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ソードアート・オンライン 白銀の死神

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番外編
  黒の剣士:2

シリカが滞在しているという35層についてからというもの、たくさんのプレイヤーが彼女とパーティを組もうと話しかけてきた
そのたびにシリカは一生懸命、失礼に当たらないように誘いを断っていると、一番熱心に声をかけていた両手剣使いがこちらの方に向かってきた
「おい、あんたら。見ない顔だが、抜け駆けはやめてもらえないか?俺らはずっとこの子に声かけてんだぜ?」
ストーカーか

「そう言われても…」
おいおい、キリト。そんな対応じゃだめだぜ

「抜け駆け、ですか?この子が俺たちに頼んできたんですよ?それは抜け駆けにはならないでしょう?それに、抜け駆けって言うんならあなたたちより僕らの方が役に立つ、とこの子が判断したということなんだから」
少々文が通ってなかったが、十分だ

「んだとぉ!?」
向こうは激昂してつかみかかってこようとする。なので装備していた短剣を引き抜き、相手の首にあてる。恐らく速すぎて見えなかっただろう

「ひっ…」

「あんたが先に手ぇ出したんだ。正当防衛だ。正当防衛」

「…ナオ」

「っと、悪い。こんくらいにしとく」
そう言いながら短剣を下す。両手剣使いは脱兎のごとく逃げ出していった。そして周りのプレイヤーも

「ほどほどにしとけ」

「手っ取り早いだろ?いやー、シリカって人気者だなぁ」

「そんなことないですよ。マスコット扱いされているだけです」

「まあかわいいしな」

「ふぇっ!?」
面白いくらい動揺するな

「も、もう!おだてないでください!!…でも、そのせいで、ピナは…」

「大丈夫。絶対生き返らせれるさ。心配ないよ」
キリトがあえて落ち着いた声で話す

「…はい」
その言葉で落ち着いたのか、シリカはキリトに微笑んでいた


少しすると≪風見鶏亭≫という宿屋が見えてきた。ふとシリカが気付いたようにくるっ、とこちらに振り向いてきて尋ねる

「あ…キリトさん、ナオさん。ホームって…」

「ああ、いつもは50層だけど、面倒だしここに泊まるよ」

「あーっと、目的地でもある47層にマイホームがあるが…。まあ、帰る理由もないし。今日はここに泊まるよ」

「そうですか!」
それを聞いたシリカは嬉しそうに両手をポン、と叩いた

「ここのチーズケーキ、結構おいしいんですよ」

「へー、それは知らなんだ。…見落としてたな」

「へ?」

「ああ、こいつ、料理スキル上げててさ。そういうのに目がないんだ」

「そうなんですか~」
とほのぼの話をしているときだった

「あらぁ?シリカじゃない」
 声をかけられると、立ち止った
そう話かけてきたのは、ロザリアとかいう女性プレイヤーだった
え?何で知ってんのって?それは秘密

「…どうも」
「へぇーえ、森から脱出できたんだ。よかったわね」
そう言ってロザリアは口の端を歪める様な、嫌な笑い方をする。
お前、シリカが追いつめられるのわかってたな?

「でも今更帰ってきても遅いわよ。ついさっきアイテムの分配は終わっちゃったから」
「要らないって言ったはずです!ー急ぐのでっ」
シリカは早くこの女から離れたいのだろう。俺たちを引っ張って宿に入ろうとするが…

「あら?あのトカゲ、どうしちゃったのかしら?」
「…っ」
 トカゲとはピナの事だろう。
使い魔はゲームの使用上、主人の傍から離れることは無いから、その姿が見えない以上理由は一つしかない
まあ、俺は例外ではあるが
ロザリアの瞳に宿っているのは明らかな悪意。わざと言っているとしか思えない。こいつ、絶対楽しんでやがるな…

「あらら?あぁ!もしかしてぇ…?」
先ほどよりも更に嫌な笑いを口元に浮かべながらロザリアは畳みかけようとする
しかし、何か言われる前にシリカが口を開いた

「死にました…。でも!」
シリカの目が鋭くなり、ロザリアを睨みつける。

「ピナは、絶対に生き返らせます!」
「ほう」
正直驚いた。ここまで言うとは思えなかったからな

「へぇ、てことは《思い出の丘》に行く気なのね。でも、あんたのレベルで攻略できるかしらね?」
その質問で言葉に詰まるシリカ
っと、仕方ないな

「まぁ、俺たちが付いているしな」

「それに、あそこはそんなに難易度の高いダンジョンじゃない」
俺とキリトが一歩前に出てシリカをかばうように立つ
それを見たロザリアは俺たちを値踏みするように見る
すると
「あんたらもその子にたらしこまれた口?見たとこそんなに強そうには見えないけど」
「言うじゃねえか。まあ、どう言おうが俺は全く構わないがな。さっ、行こうか」
泣きそうになっているシリカを促し、俺達はは宿歩き出した。
うつむいていてよく見えないが、今のシリカは屈辱で顔をゆがませているのだろう

「ま、せいぜい頑張ってね」
 馬鹿にしたように言うロザリアに、シリカは振り向きもしなかった
俺は最後の言葉を発する瞬間、ロザリアの瞳に少しの歓喜と、強い欲望が宿ったのを、見逃さなかった。恐らくキリトも気付いているだろう
全く、面倒だ… 
 

 
後書き
何気ナオはある程度ならどの武器でも使えるようにしています

片手剣以外はそんなに熟練度は高くないですが 
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