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IS-最強の不良少女-

作者:炎狼
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デート

 
前書き
前回のあとがきに書いたとおり、今回は臨海学校のための買い物です
誰と行くかは本編をご確認ください

ではどうぞー 

 
 日曜日の朝、学生であれば誰もが通常起きる時間よりも遅く起きるだろう。だが響はいつもと同じような時間帯に、胸の辺りに感じた妙な重みと暖かさに目を覚ました。

 何回か目をしばたかせながら自分の胸に目線を下げるとそこには、

「ん……」

 響の胸に顔をうずめている銀髪美少女、ラウラの姿があった。

 彼女は響の胸の谷間に顔をうずめながら気持ちよさそうに眠っていた。だが、響は顔を引きつらせながら、

「なにやってんだテメェはー!!」

 ラウラの頭に拳骨をかましながら叫んだ。

「ぬあ!? 何をする!!」

「何をする! じゃねぇだろ!! 何でお前が私の部屋にいるんだラウラ!!」

 響きの拳骨で目が覚めたラウラはベッドから飛び退きながら抗議するも、殴られた頭が痛いのか若干涙目だ。

「いやつーか本音は……!? いねぇし!!」

 ルームメイトである本音のベッドを見ても、既にそこに彼女の姿はなかった。

「ああ、彼女なら私が昨晩のうちに菓子を与えたら朝早くに出て行ったぞ」

 響の疑問にラウラがドヤ顔で言うものの、響の方は頭を抱えながら苦い表情だった。

 ……本音のヤロー、菓子なんかで買収されやがって!

 内心で自らの友人にイラつきつつも響はラウラに問う。

「はぁ……そんでどーしてお前はここにいる。しかも全裸で」

 そう、ラウラは現在一糸纏わぬ姿なのだ。だが隠すことはせず、全裸のまま仁王立ちしている。

「それはお姉さまと眠りたかったからというかなんというか……」

「わかった。理由はわかったからまずそのお姉さまとか言う気持ちわりー喋りを何とかしろ。つか前にやめろって言ったよな?」

 ラウラの妹になる宣言から少し経っていた現在。響はこれまで口をすっぱくしてラウラに言い聞かせてきたのだが、彼女はソレがまだ直っていないのだ。

「むー……しかしだな響。私の副官が言っていたのだ。日本では親しい間柄の年上の女性をお姉さまと呼ぶ文化があると」

「……正直お前にそのいらん知識を植え付けた副官を今からでも殴り飛ばしたい気分だが、まぁいいや。完全に目も覚めちまったし飯でも行くか?」

「ああ! 勿論だ!」

 心底嬉しそうな笑みを浮かべながらラウラが答えると、響はクローゼットを開き中から服を取り出し、ラウラに投げる。

「とりあえずソレ着てろ。ぶかぶかかもしれねーが全裸よりはマシだろ」

「お姉さまの服……」

「だからその呼び方はやめろってーの」

 響は服を持ちながら鼻息を荒くするラウラの頭を軽く小突いた。




 食堂の一角で響とラウラは向かい合いながら朝食をとっていた。早朝であるためか食堂にはポツポツと数人の生徒がいるぐらいだ。

 するとラウラが響に切り出した。

「そういえばそろそろ臨海学校らしいな」

「臨海学校ねぇ……アレって結局遊んでるだけだよな」

「そうなのか? 私はずっと軍にいたからわからんが」

「基本は遊んでるだけだったな。まぁ小学生のころに行っただけだったから多少違うとは思うけどな」

 麦茶を一口飲みながら響は椅子に背を預けた。

 すると思い至ったように響はラウラを指差しつつ、彼女に問うた。

「そういやお前シャルロットと同じ部屋だったけど仲良くやってるか?」

「ああ。問題ないぞ。……時折シャルロットが響の名を呟きながらニヤニヤしているが」

「あん? 最後の方なんか言ったか?」

 ラウラの呟きに反応した響が聞くものの、ラウラは、なんでもない、と答えるとコーヒーを口にした。

「まぁ仲がいいならいっか。っとそろそろ戻るかな。ラウラ、その服はやるから寝巻きにでも使え。またな」

「いいのか!?」

「ああ。好きにしろ」

 響はそれだけ告げると、食器を片付け食堂を後にした。




 響と別れたラウラは満足げな顔で自分の部屋に戻った。

 部屋に入るとシャルロットは既に起きており、寝巻きから私服に着替えているところだった。

「ラウラ早いねー。あれ? そんな服持ってたっけ?」

 シャルロットが聞くとラウラは誇らしげに胸を張りながら、

「この服はな先ほど響からもらったのだ! 私の好きにしていいらしい……フフフ」

 二ヤけが止まらない様子のラウラをよそに、シャルロットは顔を固まらせていた。

 ……ラウラが響の服を!? 一体どうやったらそんなことが!? 

