 子供に言い聞かせるような口調に多少調子を狂わされながらも一応頷いておく。……一応、俺はお前達よりも年上なんだがな? いや、確かに千鶴は年齢に見合わない包容力が……

「アクセル君? 今何か妙な事を考えなかったかしら?」
「いや、別に何も」

 そして第六感とでも言うべきこの鋭さ。……本当に念動力とか持ってるんじゃないだろうな。
 その後は千鶴の虹色領域の腕輪を使い、自動回復効果のある橙の領域で10分程回復してから優勝パーティの会場へと向かうのだった。





『アクセル君、優勝おめでとー!』

 パーティの会場へと入った俺達を出迎えたのは、そんな声だった。
 現在廃都に向かってる者以外のほぼ全てが集まったパーティ会場。ネギや小太郎、あるいは3-A関係者がいるのは当然として、トレジャーハンター4人組がいるのもいいとしよう。色々と世話になったし。だが……

「何でお前がいるんだ?」

 色々と山盛りになった料理を貪り喰っているラカンへとそう声を掛ける。

「あん? 別にいいじゃねーか。そもそもこのパーティの資金を出してるのは俺だぜ?」

 鶏のモモ肉のように見える料理にかぶりつき、ビールっぽいものを飲み干しながらニヤリと笑みを浮かべるラカン。

「……そうなのか?」

 チラリ、と長谷川の方へと視線を向けると不承不承ながら頷く。

「ああ、正真正銘このおっさんの奢りだ」
「金にがめついって話を聞いてたんだが……」
「はっはっは。確かにそれは事実だが、折角稼がせて貰ったんだ。多少は還元しないとな」
「……何?」

 稼いだ? 俺を使って? それを聞かされて思いつくのは1つしかなかった。

「俺に賭けたのか?」
「そういう事だ」
「……いや、賭けるなとまでは言わないが、せめて自分の弟子に賭けてやれよ」
「いや、そもそもぼーやはそこの筋肉馬鹿の弟子ではないぞ。どちらかと言えば私の弟子だろう」

 ……ん? 妙に聞き慣れた声が……
 その声のした方へと視線を向けると、そこにはなにやらボロ布を身に纏った金髪幼女の姿があった。

「エヴァ!? お前、どうやって麻帆良の外に……いや、違うな。エヴァじゃない、のか?」

 そんな俺の台詞に、感心したように頷くエヴァ……らしき存在。

「ほう、さすがに私の技術をぼーやよりも先に身につけただけあって目端が利くようだな。そう、確かに私はエヴァであってエヴァではない。いわば複製体のようなものだ」
「複製体?」
「ああ。ぼーやが闇の魔法を身につける為に使った巻物。それに宿っている精霊と言ってもいいだろう」
「……あぁ、なるほど。道理で覚えのある気配だと思ったら……」
「ふふん。その様子だとお前、試作品の方の巻物で闇の魔法を習得したのだな?」
「そういう事だ。確かにエヴァはプロトタイプでない方は繰り返し使えるとか言ってたが……まさか、自分の分身を仕込んでいるとはな」
「……奴は、お前に闇の魔法を教えた方の巻物は満足して逝ったか?」
「ああ」
「そうか。……試作品とは言え、私にとっては兄や姉のような存在だ。それが聞けただけ……」

 エヴァのコピーが満足そうにそう告げた時、唐突にパーティ会場の中へと声が響き渡った。

「ちょっ、なんでエヴァちゃんがここにいるの!? っていうか、裸マントとかどこの変質者よ! アキラ、亜子。エヴァちゃんを着替えさせるわよ」
「ちょ、待てお前等。何をそんなに気安く……おい、待て。マントを剥ぐなっ!」

 明石が叫びながらエヴァを掻っ攫い、大河内と和泉の2人を連れて物陰へと移動するのだった。
 あーあーあーあー、幾らコピー体とは言ってもエヴァの威厳が台無しだな。

「アクセル……」

 そして次に顔を出したのは小太郎だった。身体中に包帯を巻いてはいるが、既に動けるようになっているらしい。

「お前も大概頑丈だな」
「はっ、狗族の再生能力を舐めんなや。それに木乃香ねーちゃんに回復して貰ったからな。……包帯は一応念の為って奴や」
「……いや、俺も人の事は言えない身体になったが、本当にお前も大概だな。脇腹を貫かれて、その上で体内を俺の炎で焼かれたってのに」
「まあな。伊達に修行した訳やない。……ところで、決勝戦で戦った俺はどうやった?」

