戦国異伝
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第百三十八話 羽柴の帰還その八
そしてだ、さらにだった。
「それに竹千代もじゃ」
「徳川殿も誘われますか」
「そのうえで戦われますか」
「最初からそのつもりだったがな」
それでもだというのだ。
「それに竹千代の方も呼んでくれと言っておった」
「では徳川殿もですか」
「お呼びして」
「そのうえで浅井、朝倉と雌雄を決する」
そうするというのだ。
「次の戦でな」
「では今度こそ、ですな」
細川、今は青い服を着ている彼がここで信長に問うた。
「朝倉家を降しますか」
「無論じゃ、まずは外での戦、そうじゃな」
信長は細川に応え述べていく。
「姉川辺りの一戦交えてからじゃ」
「それからですか」
「浅井の小谷城を囲みそれで浅井家を抑えているうちにじゃ」
「そのうちに、ですか」
「一気に越前を攻める」
そうするというのだ。
「朝倉の兵を破るか追うかしてな」
「ここでそうされますか」
「次の戦でな」
朝倉を完全に降すというのだ、そしてだった。
それに加えてだ、この家もだった。
「浅井家もな」
「あの家もですか」
「次の戦で」
「降すにしても考えがある」
そうだというのだ。
「仕掛けてみる」
「?仕掛けるとは」
「一体」
「うむ、その時に話す」
今はそうしないがそれでもだというのだ。
「とにかく朝倉家をまず降す」
「それから浅井殿ですか」
「あの家を」
「出来れば猿夜叉は助けたい」
信長も同じだった、この考えは。
「あの者は天下に必要じゃ」
「ですな、生真面目な方ですし」
「是非共」
「あ奴は人を裏切らぬ」
絶対にだとだ、信長は彼が感じ取っていることを述べた。
「あ奴が裏切った訳ではない」
「ではやはり久政殿が」
「あの方が」
「そうであろう、しかしじゃ」
彼が裏切った、だがだというのだ。
「あの御仁もな」
「そうですな、裏切られる方ではありませぬ」
「とても」
久政についてもだ、確かにその器は息子よりも劣るが人としては生真面目で律儀だ、長政は父のその気質を受け継いでさらに強くなっているのだ。
だからだ、久政もだというのだ。
「何かありますか」
「浅井家においても」
「これもわからぬ、しかしじゃ」
それでもだというのだ。
「浅井家は何とか滅ぼさずに済ませたいわ」
「では殿」
丹羽が話が一段落したところで信長に言って来た。
「まずは岐阜に戻られて」
「そうじゃな」
信長も丹羽の言葉に頷く、そしてだった。
「猿達も戻ったしのう」
「数日程休まれてから」
「うむ、戻ろう。だがその際にじゃ」
信長はこう言うのも忘れなかった。
「近江の南は守っておこう」
「そこはですか」
「浅井が何時来るかわからぬ」
何時攻めてくるかというのだ。
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