「ね、ねぇラウラ? どうして響から服もらったのかなぁ?」

「む? 私が全裸で響のベッドに入っていてな。それから朝食に行くことになったのだがさすがに全裸ではな。そこで響がこの服を私にくれたのだ!!」

 ……ぜ、全裸!? 僕も同じことをしたら服くれるのかな? でもでももしかしたらラウラにはってことかもしれないし……。

 悶々としながらシャルロットは頭を抱えていた。

 するとはっとした顔になり、大急ぎで着替えを済ませると部屋から飛び出した。ラウラは不思議そうな顔をしていたがシャルロットはそんなことを気にして気にしていられなかった。

「ラウラが服をもらったなら……僕は響と服とか買いにいっちゃうもんね!!」

 シャルロットは決意の炎を胸に宿しながら、響の部屋へと駆けていった。




「あーまったくラウラはもう少しどうにかならねーのか……」

 部屋のベッドにダイブしながら響は一人ごちた。本音はまだ帰っていないのか、姿は見えなかった。

「まぁ軍にいたから常識が通じないのはわかるが……。それにしてもなぁ……」

 うつぶせの上体から仰向けになった響は小さく嘆息した。

「ん……少し眠くなってきたな。早く起き過ぎたからか? ……どーせ日曜だし二度寝でもしますかね」

 そのまま響は目を閉じた。

 だが数分後、廊下から妙な音がしたため目をさますと、

「響! いる!?」

「この声は……シャルロットか?」

 響はベッドから起き上がり、ドアに向かった。

 ドアを開けると息を切らしたシャルロットの姿があった。

「そんな急いでどうした? 何かいいことでもあったか?」

「響! 今日買い物に行かない!?」

 かなりの剣幕で詰め寄るシャルロットに響は若干後ろにたじろいだ。

「か、買い物? 何で急に?」

「そ、それは……いいから行くの!! それにそろそろ臨海学校だから水着も買いたいし」

「水着か……そういや私も買ってなかったな。よし、んじゃあ10時くらいに行くか?」

 シャルロットの水着発言に響は了承した。するとシャルロットは満足げに笑みを浮かべながら大きく頷いた。

「今日の10時だね? わかった絶対だよ!?」

「あーはいはい。わかったわかった。とりあえず食堂いくか? 私はさっき飯食ったけどお前どうせ食ってないんだろ? 今日の予定組むのもあるし、一緒に言ってやるよ。コーヒー飲みながらな」

 響とシャルロットは今日の予定作りとシャルロットの朝食のため、食堂に向かった。





 そして約束の時刻になり、響は校門前にやってきた。響は黒のダメージジーンズに、半そでのシャツに黒のベストを羽織っている。

 これで胸がなければ完全に男である。

「お? 来た来た」

 携帯端末の時計に目を落としていた響が寮のほうを見ると、

「響ー! ごめんね遅れて」

 シャルロットが手を振りながらやってきた。彼女も下はズボンを履いていたが上は女の子らしいふわふわとしたものだった。

「いや、そんなでもねぇさ。おっと、そろそろモノレール来るな。少し急ぐぜ?」

 響はそういうと、シャルロットの手を掴んで駅に駆け上がった。

 二人が到着すると同時にモノレールが到着し、響はシャルロットの手を引いたままモノレールに飛び乗った。

「ふぅ、間に合ってよかったな。……どうしたシャルロット?」

 見るとシャルロットは俯いたまま顔を真っ赤にしている。

「おーいシャルロットー? 大丈夫かー?」

「ひゃ、ひゃい!?」

 響に顔を覗き込まれ素っ頓狂な声を上げるシャルロットはそのまま声を上ずらせたまま響に聞いた。

「な、なにかな響?」

「いやなんか俯いてたし。どっか悪くしたかと思ってよ」

「そ、そんなことないよ!?」

 ……うー、響に手を握られて嬉しすぎて顔を伏せてたなんて言えないよ!

