転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0401話
ふと、目が覚める。
そのまま起き上がり、初めて自分が今まで寝ていたのがベッドだったと理解する。周囲へと視線を向けるが見覚えのある部屋だ。そう、確か飛行魚の俺の部屋。
以前にも似たような事があったと思い出す。例えば京都での最終決戦の後や、麻帆良に侵入してきたヘルマンとの後。そのいずれもがリョウメンスクナノカミやヘルマンを吸収した影響だったが……
いや、待て。なら俺は今、何でここに寝ている? そもそも俺はキズクモ以降はずっと異形化を使っていた筈なのだが、今は普通の人間の状態に戻っている。大人なのは恐らく年齢詐称薬の効果なのだろうが……
気を失う前の記憶を思い出そうとしたところで、ようやく俺のベッドの周りにいる4人の女の存在が眼に入る。
あやか、千鶴、円、美砂。いずれも俺の従者である4人だ。それぞれが俺のベッドへと頭を預けて熟睡しているらしい。
「アクセルさん……?」
そして部屋の扉から入って来た茶々丸が、俺を見て何故か動きを止める。
「ああ、どうしたんだ?」
「身体に異常はありませんか? 痛い場所、違和感のある場所といった所は、気持ち悪いとかそういうのも……」
表情はいつもとそう変わらないものの、茶々丸の雰囲気は俺に対する心配と不安が入り交じったものだ。
「ああ。それよりも俺に一体何……が……っ!?」
そこまで口に出したその瞬間。俺の脳裏に気を失う前の記憶がフラッシュバックしてくる。飛行魚。無数の精霊。迎撃。苦戦。地上。古菲。それらの単語が瞬時に頭の中を駆け抜けてそこで全てを理解する。
そう、俺は闇の魔法の副作用と思われる脈動により気を失い……魔物と化したのだ。そして数千、数万、数十万とも言える精霊を砕き、破壊し、貫き……全てを喰らった。
だが、魔物と化したというのはともかく何できちんと俺の意識が戻っている?
「アクセルさん、これをどうぞ」
考え込んでいると、茶々丸に紅茶の入ったティーカップを渡される。それを受け取り、茶々丸に感謝の言葉を告げつつ、口へと運ぶ。
そのまま、紅茶を飲みながら思考を続ける。
魔物と化した俺が暴走した。これはまぁ、分かる。そして無意識ではあろうが飛行魚を襲わずに精霊達へと襲い掛かった。これもまぁ……精霊を喰らったというのはともかく分からないでもない。そして精霊の全てをどうにかした俺が暴走している故に次の標的としてこの飛行魚、そしてその甲板上にいたあやか達に狙いを定めた。ここまではいい。だが、そこからどうやって俺の意識を取り戻した? いや、暴走している中であやか、千鶴、円、美砂の声を『念話』で聞いた覚えがある。それを頼りに俺という意識が暴走していた身体を強引に奪い取り、再構築してアクセル・アルマーという存在になったのは確かだ。だが、俺自身の規格外とも言える魔力に、数十万近い精霊を貪り食ってその身に宿した魔力。それが、幾らなんでもあやか達の念話だけでどうにかなるのか?
