エネミーワールド
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2章 これが「異能者、無能者の会」
第九話「負の連鎖」
前書き
更新大分遅れました。申し訳ありません。しかしまだテスト期間なのでまた更新が遅れるかもしれません。今回の更新は異例で多少時間を費やし、更新できたわけで、常時できることではありませんのでご了承ください。
第九話「負の連鎖」
今日、部の会議が行われるらしい。詳しくは聞いていないが、何か重大な事らしい。何が重大なのかさっぱりわからない。僕が出席するたび、弄られ、話が飛躍して何も始まらずその議題は終わり幕を閉じてしまうという最悪な結果が見えている。だから今日、僕は正直言うと、行きたくない。でも行かなければいつ僕が抹消されるかわからない。つまり僕に残された選択肢は
"行く"のみである。
シャイン
「最悪だ…。また会議かぁ…。」
ユウタ
「そうすね。いい加減毎日会議とかやめてもらいたいですね。」
シャイン
「ならお前があいつになんか言えよ。幼馴染だろ?」
ユウタはそのまま黙り込み、僕らの間にギクシャクした雰囲気が漂う。
ユウタ
「なら…そうですね…先輩から何か言ってくださいよ。先輩ならなんとかなりそうですし…俺なんかが行けば殺されちゃいますよ。」
そんなんなら僕も殺されるって…。先輩も後輩も関係なしに粛清されちまうからな…。
シャイン
「そうだ…最善策があるぞ。」
ユウタ
「なんなんですか?それは…」
シャイン
「いっその事、バックレる。」
瞬間、静まり返り、僕の背後におびただしい邪念のようなものが…。
シャイン
「後ろ…何かいる?」
ユウタ
「ぁ…はい。ちゃんといますよ。」
あれ、こういう時…背後にいる人って…あの人以外ありえないよね?これ…
シャイン
「ちなみに、何がいるの?」
ユウタ
「ぁ、はい。シィラさんたちです。」
シャイン
「ぁ、そうかぁ…助かったぁー。」
いや、待てよ…。"たち"ってどういうことだ?ここにいるのは、僕、ユウタ…先生は謹慎処分として…残るは二人…。シィラさんともう一人と言えば…
シィラ
「おぉ、皆ここにいたんだね。これから会議、行くんでしょ?」
ユウタ
「ぁ。うん。そうだけど…。」
メル
「誰かしら?助かったぁ〜なんて戯言を吐いた不届きものは?」
その声と共に、ユウタは僕を指差し、それに便乗するかのようにシィラは僕を指名した。
これ…詰んだよね…。
シャイン
「これには深い訳がありましてね…ハハッ…。」
メル
「ならその深い訳というものを聞かせてちょうだい?」
シャイン
「…ハハ…アハハ…。」
その後僕は、手足を縛られ、無理やり連行された。それも引きずって……。今、僕の身体という身体全体が赤く腫れていることは言うまでもない。僕は縛られたまま部屋に連れ出され、席に座らされた。
シャイン
「ぐぬぬ…。」
メル
「何よ?何か言いたそうじゃない?」
シャイン
「言いたいもクソもないじゃないか‼なんでこの僕がこんな目に…そもそも毎日会議する意味がわからない‼」
つい口が滑ってしまった。溜まりに溜まった僕の怒りが絶頂に達したのだろう。日頃、ボロ雑巾のように扱われた僕の気持ちの表れなのだろう。
メル
「へぇー。この状況でそんな口がきけるのね〜。」
シャイン
「いや、これは違う。」
メル
「何が違うのよ?私は今、そのあなたの本心が聞けてとても嬉しいのよ。」
は?どういうこと?てっきりブチ切れて僕を拷問するのだと思っていたのに…予想外だ。
ぁ、違うんです。決してそれを望んでいるのではなくてですね…ほら、こう…。
ユウタ
「と、言いますと?」
ユウタがそう疑問を投げかけるとメルは機嫌を損ねたように睨みつける。いやぁ、本当怖い。何が気に入って何が気に食わないのか…やれやれ…。
シィラ
「まぁまぁ、そんなピリピリしなくてもいいじゃないですか、姉御。」
メル
「そうね…。バカに構ってるほど私も暇じゃないわ。」
ユウタ
「バカ…だと?」
辺り一面に負のオーラが漂う。それは紛れもなく、憤怒と傲慢と例えるのが最もふさわしいようにも見えなくもない。とても、危険なオーラだ。
メル
「だってそうでしょ?バカにバカだって言っても分からないようなあなたはそれだけバカってことよ。」
ユウタ
「ハハ…。それを言うなら君だって同じじゃないのかな?平気で下を作って、罵り、踏みにじり、そして言葉で傷つける。何様のつもりだ?」
メル
「それのどこが悪いの?上に上がいるように下に下がいるの。当たり前のことじゃない。まぁ私に上はいないでしょうけどね。あなたとは違って。」
うわ…これ結構やばいんじゃないの?見た感じ両者引き下がることはないだろうし、むしろ激化して全校生徒を巻き込むことだってしでかしそうだよな。
シャイン
「まぁまぁ、そう仰らずに…穏便に、穏便に。」
ユウタ
「黙れ。変態ドM野郎。」
うぐっ…。唯一、共感できたと思っていたというのに…。ひ、酷い。
シャイン
「おぃ、そりゃどういうことだよ!?」
メル
「あら、どうしたの焦っちゃって。もしかして勝手に共感できる。とか思っちゃったのかしら?さすがよね〜。さすが、超絶勘違い野郎ね。」
ぅうぅ…。ちくしょう。なんなんだよ。どいつもこいつも喉に突き刺さるような事言いやがって…。僕のハートはもう粉々だよ…。
シャイン
「うぐぐ…。」
シィラ
「だ、大丈夫ですか!?先輩‼」
大丈夫だったら普通泣かないからね。これをどう見て大丈夫だって言うんですかね?まぁこの二人に言わせてみれば、ザコやらクズとかそういう類に…ぅう…思ってるこっちが虚しくなるわ‼
シィラ
「いい加減、始めましょうよ。こんなバカげたことに時間を費やすつもり?姉御もそのくらいの事は理解して頂かないと…。」
ユウタ
「ッチ…。わかったよ。今回はこのぐらいにしてやる。」
メル
「そうね。姉という威厳を保たないとね。」
ねぇ…なんで…? なんでこれで丸く収まる訳?
