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MS Operative Theory

作者:ユリス
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RX計画とV作戦②

 
前書き
地球連邦軍がだけが正義だと思わないことだ。 

 
——RX計画:MSの実態を知らないまま進められた、研究計画——

 公国軍の新兵器・MSの存在を完治した連邦軍は、当初これといった関心を示さなかった。工作機械の様なマニピュレーター=手だけではなく、足まで持つ様な機体が、まともな兵器として運用可能とは思えなかったのである。

可動部分が増えれば整備性が悪化するだけでなく、手足そのものがデットウェイトになってしまう以上、MSは兵器としては複雑すぎ、かつ無駄も多いと考えられたのである。また、戦闘機や戦車等の当時の戦闘兵器と比較した場合、全高20m近いMSは全面投影面積が大きすぎるため、捕捉されやすいと推測されたこともMSに対する過小評価の一因となっていた。

これらの評価はミノフスキー粒子の存在を無視した空論だったが、当時の連邦軍はミノフスキー粒子など眼中になかったのだろう。

 それでも、連邦軍の一部ではMSの研究を進めるべきとの意見が挙がっていた。公国が、独自の艦艇を建造する技術力と空間用重機に関するノウハウを蓄積していたことは間違いなかったし、MSが暴動鎮圧に投入されたとの不確定情報もあったため、何らかの有効性を持った機器であると考える人々もいたのだろう。瓢箪から駒という諺もある。

そこでU.C.0078,03、軍・民間合同のMS研究プランとして開始されたのが「RX計画」である。MSの基礎研究を中核とし、複数のプロジェクトを並走させるスタイルを採った多方向計画———————と言えば聞こえがいいが、実態は骨子が定まらない、不安定なプロジェクトだったようである。当時の開発者がMSへの見識にかけていたこともあり、結果、MSとは程遠い大型戦車の様な機体を開発してしまう。

それでも、装甲材へのルナ・チタニウムの採用や二足歩行システム、そしてRXシリーズの中核となったコア・ブロック・システムに開発などが行われ、後の「V作戦」に与えた影響は極めて大きかったといえる。

 計画初期にはRTX-44と呼ばれる機体(後にRX-75ガンタンク、RTX-440陸戦強襲型ガンタンクの母体になったという)を研究材料として使用していたらしく、これだけをもってしても関係者のMSに対する理解が疑わしくなってくる。RB-79ボールも、RX-76という形式番号で開発されていた 機動戦士ガンダムより)



——V作戦:量産機の開発・生産を視野に入れた、総合開発計画——

 一週間戦争とルウム戦役において、MSの絶大な戦闘能力の前に敗北を喫した連邦軍であったが、軍上層部の大多数は、自軍の敗因をMSの有無ではなく、公国軍の奇襲戦法に注目していた。事実、連邦軍は3ヶ月もMSへの決定的対策を打っておらず、軍部が現実を無視した観念論に終始している間に、地球の3分の1は公国軍の手に落ちてしまっていた。

事態の悪化の一途をたどっていることを認識した軍部は、レビル大将が強く後押ししたこともあって、試作MSと量産MS、MS運用母艦の開発・生産を目的とした「V作戦」の執行を許可する。U.C.0079,04,01のことであった。

 「V作戦」は単体で開始されたのではなく、以前から進められていた「RX計画」と、宇宙空母開発プラン「SCV-X計画」を合わせ、早期の試作MS及び運用艦の開発を目指した。運用母艦に関しては、「SCV-X計画」で建造されていた宇宙用空母をMS用に改修することとなり、一番艦“ペガサス”、二番艦“ホワイトベース”らが強襲揚陸艦として竣工している。

運用母艦の目処は比較的早い時期についたが、MSに関しては一朝一夕にはいかなかった。MSの威力を目の当たりにしても、連邦軍のMSへの理解は深まっていなかったようで、最初期に完成したのは、RX-75ガンタンクという長距離支援用の「MSもどき」であった。そこで「RX計画」で開発されていた二足歩行システムを組み込んだ2種のMSがほぼ同時期に設計・開発される。

RX-77ガンキャノンとRX-78ガンダムである。ガンキャノンも中距離支援機として充分に優秀な機体であったが、同年7月にロールアウトしたガンダムは、白兵戦を主体とした真の意味でのMSであった。ミノフスキー粒子散布下での有視界戦闘とは白兵戦を示しており、ガンダムこそが主力量産機のベースとして相応しいものだったのだ。

10月には、ガンダムのデータを基にRGM-79ジムの本格的量産される。






補足事項

——連邦軍の本格的MS運用艦——

 いかにMSが強力な兵器であっても、戦闘兵器にすぎない以上、その行動範囲は狭くならざるを得ない。このためMSを運搬・整備する運用母艦の必要性は、MSの研究が遅れていた連邦軍でも理解できた。

そこで、U.C.0077に発足した「SCV-X計画」で建造されていた何席かの空母が、MS運用母艦・ホワイトベース級強襲揚陸艦へと改修される。ホワイトベース級は、MSやMS運搬用航空機を収容可能な、コンテナ式のデッキを複数持つ軍艦で、そのMS運用能力は公国軍のムサイ級巡洋艦に勝る。また、火力やダメージ・コントロールにも優れており、この設計思想は後のMS運用艦に大きな影響を与えていく。
 
 

 
後書き
次回 教育型コンピューター

 
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