精霊を喰らう。つまりは、精霊を構成していた魔力を食らう……そうなると。
ステータス画面を表示してその画面を確かめ……
「……何っ!?」
「アクセルさん? やっぱりどこか具合でも?」
俺が紅茶を飲んでいる間、黙って側に控えていた茶々丸が声を掛けてくる。
まぁ、紅茶を飲んでいたと思ったらいきなり叫んだんだからな。無理もない。
「いや、ちょっとな。少し考え事をしていて驚いただけだ」
だが、今の俺はそんな茶々丸に対して短く言葉を返すしか出来なかった。
何しろ、俺のステータス画面が色々と予想外の事になっていたのだから。
まず、あれだけの精霊を倒したというのにレベルは変わらずに39のままだ。自分より弱い相手を倒した時の経験値は少ないというのはこれまでの経験で理解はしているが、それにしても数万、数十万単位の精霊を倒したというのにレベルが上がってないというのはおかしくないだろうか。ただ、レベルが上がっていない理由は撃墜数をみれば納得するしか無かった。撃墜数392。そう、最後に俺が確認した時と変わりない数値だったのだ。つまりあの戦いで精霊を大量に倒したにも関わらず、ステータス的には一切その恩恵を受けていない訳だ。
そして同様にあれだけの精霊を吸収したにも関わらず、魔力。即ちSPもステータスを最後に確認した時同様470のままだ。まぁ、これに関しては吸収してもステータスアップするなんて現象はこれまでも無かったのでしょうがないと言えばしょうがない。
ただ、魔力で構成されている精霊を吸収したのだからもしかして……と思っただけなのだから。
「……そしてこれ、か」
ステータス画面で起こった最も著しい変化。それは、PPの現在値が15まで減っているという事だ。
確か最後に確認した時の残りPPは715だった筈。そうなると俺は700もの大量のPPを失ってしまったのだろう。何が原因だ? と、一瞬考えるがその答を俺は殆ど本能的に理解していた。
恐らく、俺が闇の魔法の影響で暴走して魔物化した状態から意識を取り戻すのに保有していたPPを殆ど全て消費したのだろう。もちろん従者としてあやか達がやってくれた『念話』による呼びかけがあってこそなのだろうが。
700ものPPを消費して意識を取り戻したのは、安いと見るか高いと見るか。
……どう考えても安いだろうな。何しろあのままだと俺は完全に魔物と化していたのは間違い無いのだから、それに比べたらこれまで貯めてきたPPの殆ど全てが無くなってしまうのなんてそう大した問題じゃない。
そして、最後に気が付いた事。それは、スキル覧だ。当初鬼神化だったものがヘルマンを吸収して異形化に。そして闇の魔法を使って暴走し、魔物と化した俺があらゆる種類の精霊達を貪り喰った結果でもあるのだろう。即ち……
「混沌精霊、か」
そう。本来であれば異形化と表示されていたスキル覧が混沌精霊へと変化していたのだ。そしてこのスキルの変化名は鬼神化から異形化へと変わった時以上の意味を持つ。何故なら、鬼神『化』に異形『化』はその名の通り人がそれ以外の存在に一種の変身をするという意味だ。だが、現在の俺のスキルは混沌精霊であり『化』がついていない。つまりは、混沌精霊という状態が俺の標準となっているのだろう。詳しい能力に関しては後できちんと確認しなければいけないが……
これまでの俺は多少規格外な所はあれど、肉体的なベースは正真正銘の人間だった。それが、今では一種の魔法生物に近いと予想される混沌精霊か。
そう思うも、何故か不思議な程にその事実をすんなりと受け入れ、飲み込む事が出来たのだった。
こうして、自分が正真正銘の人外の存在になったというのを認識して茶々丸へとこれからの事を聞こうとして口を開こうとしたその時、部屋の中へと声が響く。
「ア……アクセル君!?」
声の主はあやかだった。同時に、その声で他に眠っていた3人も眼を覚ます。
「あやか? ……あら、アクセル君。目が覚めたのね」
「ちょっと、もう起き上がっても平気なの?」
「……良かった……」
あやかの声で眼を覚ました千鶴、円、美砂の3人が俺の姿を見て安堵の息を吐く。
「アクセル君、身体の調子は……具合の悪い所とかはありませんの?」
4人を代表してだろう、そう尋ねてくるあやかの言葉に頷く。
「ああ。色々と世話を掛けたらしいが、おかげでこの通り何とか戻って来れたよ」
「……あまり、心配をかけないでくださいまし」
つうっとその瞳から一筋の涙を流しながら、俺の手を握るあやか。
「あやかの声、千鶴の声、円の声、美砂の声。全員分の声は俺の心に届いた。その声を辿って俺はあの状態から復帰出来たんだからな。ほら、泣くな。綺麗な顔が台無しだぞ?」
そっと、あやかの涙を拭ってやる。
「もう……もうっ! 私達がどんなに心配したのか分かっていますの!? それをこんな事で誤魔化されてなんてあげませんから」
そうは言いつつも、頬を赤くして顔を背けるあやかだった。
そんな様子のあやかを見ながら他の皆もようやく笑顔を取り戻した所で俺の腹の虫が盛大に自己主張をする。