僕のどこが悪いのさ。なんで僕だけ…こんな酷い具合に処理されるんですかね?
ユウタ
「あれ、どうしたんですか、先輩。」
メル
「何、泣いてるのかしら…。意味がわからないわ。」
いや、お前らのせいだから‼マジふざけんなよ…。意味がわからないのはこっちの方だよ‼
さっきまで僕をディスってたのに、何さ…その態度…。
シィラ
「それはあなたたちのしたことじゃない。まったく…先輩大丈夫ですか?」
地面にへたれこむ僕を支えるように背中をさすってもらった。
シャイン
「ありがとう。」
シィラ
「これくらい当然ですよ。あなたのような人をみていると放っておけないんで…。」
天使だ。神の遣いだ。なんて人だ。残虐非道なこの部にこのような人がいたなんて…僕は…
メル
「うっぷ…。急に吐き気が…うぅ…。」
シィラ
「大丈夫ですか!?姉御‼」
これは僕に対して反吐が出るということなのだろうか。そこまでならまだ許せる。だけど僕に向けてさらに中指を立てるなんてまんざらでもない。あんな人を介抱なんて僕は嫌だ。
メル
「ぅ…。そこの虫ケラを見てると反吐が出る。」
シィラ
「姉御、大丈夫ですか!?」
大丈夫ですか?そこのお嬢さん、とんでもないこと言いましたよね?この僕に対して…。
ユウタ
「まぁそこらへんにしといて…で今回俺らを招集した理由はあるんだろうな?」
メル
「ぅぷ…。えぇ、あるわ。」
そりゃーよかった。ってまだ吐くのかよ‼
しかもそこ、新品のカーペットの上なんだけれども…これ、僕がわざわざ持参してきたカーペットなんだけど!?
シャイン
「それ…あとで洗って返してね…。」
メル
「嫌よ。自分のものなんだから自分でなんとかしなさい。」
…デスヨネー。だと思いましたよ。そーですよねぇー。やっぱりそうですよねー。狙ってたってことか…。どんだけ僕を陥れたいんだこの人は…。
シィラ
「ともかく…今回ばかりは議題があるそうなので…聞きましょう。」
メル
「えぇ…。今回集まってもらったのは他でもなく、依頼があったのよ。」
依頼?僕らって依頼とかそういう類を受けるような部だっけ?…まぁいいか、やらないよりかはまだマシな方だろう。
シャイン
「その依頼ってのは?」
メル
「あら、妙に利口だわね…。変に文句を垂れるあなただから余計違和感あるわ。」
シャイン
「余計なお世話だよ‼んで、その依頼ってのは…?」
メル
「あら、焦ってるわね。虫ケラに加えて、猿のように汗をかくのね…。」
はぁ…こいつの相手は疲れるよ。うん。もうあれだな。
シャイン
「んじゃ僕帰るね。」
メル
「ぇ、ちょ…。」
ひょっと表情が欠落したメルに僕は、思わず、振り返ってしまった。本当はもう出て行きたいのに…。僕はどこか迷いがあった。
シャイン
「何さ…。早く言ってくれ。」
メル
「帰るのならこのゴミの数…収集してから帰ってちょうだい。」
この部屋の周りを改めて見渡すとかなり散らかっている。僕の目に映る、数々のスナック菓子の袋や、使い終わった容器など色様々…。
僕は…メルに失望した。迷わずドアに手を回す。
シャイン
「悪い…気分悪い…早退させてもらうよ。」
ユウタ
「ちょっと、先輩‼」
僕はこのこみ上げる怒りという怒りをドアにぶつけ、勢いよく閉まる。それと共に音響はこの部屋に静寂をもたらした。
後書き
ついに主人公、シャインは吹っ切れてしまいました。この後、どうなるのでしょうね。
まぁ次回をお楽しみください。更新は恐らく遅くて水曜、早くて明日ですので ご了承ください。
ですが水曜から 常時更新という形になることになると思います。
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