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エネミーワールド

作者:そうん
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2章 これが「異能者、無能者の会」
  第十二話「再びお騒がせ」

 
前書き
前回に引き続き 記憶編です。そして後半には・・・あの・・・。 

 
第十二話「再びお騒がせ」

シャイン
「はぁ…はぁ…はぁ…」

おかしい。明らかにおかしい。あれからどれくらいの距離を走ってきた?かれこれ20分は走り回っているような気がする。メルの行きそうなところは全て回った。やはり帰ってしまったのだろうか?

シャイン
「メルーっ‼」

いくら彼女の名を呼んでも返ってくるのは虚しい静寂だけ。僕の心は折れかけていた。絶対に探し出すと誓ったはずなのに…僕はまた…裏切ってしまうのか?

シャイン
「メルーっ‼どこにいるんだっー‼メルーっ‼」

メル
「何よ。」

シャイン
「ぇ?メル?」

僕の呼びかけに答えるメル。だけど姿は見えない。どこにいるんだ?それとも今聞こえたのは幻聴?

シャイン
「はぁ…だよな。ただの幻聴だよな。」

にしても…なんだ、体が重い…。頭に何かを乗せているような…。いや、でも僕にそんな覚えはないはず…ぅ、うぅ…重い…。

シャイン
「く…ぁぁ…。」

バタンッ‼

僕はついに倒れた…。その時背中にとてつもなく重い何かが食い込んでくるような…そんな 感覚に襲われた。

メル
「何よ。思ったより貧弱ね。全く…。」

シャイン
「ぐぇっ…メルさん?なんで僕の上に乗っかってるんです?」

メル
「何って…あなたが呼んだからじゃない。」

なるほど…。そういうことか…ってなるか‼
なんでそうなるよ!?呼んだからといって僕の頭上から現れるって…普通そんな登場の仕方はしないよ。

シャイン
「ぁ、あの…いい加減、降りてもらえませんかね?」

メル
「嫌よ。」

またか…。メルの嫌というのは絶対的な何かを秘めている。僕自身分かっているんだけど…どうしても抗えないんだよな。

シャイン
「そ、そう…。メル…怒ってない?」

メル
「怒る?何をよ…。」

シャイン
「いや…なんでもない…。」

やっぱり様子が変だ。これは確かだ。いきなり抱きついてきたり、横暴になったり…そして、今…こうして何事もなかったかのように振る舞う事といい…。彼女の本性は…一体…。

メル
「もしかして…さっきの事とか?」

シャイン
「ぁ…ぁぁ…。そうだけど…気にしてないのか?」

メルは一呼吸しておいてから僕に指し示すように淡々と心境を述べる。

メル
「そうね…気にしてないっていうと嘘になるかしらね。でもまぁ…嬉しかったわ。」

シャイン
「嬉しかったって何が?」

メル
「追いかけてくれた事。あなたがまさかあそこまで真剣に考えてくれたなんて…想像もしなかったもの…あなたの行動からすると…私…嫌われてるみたいだから…。」

僕は何も言い返せなかった。実際、今までそう思っていたから…。でも今回の事を受けて、僕は迷っている。本当に嫌な人間だとしたら僕は追いかけたりも会話すらしないだろうから。

シャイン
「そんなに嬉しかったのか?」

メル
「まあね。あれほど満足したのは初めてよ……。とりあえず、帰りましょう?もう遅いし。」

シャイン
「うん。わかったよ。でも…僕はそこまで君を嫌ったりはしていない…と思う。僕自身、分からないけど…そんな気がするんだ。」

メル
「何よそれ…フフ…変ね、本当にあなたは。」

僕は…この日最大の彼女の笑顔を見た。違和感のある笑みではない自然な笑み。いつも無表情、無慈悲な彼女はどこか今日…変わっていた気がした。これが本来の彼女の姿なのかな?

シャイン
「僕が変なら君だって変だな。」

メル
「何よそれ!まるで私の方が変みたいじゃない‼」

シャイン
「ぇ?違うの?」

久々な気がした。彼女との絡み…。何故だろう。こんなに話が弾むなんて思ってもみなかった。

メル
「違うわよ! それと、なんであなたが変になるわけ?」

シャイン
「そのまんまの意味だよ。」

メル
「何よ一体全体…。むぅ…いい加減教えてよ‼」

シャイン
「そんなムキになるなってwww」

楽しかった。最悪な日だと思い込んでいた僕がバカみたいだ。いや、僕はバカだ。自分勝手で、鈍感な、ただのバカだ。別にバカでもいい。こんなに楽しい日々が過ごせるなら…それでもいいと思った。

