ヘタリア大帝国
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TURN93 怪獣軍団その十
「あの書記長が時々何処に行ってるのかね」
「あの国は謎が多いがな」
ダグラスはその目その目を鋭くさせて述べた。
「今度はあの書記長の行方か」
「モスクワ以外に何か首都機能があるとか?」
キャロルはこう予想した。
「まさかと思うけれどね」
「幾ら何でもそれはねえだろ」
キャシーはいぶかしむ顔で返した。
「そんなことはな」
「普通はそうだけれどね」
「それでもかよ」
「ソビエトだからね」
謎の多いその国だからだというのだ。
「実は首都がもう一つあるとかね」
「普通に考えたらカテーリングラード辺りか」
ダグラスはこの星域の名前を出した。
「そこか?」
「いや、それがね」
「違うかも知れないってのかよ」
「明石大佐やハニートラップも不思議に思ってるよ」
キャヌホークと同じく諜報畑の二人もだというのだ。
「カテーリン書記長の行動にはおかしなことが多いってね」
「そうね、確かにね」
ハンナもここで言う、見れば彼女はお好み焼き定食を食べている。
「そもそもあの書記長はまだ子供よ」
「ただの子供が急に演説してそれからってね」
アメリカ妹も首を傾げさせながら言う。
「有り得ないよね」
「普通はないぞ」
アメリカも言う。
「街で演説して急にだからな」
「あっという間にロマノフ朝を国から追い出してね」
「そして今に至るなんてな」
「普通はないからね」
無論これはガメリカでもである。
「十代の国家元首はいてもね」
「あの娘は十歳にもなっていない筈だぞ」
「最初は首相のあの娘と秘密警察長官のミール=ゲーペだけだったからね」
それでグルジアの片田舎で演説をはじめて瞬く間にだったのだ。
「有り得ないね」
「そうだな」
「それなんだよ、それ自体がわからないんだよ」
キャヌホークはアメリカ兄妹に語る。
「あの娘は考えてみたら謎だらけなんだよな」
「ソビエト戦は色々ありそうだな」
ダグラスはここまでの話を聞いて呟いた。
「東郷長官とも色々打ち合わせして進めていくか」
「忌々しいけれどそれが一番ね」
キャロルはその顔をむっとさせながらも言った。
「あの長官ともじっくり話して進めていこうね」
「キャロルは相変わらずあの長官が嫌いなんだね」
「そうよ、理由は妹ちゃんの知ってる通りよ」
アメリカ妹にもこう返す。
「そういうことよ」
「そういうことだね」
「とにかく今度はソビエトよ」
キャロルはその相手のことを言う。
「共有主義は何とかしないとね」
「さもないとやられるのはこちらだからね」
ハンナが最後に述べる、ガメリカ組はそうした話をしながら和食を食べていた。箸にも結構慣れてきていた。
枢軸側はソビエトのことだけを考えていた、だが。
ドクツではヒムラーが余裕の笑みを浮かべて表の側近達に話していた。
「エイリスは今回もあっさり負けたね」
「はい、またしてもです」
「南アフリカには侵攻されていませんが」
表の側近達はヒムラーの表の顔しか知らない、それで表の話をするのだった。
「しかしその反撃は失敗しました」
「植民地奪回作戦は再び練り直しとなりました」
「それ自体はいいよ」
ヒムラーはエイリスの敗北自体はよしとしていた、だがだった。
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