「サンドイッチを作っておきましたのでどうぞ。お口に合えばよろしいのですが」
「今まで茶々丸の料理が口に合わなかった事なんかないから心配はしてないよ」
差し出された皿に大盛りになったサンドイッチを口へと運ぶ。
ハムとキュウリの典型的なサンドイッチだが……ここが魔法世界である事を考えると、恐らくこのハムも普通の豚肉のハムじゃないんだろうな。
「……美味いな」
俺のその言葉に、ペコリと一礼をする茶々丸。
「喜んで貰えて何よりです。ですが、2週間も何も食べていなければ無理もありません」
「……2週間?」
その台詞に反応し、あやかの方へと視線を向ける。
ようやく涙も止まり紅茶を飲んでいたあやかだが、俺のその質問に頷く。
「ええ。アクセル君が倒れてから既に2週間が経っています」
……なるほど。だからこそあんなに心配していた訳か。
にしても、2週間か。そう言えばヘルマンを吸収した時はエヴァの別荘で3日ほど寝込んでいたが……それよりも随分と起きるまでの時間が増えたな。恐らく人間から混沌精霊へと俺自身が作り替えられて安定するのにヘルマンを吸収した時よりもさらに長く掛かったんだろうが。
「じゃあ、ここはもうオスティアか?」
その言葉に、あやかが首を横に振る。
「いえ、ここは精霊達に襲われた場所です。この2週間、精霊に襲われた場所から動いてはいません」
「……何?」
ここが飛行魚の中だというのはこの部屋を見た瞬間に分かった。そして動いている様子がない事からどこかの街で停泊するなりなんなりしているものだとばかり思っていたんだが……
そんな疑問が顔に出ていたのだろう。どこか恥ずかしげな様子で千鶴が口を開く。
「その、アクセル君を止めようとして頑張っていたら、私の虹色領域の腕輪が新しい能力を使えるようになったのよ。で、その能力が領域内の重力を最大10倍にまでにするものなんだけど……」
「ほう」
領域内の重力を最大10倍まで自由に操る、か。色々と応用が効きそうな能力だな。
……いや、待て。今の会話の流れでそれを出すという事はもしかして……
チラリ、と千鶴へと視線を向ける。その視線を受けた千鶴は何かを誤魔化すような笑顔を浮かべていた。
そしてそんな千鶴をジーッと見つめる、見つめる、見つめる。
やがて俺の視線に耐えられなくなったのか渋々と口を開く。
「アクセル君を甲板に押さえ込んだらその重さで飛行魚が地上に落下してしまったのよ。それで今はその修理中らしいわ」
「そうか……一応リュボースには?」
「ええ、もちろん謝ったわ。けど、リュボースさんにしても、この船の船長さん達にしてもあのままだと船が壊れて使い物にならなくなる所だったんだから、それを回避できただけでもありがたいって逆にお礼を言われてしまったわ」
「まぁ、確かにあの精霊の群れと普通の飛行魚が遭遇したりしたら助かる可能性は少なかっただろうな。だが、2週間もあれば他の飛行魚なり近くの街なりに救援要請なりなんなりを出せたんじゃないか?」
「確かにそういう意見もあったけど、リュボースさんが私達の賞金首という状況を考えて船長に無理を言ってくれたのよ。さすがに救援要請なりなんなりがくれば乗員や乗客に関して詳しく調べられるからって。それと、時間は掛かるけど壊れた箇所が自力で直せる範囲だったというのもあったらしいし」
そもそも、結局なんであの精霊の群れは俺を襲ってきたのかその理由もまだはっきりとしていないんだよな。その辺が分からないとまた同じような事が2度、3度とあるかもしれないだけに非常に気になる。
「それで、飛行魚の修理は?」
「修理に関しては、明日の夕方には完了予定と先程紅茶を取りに行った時に聞きました」
俺のティーカップへとおかわりの紅茶を注ぎながら茶々丸が告げる。
「なるほど。じゃあ後1日あるのか。なら明日の午前中は……そういや、今は何時だ?」
「大体昼過ぎといった所ね」
ふむ、時間的な余裕は十分あるか。なら、やっぱり明日の午前中にでも混沌精霊とかいうのになった俺の身体の性能をしっかりと確かめておいた方がいいだろうな。
少なくても、ナギ・スプリングフィールド杯に出る以上、あの異形化の状態になるというのは必須だ。
……待て。異形化?
その瞬間、脳裏に浮かんだのはあの戦闘中に関わらず何故か拾い上げた古菲の姿だった。
「古菲はどうした? と言うか、何でこんな所にいたんだ?」
「その、どうやらフェイトに強制転移させられた後は1人で修行をしていたらしく……」
「こんな所でか?」
「そのようです」
「……いや、まぁ。古菲ならそれもあり得るのか」
その、古菲らしいといえば古菲らしい行動に思わず苦笑するのだった。
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
撃墜数:392
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