ヘタリア大帝国
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TURN91 アステカの女神その十一
「後は」
「条約の破棄だけですね」
「はい」
その通りだというのだ。
「シベリアにも戦力を集結させています」
「ではエイリスの作戦が終了し次第です」
セーラの読み通りだった、やはりカテーリンはこう考えていた。
「中立条約を破棄しそのうえで枢軸各国に宣戦を布告します」
「それでだね」
「まずは満洲を攻略します」
カテーリンは己の隣にいるロシアにも答えた。
「そしてそこから太平洋に雪崩込みます」
「その際は私が陣頭指揮を取ります」
「まずは先遣隊ですが」
「ドクツのトリエステ提督と」
そしてだった。
「彼が務めてくれます」
「彼がですね」
「今では立派な共有主義者です」
ジューコフの隣にいるゲーペが己の眼鏡に手を当てて答える。
「本人は洗脳に気付いていませんが」
「共有主義は教え込むものです」
カテーリンはこうも言った。
「だからそれでいいのです」
「はい、同志カテーリンの仰る通りです」
ジューコフも言う。
「拒む場合は」
「叩き込むことも必要です」
これがカテーリンの教育への考え方だ。
「ですからこれでいいのです」
「そして彼は今では書記長の忠実な同志になっています」
「よいことです。それでは」
「満州からですね」
「まずは日本です」
この国から潰すというのだ。
「太平洋の中心になっているあの国です」
「日本の勝利は想定外でした」
ゲーペも言う。
「まさかガメリカ、中帝国に勝利を収めるとは」
「ガメリカと中帝国は落ち込んだのはよかったです」
このことはカテーリンにとっては喜ぶべきとだった、両国が資産主義だからだ。
「ですが日本が伸長し過ぎたのは」
「喜ばざることです」
「だからまずは日本です」
太平洋の中心のその国だというのだ。
「あの国を攻略します」
「じゃあ僕達もシベリアに向かうね」
ロシアもカテーリンに言う。
「それで満州から日本進むから」
「お願いします」
カテーリンはロシアにも言った。
「後はドクツですが」
「何かあの国ってね」
ミーリャもいる、彼女も言うのだ。
「絶対に悪いこと考えてるわよね」
「尻尾は掴めませんが」
ゲーペもドクツのことを探っている、だがなのだ。
「それでもです」
「お願いします、同志ゲーペ」
カテーリンは厳しい顔でゲーペに応える。
「そしてドクツの正体を掴めば」
「戦後にですね」
「はい、このことを糾弾しドクツを倒します」
そうする考えだった。
「あのヒムラーという男、絶対に何かがあります」
「それが何かもわからないけれどね」
「不気味なものがあるのでは?」
ロシア妹が見たところである。
「あの総統には」
「そういえばレーティア=アドルフには不気味なものはありませんでした」
ゲーペもこのことは言う。
「覇気はありましたが」
「あの男には覇気はありません」
ジューコフもそうした見立てだった。
「小才はある様ですが」
「暗殺もしますか?」
ここで言ったのはゲーペだ。
「ゾルゲ大佐の手で」
「今は止めておきます」
カテーリンは首を横に振らなかった。
「ゾルゲ大佐には引き続き調査をお願いします」
「畏まりました」
「今は頃合を見て太平洋諸国に宣戦布告です」
これを優先させるというのだ。
「そうしましょう」
「わかりました」
全員がカテーリンに敬礼する、ソビエトは今は開戦の時を伺っていた、さながら獲物を狙う巨大な熊であった。
TURN91 完
2013・2・18
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