 内心で恥ずかしがっていると、その様子を見ていた響が笑い出した。それはもう大爆笑の域に達していた。

 するとシャルロットはムッとしながら、

「な、なんでそんなに笑うの!?」

「いやだってお前、なんか百面相してるからそれが面白くって面白くって……」

「むー! そんなに笑わなくたっていいじゃん!! 響のいじめっ子!!」

 シャルロットはプイっとそっぽを向くと頬を膨らませた。響はそれにあきれ混じりに、

「わるいわるい、機嫌直せよシャル」

「シャル?」

「ああ。お前のあだ名だ、シャルロットってなんか長いしな。いやならいわねぇけど」

「いいよ! ぜひとも言っていいよ! もう言われたいくらいだよ!」

 シャルロットは先ほどまでの怒り顔は何処へやら、響に向き直ると彼女の手をがっしりと掴んだ。響もそれに少し驚きつつも頷いた。

 ……あだ名を考えてくれたって事は結構思ってくれてるってことだよね……。ヤター!!

 心の中でガッツポーズするシャルロットであった。

 街に到着した響達は大型のショッピングモールに入った。




 その二人の後方に二つの影があった。

「……ラウラさん? あの二人何をしてらっしゃるのでしょうか?」

「……二人だけの買い物。まぁ所謂デートだろうな」

「……そうですわよね。では粛清しましょう。主に響さんを」

「……奇遇だなセシリア。私も今同じ考えにいたったところだ」

 光のともっていない渇いた目でラウラとセシリアは二人を見つめていた。



「ん?」

「どうしたの?」

 後ろを振り返った響にシャルロットが問うた。

「いや、なんか誰かに見られてたような気がしてよ。まっ気のせいだろ」

 気を取り直して響たちはショッピングモールの中を散策してゆく。

「最初は水着だっけか?」

「うん」

「となると三階だな。よし行くぞ」

 響はいたって自然な手つきでシャルロットの手を握った。それにまたも赤面するシャルロットだが、その顔はとても嬉しそうだ。

 水着店にまで着く道のりの中、シャルロットは響の顔を見つめていた。

 ……響って本当に綺麗な顔立ちしてるなぁ。モデルとかやってたら凄いと思う。

 響はとても整った顔立ちをしているのだ。ただ、目だけは三白眼なため現在でも多少は怖く見えるものの、それも彼女の顔立ちを引き出させるエッセンスのようなものだ。

 ……でもこの顔立ちだから 男の子よりも女の子のほうにモテてるかも。

 だがじっと見つめすぎていたせいか響が気づいた。

「あんだよ人の顔ジッと見やがって」

「え!? あ、ゴメン! その響の顔って整ってるなぁって思ってつい見とれちゃった」

「私の顔? あー……そういや渉も似たようなこと言ってたな。まぁサンキューな、だけど私よりもお前の方がよっぽどいい顔してると思うぜ? シャル」

 ポンと頭に手を当てられながら言うと、シャルロットがまたまたゆでだこのように赤面した。




「キー!! シャルロットさんうらやましすぎますわー!!!!」

 持っているハンカチを噛み千切ろうな剣幕でセシリアが言うが、ラウラはそれに冷静に、

「おちつけセシリア。まだ二人がそんな関係と決まったわけでは……」

「ラウラさんこそ目が泳いでいましてよ……?」

「ぐっ!」

 二人の後ろではばれないように尾行するセシリアとラウラの姿があるが、周りには結構目立っていた。

 何せラウラは軍服。セシリアはブランド品で固められている。これで目立たない方がおかしいだろう。




「さて着いたな。とりあえず適当に見るか」

「そうだね」

 水着店にやって来た響とシャルロットは二人で並びながら水着を見ていた。

「響、これなんてどうかな?」

「ん? 似合うんじゃねーの。私はいいと思うぜ?」

 シャルロットが持つ水着を見て響は笑いながら言う。

「そう? じゃあちょっと試着してくるね」

 彼女は意気揚々と試着室に向かった。それを見送った響も自分の水着を選びはじめる。

「これなんかよさそうだな」

 響が手に取ったのは黒のビキニだった。かなりシンプルなデザインだがそこが響のお眼鏡にかなったのだ。

 そして響がそれを持ち試着室の方まで行くと、試着室からシャルロットが顔を出した。

「とりあえず着てみたんだけどどうかな?」

