麦わら海賊団を支えた神(仮)
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悪魔の実
とある無人島の海岸。
そこには大小さまざまな大きさの木片が打ち上げられていた。
しかし木片以外にも打ち上げられていたものがあった…それは人族の少年。
少年の容姿は目視でだが齢15も満たないように見える。
少年の容姿はとても美しいものだった。
肌の色は薄い褐色で、
髪の色は美しい白とも取れそうな銀色で整えていなかったのか伸びきっていてボサボサである。
スッと違和感のないほどに高い鼻。
細筆で書いたかのような左右絶妙なバランス、絶妙な太さの眉。
瞳の色は今は少年が気を失っているようで分からない。
まだ顔には幼さが残っているが将来イケメンになると断言できる程に整っている。
身長は150〜155くらいだろう。
少年の服装は全裸も同然で、幸い大事な部分は隠せている。
少年がほぼ全裸だから分かるが少年の身体はかなり細く、蹴ったら俺てしまうんじゃないかと思える程に痩せていた。
そして少年の背中には大きな丸の上に3つの三角形の焼印が痛々しく刻まれていた。
そのマークは『竜の蹄』であり、天竜人の所有物…つまり奴隷であり、玩具であることを意味した。
天竜人の所有物である少年がここにいる理由…それは2日前に沈んだ船からの漂流者であるからだった。
「ん…んんっ!
ハァハァ…ハァハァ……ハァハァ。」
目が…霞む。
もぅ僕はダメなの、かな?
父さん、母さん…何で、何で僕を捨てたの…。
僕が悪い子だった、から?
僕の身体は満身創痍だった。
身体中に鞭で叩かれた後がある。
何より軽く1週間以上は物を食べていないため、身体が動かない。
ふと僕は気が付いた。
僕の目線の先に黄金色に輝く奇妙な模様、形状をしている果実の存在に…。
普段の僕なら見るだけでそんな毒のありそうな果実を手に取らなかったかもしれない。
しかし僕は今お腹が空いている。
気を失っている間何日経っていたのかは分からない。
だけど気を失う前は1週間と数日間何も与えられなかった。
その約1週間も普通の1週間じゃない…過酷な労働、天竜人に殴られ、蹴られの毎日…。
もぅ限界だ。
あれを食べて死ぬか…食べずに死ぬか。
少しでも生き残るチャンスがあるなら…せっかく自由になれたんだ。
父さん、母さんも僕を捨てたんじゃないかもしれない。
僕は海岸の砂の上を手でノソノソと這う。
身体が痛い。痛い。痛い。
身体が悲鳴を上げるのが分かった。
力を振り絞り果実に手を伸ばす。
手が、腕がカタカタと震える。
頑張れ!頑張れ‼︎
頭の中で自分の魂を震わせるほどに叫ぶ。
そして僕の手は何とか黄金色に輝く奇妙な果実を掴んだ。
そこからは早かった。
僕は一心不乱に果実に貪りついた。
果実は決して美味いとは言えるものではなかった。
苦い、酸っぱい、辛い…何をどう表現すればいいのか分からない不味さ…だけど奴隷になってから食べてきたゴミみたいな食事に比べると食べれない不味さではない。
果実を食べ終えた時だった。
視界が霞むのではなく、今度は視界が歪んだ。
あぁ、やっぱり毒があったんだね…。
12歳で僕は死ぬの、か。
父さん、母さん…会いたいよ。
そして僕は意識を手放した。
瞳から一筋の雫が頬を伝い、砂の上に落ち、儚く湿らせた。
涙が地面に落ちた直後、彼の身体は黄金色の暖かな炎に包まれた。
その炎は彼の身体を焼き、燃やす……ではなく、彼の身体中の傷口からいきなり煙が上がり、傷口がみるみる塞がっていく。
これが将来、彼ーーシャルディーニ・D・ルミスーーが麦わら海賊団副船長‘‘覇神のルミス”として騒がれる要因になる悪魔の実『ヒトヒトの実・幻獣種・モデル‘‘神”』と彼との出会いだった。
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