ハーブ
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第二十三章
第二十三章
「バチカンですか」
「はい、あちらから要望がありまして」
「このハープを保管してですね」
「そうしていいでしょうか」
「役さん」
本郷はここで役に顔を向けて問うた。
「どうですかね」
「いいのではないのか?」
役も話を聞いて静かに述べた。
「あそこならこうしたものの保管もだ」
「お手のものですしね」
「バチカンはそうしたことは得意ですからね」
また言う本郷だった。
「それじゃあ」
「警部にも話をしておくか」
「それはすぐに済みます」
アンジェレッタは微笑んでそれは問題ないというのだ。
「ここはアイルランドですから」
「そうですね。アイルランドでしたら」
役もそれで話がわかった。アイルランドはカトリックの国である。だからバチカンの影響はかなり大きくバチカンの要望もかなりの力があるのだ。
「問題ないかと」
「ではそういうことで」
「呪われてませんかね」
本郷は話が一旦整ったところでこのことを気にかけた。
「何があってもおかしくない代物ですけれど」
「まずはこうしてです」
ここでまた水晶を出してであった。そこから光を出してだ。
その光の球体を作ってハープを中に包んだ。それはすぐに小さくなり水晶の中に入り込んでしまった。それで終わりであった。
「保管しますので」
「凄い魔術ですね」
本郷はそれを見て少し驚きの声を出した。
「そんな魔術が使えるのですか」
「はい。これが私の魔術です」
また言うのだった。
「ですから」
「よし、それじゃあこれで話は終わりですね」
「そうですね」
「全ては終わった」
役も言った。
「それではな」
「はい。それでこれからどうします?」
本郷は役に顔を向けて問うた。
「これからですけれど」
「仕事も終わったからな」
「何か飲みに行きますか?」
「パブか」
「はい、パブに」
またであった。とにかくアイルランドといえばパブだった。まさにアイルランドそのものと言ってもいい程のものがそこには内在されていた。
「行きますか」
「そうだな。それもいいな」
役も本郷のその言葉に頷いた。
「ここに来てからそこばかりだがな」
「よし、それじゃあ」
そうしてだった。そこに来てだった。
「行きますか」
「ああ、それではな」
「アンジェレッタさんはどうしますか?」
本郷はアンジェレッタにも問うた。
「それで」
「はい、では昨日と同じく」
「いいんですね」
「アイルランドのビールはいいものですね」
こう言って微笑む彼女だった。
「それでは」
「はい、では三人で」
その足でパブに向かう三人だった。戦いの後の美酒を心ゆくまで楽しむのだった。
そして次の日の朝。警部に対して全てを報告するのだった。
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