 カーテンを開けたシャルロットが着ていたのは黄色を基調とし、腰に黒のラインが入ったパレオの着いた水着だった。

「おー、似合ってんじゃん。スッゲーいいと思うぜ」

「そ、そう? じゃあこれにしようかな……」

「そうか。んじゃあ私も今から着るからちょっと見てくれ」

 響は言うと試着室に入った。

 数分後、先ほど選んだ黒の水着を着た響が出てきた。

「どうだ?」

「うん、凄くいいと思うよ。シックな感じでカッコイイ」

「そかそか。じゃあ私もこれにするかな」

 鏡を見つつ、響は自分の姿を見つめた。出るところはしっかりと出て締まるところはしっかりと締まっている響の体はまさにビキニが映えていた。

「じゃあお会計だね」

「おう。ちょい待っててくれ」

「りょーかい」

 響は再びカーテンを閉じた。




「ああ! 響さんの水着姿なんと眩しいのでしょう!」

「そうだな、確かにお姉さまの水着姿は美しい……」

 二人は水着店の陳列されている水着の隙間から響の姿をうっとりと見つめていた。



「やっぱり見られてんだよなぁ……」

「本当に?」

 会計を終え、水着店から出て数十メートル進んだところで響は立ち止まった。すると響はシャルロットを近くの柱の影に引き込んだ。

「え? え?」

「少し静かにしてろよ? ちょいと探ってくる」

 言うと響はまだ状況が飲み込めていないシャルロットをその場に残し、視線のしたほうにゆっくりと近づいてい行く。

 するとある柱の影まで来たところで、響は聞き覚えのある声が聞こえたので立ち止まった。

「もう! ラウラさんが変なところで話しかけるから見失ってしまったじゃありませんの!!」

「私のせいではないだろう!! そもそもセシリア!! 貴様がそんなひらひらとした格好でいるから悪いのだ!!」

 声のする方向に目をやるとそこにいたのは、いがみ合っているセシリアとラウラだった。

 そんな二人に嘆息しつつ、響は声をかけた。

「おいそこの馬鹿二人。往来でそんなでけぇ声出すな」

「誰が馬鹿って響さん!?」

「お姉さま!?」

 予期せぬ響の登場に二人は声を上ずらせながら反応した。

「まったく、妙に誰かにつけられてると思ったらお前らかよ。あとラウラお姉さまはやめろ」

 髪の毛をかき上げつつ響が溜息を漏らしていると、

「響ー。一体どういうことなのか説明して……ってセシリアにラウラ!?」

 響の元にやってきたシャルロットが若干たじろいだ。

「もしかしてつけてたのってこの二人?」

「せーかーい」

 シャルロットの問いに響はにやけ混じりに答えた。

 その後セシリアとラウラを引きつれ、近くの喫茶店に入った響たちは、セシリアたちから事情を問いただした。

 二人の話を聞き終わった響とシャルロットは互いに見詰め合うと大きく嘆息した。

「まぁ別に悪気があって私達についてきたわけじゃなさそうだから気にしないが……」

「尾行は感心しないよ? 二人とも」

「うむ……」

「すいませんでした……」

 二人はそのまま頭を下げる。その二人の姿を見て二人は苦笑を浮かべる。すると響が、

「まぁここまでついてきたのに帰れってわけにもいかねぇし。どうだお前ら、こっから先は一緒に回るか?」

「いいんですの!?」「いいのか!?」

「私は別にいいけどシャルはどうだ?」

「僕もいいよ。このまま帰しちゃうのも可哀想だしね」

 シャルロットのほうも呆れ顔ながらも、笑みを見せながら了承した。

「うっし、んじゃあ行きますか」

 四人は席を立ち、買い物に繰り出した。




「今日は楽しかったねー」

 帰りのモノレールの中でシャルロットがしみじみといった様子で言うと、セシリアたちも頷いて同意した。

「それにしても響さんの眼鏡姿も様になってましたわ……」

 頬に手を当て、うっとりとした表情を浮かべるセシリアの手には四人で撮ったプリクラがあった。その中の一枚に、眼鏡姿の響が写っている。

 実際眼鏡をかけるとかなり知的な雰囲気が漂っている。

「ったく……まさかそれで伊達眼鏡買わされるとは思わなかったぜ」

 そういった響の胸元には伊達眼鏡が下げられている。

「だが似合っていたのは確かだぞ響」

「そうだけどよ……でもお前らそれを見せびらかしたりしたらタダじゃおかねぇからな?」

