万華鏡
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第四十二話 運動会前にその四
「ちゃんとね」
「じゃあ理事長さんにもお話いったのね」
「そう、それでね」
「どうなったの?」
「いいってね」
理事長も許可を出してくれたというのだ。
「八条グループの中のゆるキャラならね」
「皆いいって言ってくれたのね」
「そう、八条グループの中限定だけれど」
他の様々なゆるキャラはそれぞれの使用料や肖像権の問題があり許可の話は難しい、だが八条学園も入っている八条グループの中のものならというのだ。
「いいみたいだから」
「そう、それじゃあね」
「いいことになったから」
それでだというのだ。
「後はね」
「どのキャラを選ぶかなのね」
「もう部長さん達そのお話されてると思うわ」
「じゃあまた会議かしら」
琴乃は里香の話を聞いてこう言った。
「そうなるかしら」
「多分ね」
「ううん、何か会議が多くなるわね」
「運動会とか文化祭の前はこうなのかしら」
里香は中学生の頃は部活に入っていなかったのでそうしたことは知らない、それでこのことについては首を傾げさせて言うのだった。
「そうなのかしら」
「まあそうだな」
「そうよね」
美優と彩夏が里香のその疑問に答えた。
「この時期になるとな」
「色々とやること多いからね」
「体育会系の部活には文化祭は関係ないけれどな」
「クラスはクラスであるし」
「何かと会議して話してな」
「やることも多いからね」
「そうなのね。クラスのことは知ってたけれど」
里香は二人の話を聞いて納得した顔で頷いた。
「そうなるのね」
「ああ、まあな」
「そうなるわね」
こう返す二人だった、そして景子はこう言うのだった。
「けれどそれが楽しいのよ」
「あっ、そのことはね」
どうかとだ、里香は今度は晴れやかな顔になって応えた。
「今でもね」
「わかるでしょ」
「こうしたことについてあれこれ皆で考えてお話してやっていくのってね」
「いいものよね」
「そうよね、とてもね」
「そうなのよね、だから二学期はね」
秋、この季節はというのだ。
「私好きなのよ」
「私も秋は好きだけれど」
「スポーツとかイベントで、じゃなかったわよね」
「読書の秋だったわ」
この辺りは里香らしかった、読書家らしく。
「色々な本読んでたわ」
「ううん、そこが里香ちゃんね」
「夏も春も読んでるけれど」
それも冬もだ、読んでいたのだ。
「それでもね」
「秋が一番だったのね」
「落ち葉が舞い落ちる図書館の前を歩くのも好きで」
里香はここではロマンチストになっていた、読書特に秋のそれは人にロマンを感じさせるものだからであろうか。
「それでね」
「それで里香ちゃんの秋は読書の秋だったのね」
「そうだったの」
こう景子に話す。
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