 真剣な表情で尋ねてくる小太郎に、さすがに巫山戯る事は出来ずに真面目に堪える。

「そうだな、最後に使ったあの新技。狗音影装とか言ったか。あの変身は驚いたな。と言うか、あの状態から使えた事にも驚いたが」

 今も小太郎に言ったように脇腹を貫通して、その上で体内を焼かれたにも関わらずあの巨大な狗へと変身したのだ。

「へへっ。あれは俺の奥義やからな。……麻帆良にいた時よりも強くなってたと思うか?」
「ああ、それは保証する。今日戦った俺も殆ど全力だったんだからな。あれで弱いなんて事は口が裂けても言えないさ」
「へへ、そっかそっか。それならええんや。……さて、料理が無くなる前に食ってくるかな。アクセルも早く食わんとなくなるで」

 小太郎の台詞に頷きつつも、ネギを探す。闇の魔法について言っておかなければならない事があるからだ。だが、パーティ開始直後はいたにも関わらず現在はどこにもその姿が見えなくなっていた。

「ネギはどうした?」

 大きな肉の塊にむしゃぶりついている小太郎へと声を掛けると、持っていたフォークを無言で――肉で口が埋まってるからだが――ベランダへと続く扉を示す。
 その言葉に礼を言い、外へと出ると……丁度そこにはネギの姿があった。
 ベランダの手摺りへと手を掛けて何かに耐えているようなネギの姿。そして周囲へと広がっている黒い魔力。俺とは発現の仕方が違うが、明らかに闇の魔法の侵食だろう。

「ふんっ、ぼーやは闇の魔法に対する適性が高いが、それ故に反動も大きいという訳か」

 俺の後ろから掛けられる声。明石達に玩具にされていたエヴァが普通の服装になってそこにいた。

「だろうな。俺の場合は色々と博打的な感じで乗り越えたが……ネギはどうだろうな」
「……ア、アクセル君? マスターも……」

 その話し声でようやく俺達に気が付いたのだろう。ネギの視線がこちらへと向く。

「俺がオスティアに来た時に言ったな? 闇の魔法の危険性を知った上でそれを使うかどうかと。……お前は使う方を選んだのか? 俺と同じ、人をやめるという意味で」
「……分からない。けど、この力は今絶対に必要なんだ。それだけは確かだから、闇の魔法を使わないという事は出来無いよ」
「例えその結果、人で無くなるとしてもか?」
「……」

 その質問に黙り込むネギ。

「ネギ、正直に答えろ。現在の状況や闇の魔法云々というのを関係無くしてだ。お前自身は人間をやめたいのかどうか」
「……それは、もちろん止めたくはないけど……」
「ふん、なら簡単な話だろう。お前の前にいるのは誰だ? お前と小太郎を破った男だぞ?」

 そこまで告げ、扉の裏に隠れている気配に気が付きニヤリと笑う。

「お前の父親の仲間だったラカンもあっさりと倒したしな」
「おいこら。誰があっさり倒されただと? ふざけた事ぬかしてるようだとリベンジマッチを挑むぞ、こら!」
「ふんっ、そんな所にこっそりと隠れてるからだ」
「けっ。まぁいい。ネギ、メガロから腕のいい医者を呼んでおいた。今よりは多少マシになる筈だから見て貰ってこい。闘技場の医務室で待ってる」
「……はいっ!」

 元気に返事をしていくネギを見送っていると、ラカンが俺の背中を突然叩く。

「痛っ! おい、いきなり何を」
「坊主に大した演説をしてたようだが、敵はフェイト・アーウェンルクスや完全なる世界。俺達と戦った過去の亡霊だ。……強いぞ?」
「だろうな。だが……そうだな。知り合いの言葉を借りるか。俺の前に立ち塞がるのならただ撃ち貫くのみ、とな」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:392 
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