 ドスを聞かせた声で告げる響に皆が引きつった笑いを浮かべる。

 ……こいつ等絶対どっかに貼る気だったな。

 内心でため息をつく響だった。




 三人と別れ、そのまま部屋に戻った響を待っていたのは、

「おっかえりー!」

 半裸の状態で待ち構えていた楯無の姿だった。

「……」

「あーちょっと待った待った!! 何で無言でドアを閉めるの!?」

「いやなんか見たくないものがいたなって思って」

「ひどっ!? 見たくないものって結構ひどいよ!!」

 響の言葉に抗議の声を上げる楯無だが、表情を見る限りそこまでは傷ついていないらしい。

「んで。今日は何の用事だ楯無」

 閉めようとした扉を再度開き、自分の部屋に戻りながら響は楯無に問うた。

「ん、えっとね。この前響ちゃんがボーデヴィッヒさんを助けたじゃない? そのとき使った武装について教えて欲しいなーって」

「武装? ああ、神炎ノ御手のことか。アレは篠ノ之束から勝手にもらったんだよ、夜天月のときと同じようにな。能力はISエネルギーを全て無効にするらしいただし10秒間。因みに炎みたいに見えるのはエネルギーが燃焼してるからなんだと」

「なるほどね……他には?」

「んーっと、そういや人体には無害らしいな」

 響の説明に納得がいったのか、楯無はうんうんと頷くと、

「まぁ大体のことはわかったわ。じゃあとりあえず……今日は私と寝ましょう響ちゃん!!」

「お断りだ、さっさと出てけこの露出狂」

「なっ!? 露出狂と来たか……! むー、わかったわよ今日はあきらめてあげる。でもまた来るからね!!」

 捨て台詞を残しながら楯無は部屋から飛び出し、自分の部屋に戻っていった。

「まったく……騒がしいヤローだ。ふあ~……今日は疲れたな。もう寝るか……」

 響はそういうと寝巻きに着替え、ベッドにダイブした。

「風呂は……明日の朝入ればいいかー」

 それだけ言うと響は意識を手放した。








 夜。

 満点の星空の下に響はたたずんでいた。

 だが不思議なことに、星が煌いているのは空だけではなく地上もだった。

「なんだこりゃ? どうなってやがる?」

 呟く響だが次の瞬間、自分がどのようなところにいるのか理解した。

「水面? 私が立ってるのは水面なのか……」

 そう、響がたたずんでいるのは鏡のようになっている水面の上だった。鏡のようになっているため、空の月や星達が反射して地上にも星があるように見えたのだ。

「いやそれよりも……ホント何処だよここ。さっきまで絶対ベッドの上にいたはずなのに……」

 辺りを見回すがただただ、夜空と水面が続いているだけだ。もはや何処が地平線なのかわからなくなってくるようだ。

「おーい! 誰かいねーのかー!!」

 大声を張り上げてみるものの、それに答えるものはいない。

「無人かよ……仕方ねぇ少し探して――」

 そこまで言った所で、響の頭に声が聞こえた。

『あなたはもっと強くなりたい?』

「あん? 誰だ?」

 声は女性の声だった。少し大人っぽいイメージの落ち着いた声だった。そして声はさらに続ける。

『力を望むなら、私は貴女に力をあげる。だけど知っておいて、貴女の力を利用しようとしてる人がいることを』

「いやだから誰だよお前……なんで姿が見えない?」

『そう……私はまだ貴女に見えていないのね。でもそのうち会えるからまた今度ね』

 少し残念そうな声でその声は告げた。

「また今度ってどういう……ぐっ……!」

 響はまた闇に意識を奪われはじめる。

『おやすみなさい。……マイマスター』

 かすれてゆく意識の中で、最後にそんな声が聞こえたような気がした。 
 

 
後書き
以上ですー

今回は前回までと違い少し短めですw
ところどころセシリアが変態化してますがおきになさらずw
最後の会話はもう大体のひとはお分かりですよねwww

次のお話からは臨海学校でございます
そして福音戦ではまた新たな武装や声の正体が明らかになります

キルラキルとギアスを見てから響の声が小清水亜美さんで再生されてしまう作者でしたw

感想などお待ちしています 
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