パンデミック
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第九話「作戦終了」
ーーー【集合予定ポイント・中央広場】
中央広場には、既に70人近くの兵士が集合していた。
簡易テントが設置され、大きめの布が敷かれている。布の上には、負傷した兵士が横たわっている。
少し離れた場所に、死んだ兵士の遺体。
衛生兵は、あちこちを走り回り負傷した兵士の治療に努めている。
ベテラン兵士のタガートは、うろうろ歩き回りながら、頭を抱えていた。
一体何人が生き延びているのだろうか……
「クソ……やはり新兵には荷が重すぎたんだ……」
タガートは「エクスカリバー」で4年間生き残り続けたベテランだ。
4年生き残ったからこそ、今回の作戦がどれだけ無茶なのかを理解している。
そもそも、5~60mの防壁が設置されたレッドゾーンに新兵を送るなど、あり得ない。
しかし今回は、この作戦を担当していた「殲滅特化部隊」と一部のベテランが、別の任務に
参加したために、戦力の埋め合わせとして、新兵がこの作戦に加入することになった。
その結果がこれだ。
129人いたはずの新兵が、今や30人生きているかも怪しい。
「今回の作戦………新兵を連れてきてまで強行する必要があったのか…?」
タガートの、心の底からの疑問だった。
この作戦を強行したから、新兵の半数以上が死んだ。
「過去を嘆いても仕方ない。今は…ワタシ達にできる最善を尽くそう」
数少ない女性兵士・クレアは、タガートを連れて負傷した兵士の治療にあたる。
ーーー同時刻
5人の兵士が中央広場に到着した。
「ハァ……ハァ……ハァ……なんとかここまで来れたな…」
「ハハハ………見たかバケモン共が……クソッタレ……」
「ユニ~、大丈夫かぁ……?」
「うん……大丈夫………」
「………………」
中央広場に到着した兵士達を見て、タガートとクレアは歓喜した。
「おお、よく来た新兵共!よく生きててくれた!」
こちらに駆け寄って来るタガートを見て、ソレンスとオルテガも歓喜した。
「タガートさん!ご無事でしたか!」
「よぉ、タガートのおっさん!」
一方、クレアはユニのもとに歩み寄る。
震えが止まっていないユニを慰めるように、クレアはユニを抱きしめた。
「よく生きててくれたね……ユニ……生きててくれてありがとうね……」
その言葉を聞いたユニは、クレアを抱き返した。
目に溜まっていた涙が、溢れ出てくる。
「クレアさん………うぅ……ヒック……うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
再会を喜ぶ中、ブランクは一人の兵士のもとへ向かった。
「ん、おう。生きてたか、ブランク」
「………あぁ、お前も生きてたか、レックス」
レックス、と呼ばれた兵士は、腕を組みながら周りを見た。
少しして、レックスはブランクの方に向き直った。
「……生き残ったのはこれで全部、だと」
「…………半数、どころじゃないな」
作戦開始前より、かなりの兵士が死んだ。
五体満足の兵士など、少数派だろう。
ソレンスらのような新兵は、まだ運がいい方だろう。
腕や足をもがれた兵士も少なくない。
しばらくして、レッドゾーンの防壁の外に、爆撃機が到着した。
防壁のゲートが開かれ、生き残った兵士達はレッドゾーンの外へ向かった。
<<報告書>>
作戦コード「ブラック・アロー」 失敗
新兵 129名→28名
兵士 131名→69名
合計 97名
20チーム中14チームが壊滅
新兵 死者 84名
行方不明 17名
兵士 死者 58名
行方不明 4名
後書き
「ブラック・アロー作戦」が終わりました。
次の作戦までは少しかかります。
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