メル
「ぁ、それじゃ、私ココだから。」

シャイン
「ぁ、うん。じゃあね。」

僕は最後に手を振り、自分の帰路をたどり、無事に帰還できた。ぁー。愛しの我が家。僕に安らぎを与えてくれ。

シャイン
「ぁ、あれ…鍵がない?」

ドアの前にいるというのに…僕は家の鍵をなくしてしまった。

シャイン
「う、嘘だろ…。ぁ…そういえば、合鍵…があったはずだけど…。」

僕はいつも合鍵を植木鉢に隠している。これはいわゆるあれだ。忘れてきてしまったとき用に…。ぁ、あれ?な、ない‼

シャイン
「ぇ!?ええええええええ!?そ、そんな…そんなバカな…この僕が…。家の主である僕が…。」

それは意外…僕は珍しく…閉め出されてしまったようだ。いや、でもどうして?僕は一応一人暮らしのはずだけど?誰が閉めたんだ?

シャイン
「も、もしかして…。」

恐る恐るドアノブに手を触れる。
結果は案の定…ドアは開いていた。

シャイン
「あ…あはは…。マジかよ。」

僕は開けっ放しにしていたようだ。そこで当然気になるのは空き巣に入られていないかというところだ。

シャイン
「…。ふぅ…。中は大丈夫のようだな…。」

中を一通り廻ったものの何も起こらなかったので幸いである。僕はそのままベッドに倒れこむ。

シャイン
「疲れたぁ…。」

はぁ…今日は色々あったけど…まぁ一件落着ってことかな?メルの機嫌も治ってるみたいだし…置いて行っちまった部の奴らには悪いけど…明日、謝ろう。今日は疲れたよ。色々なことがありすぎて…。はぁ…。






翌日_______。

今日は、土曜日…よって学校はない。
しかし部活は当然のように行われる。ぶっちゃけ行きたくない。何故か?それは眠いからだ。
人間誰だって眠ければやる気なんて起こるわけもない。

シャイン
「だっりぃー。」

頭を掻き回して僕は学校へと向かう。もちろん朝飯は食っていない。というより食えない。なぜなら…その部活とやらは朝の5:00かららしい…。当然校門なんて開いているはずもない。

シャイン
「ふぁ〜ぁ…。」

ユウタ
「ぁ、先輩…。おはようございます。にしても眠そうですね。」

学校の前へと着くが、僕の目の前にはユウタ一人…。校門は…当然開いてなどいない。ありえないのだ。それより…僕は異常にまで怒っている。

シャイン
「当たり前だよ‼なんだよ、一体全体‼なんでこんな朝っぱらから部活なんだよ‼」

ユウタ
「そんなの知りませんよ。」

シャイン
「はぁ…。じゃあ一体なんで…。」

部活の時間帯に頭を悩ませる僕だが…どうやらユウタも時間帯に不服があるようにも見える。

ユウタ
「はぁ…にしても…本当に5:00からなんですか?」

シャイン
「らしいけどな。どうも嘘っぽい。」

ユウタ
「はぁ…つまり俺らは釣られたと?そういうことですね。」

二人して深いため息をつき、それぞれ自宅へと帰ろうとした時、聞き覚えのある声が耳に伝わる。

国語の教師
「おーい、お前らー。待つんだァ‼」

ぁ、マジすか。帰ってきたんですか。アハハ…。うん、この人の仕業ね。わかったわかった。

ユウタ
「ぁー。先輩。なんか変な奴来ましたよ。」

シャイン
「ぁー。本当だ。変質者だな。そんな変な人には…」

僕は迫り来る先生に怒りの篭った右拳で光速の一撃をぶちかます。その白く輝く僕の右拳は見事に先生の正中線に潜り込んだ。

ジュドーンッ‼

シャイン
「お仕置きが必要…」

シューッ…と煙が漂う。しかしその煙がやがて止む時、僕は恐ろしい体験をする。

シャイン
「ぇ?え?え?」

国語の教師
「ん、何々?お仕置き?」

わけがわからない。全力の突きを、先生は片手で受け止めていた。僕にはとても信じがたいことだった。僕の能力ならいともたやすく、鉄柱なんて木っ端微塵に吹っ飛ばせる力なのに…。この人は…本当に無能者なのか!?

シャイン
「ア…アハハ…。」

国語の教師
「そうだね。お仕置きが必要だね。」

シャイン
「ひ、ひぃいいいいいいいいい‼」

ユウタ
「先輩‼」

このあと、僕がどうなったかって?ハハハ…聞かないほうがいい・・・気分を害するだろうからね。
もちろん、フルボッコさ。すごいよね…先生…異能者の僕に傷一つ負わずに…。
絶対何かあるな。 
 

 
後書き
国語の教師再臨!! 2週間の謹慎処分から久々の登場です。
しかし、先生強すぎますね。
なぜ、このようにも強いのか。気になるところですが、まぁ近日わかるでしょう。
では、次回お会いしましょう。 
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