モンスターハンター ~厄災の狩人達~
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フラヒヤ山脈へ
明星の英雄
フラヒヤ山脈道中①
前書き
※ここから先はこんな具合になります。
フラヒヤ山脈にて雪山草の採取グループ→フラヒヤ山脈組
グノーム火山にて龍殺しの実採取グループ→グノーム火山組
竜神族捜索組→ロノフィン組
「よし。このルートで行こう。」
ガイルが地図を広げながらセージたちに意見を伝えた。
「まず、ラティオ活火山とドンドルマの間を抜けるこの小道を通り、その先にある二十七番ギルドロードへ合流する。
アルフレッドの情報によればこの二十七番ギルドロードがもっともモンスター目撃情報が少なく、早くつける道のりだそうだ。」
ガイルは地図をたたんだ。
「まあ、目撃情報が少ないとはいえ多少は目撃されてるってことだから気をつけないとね。」
「バカヤロウ!そんなこと言うと…。」
ただ単に警告を促したセージにガイルが注意をしたとたん、
「な、なんだアレ!?」
と一人の太刀ハンターが左側を指しながら叫んだ。
そこにはディアブロスらしき角が突きあがっていた。
「アレは…、ディアブロス!?」
「違うな、よく見ろ。なんか余計なものも見えないか?」
「そういえば…、紫色の棒が何本か見えるな。」
「それってダイミョウザザミ亜種じゃないか?」
「だな。しかし、こんなとこにも出るのかあの蟹」
途端に
「どうやらこちらに気づいたようだね。」
いつの間にか双眼鏡を取り出し観察していたセージが皆に言った。
「おっともぐったぞ、気をつけろ!」
ガイルが警告した直後だった。
突然荷車の真下から何かに突き上げられるような感覚がガイル達を襲った。
「のわぁ!なんだ!?」
「突き上げ喰らったね。言われた傍から…。」
気づいた頃にはダイミョウザザミ亜種に突き上げられていた。
「ぐへぇ…。」
「おえ、砂飲んじまった。」
一緒に居たハンター達もいきなりの急襲に驚いていた。
「父さん、どうする?まったく予定していなかった事態だけど。」
「んなもん、狩るに決まってんだろ!」
「そういうと思った。皆、行くよ!」
セージはガンランスを背中から抜き構えた。
ガイルも片手剣を抜き、後続のハンターもそれに続いた。
「来た。ゆっくりとこっちへ来ている。」
紫色のダイミョウザザミは脚を巧みに動かし前進している。
「でおりゃぁああ!」
真っ先に突っ込んだのはガイルだった。
ガイルは左手の雷刃ヴァジュラをダイミョウザザミ亜種の頭目掛けて振り下ろした。
「何でいっつも後先考えず突っ込むのか…。」
セージは一度電銃槍フルボルトをしまい、ダイミョウザザミ亜種目掛けて走り出した。
「セージさん!俺達はここから後方支援するから、遠慮なく狩ってください!」
「ああ、ありがとう!」
後ろに居たライトボウガンを使っているハンターからの言葉を受け、セージはその重機槍をダイミョウザザミ亜種の脚へ突き上げた。
ガイルの先制攻撃でひるんでいたのか、セージの追加攻撃でダイミョウザザミ亜種は転倒してしまった。
「やるじゃねえか、セージ!」
「もう無理に突っ込まないでくれよ父さん!」
セージがダイミョウザザミ亜種の脚目掛けて火薬砲撃を繰り出す。
そしてガイルが片手剣で頭へと切り込んでいく。
いつの間にかダイミョウザザミ亜種は起き上がり、体勢を整えていた。
「俺達も負けちゃいられねえっすよ!」
と、太刀ハンターがセージのいる反対側の脚へと斬りかかった。
「おっ、威勢がいいじゃねえか若いの!」
とガイルが太刀ハンターを賞賛したその時だった。
突如としてダイミョウザザミ亜種が今までにない動きを見せた。
ダイミョウザザミ亜種はその自慢の脚を活かし後ろへ大きく後退した。
「なんだ?あんな動き方したっけ?」
「いや、僕も見たことがないな。」
その後、ダイミョウザザミ亜種は自身の盾爪を打ち鳴らし始めた。
「なんだぁ、アレ?」
ガイルは雷刃ヴァジュラを一度収めた。
「似たような行動をするモンスターがいないかい?父さん。」
「うーん…。あぁ、ゲリョスだ。」
「うん。でも、ゲリョスはトサカの中の器官で閃光を発しているからそれとは違う気がする…。
父さん、何か聞こえないかい?」
セージはダイミョウザザミ亜種の盾爪から発せられている金属音を聞き逃さなかった。
「おお、確かに何か聞こえるぞ?」
打ち鳴らしを終えたダイミョウザザミ亜種は自分の爪を高く上へ掲げた。
その後勢いよく爪を打ちつけた。
打ちつけられた爪からは金属が爆ぜる音と共に、飛竜種の咆哮を思わせるバインドボイスが飛んできた。
「…クッ!」
太刀ハンターは耳栓が発動していなかったのか耳をふさいだ。
「そら、行くぞ!」
ガイルが太刀ハンターを蹴った。
「助かりました!よぅし!」
と、太刀ハンターは勢いよく走り出した。
「すまない、待たせたな!」
と、砂を飲んだと言っていたハンマー使いもガイルの隣を走っていた。
「ずおりゃあああ!」
ガイルは先ほど打ち鳴らされたバインドボイスに負けないくらいの大声を出しながらダイミョウザザミ亜種に斬りかかった。
ダイミョウザザミ亜種は待ち構えていたかのようにタイミングよく爪でガイルを振り払った。
「グハァッ!」
ガイルは勢いよく吹っ飛んでいった。
「父さん!大丈夫かい!?」
ガイルを気遣ったセージだったが、
「おっと危ない!」
左爪を自分目掛けて振り下ろそうとしているダイミョウザザミ亜種に気づき、あわててガードした。
その後ハンマー使いが持っているハンマーを頭目掛けて振り上げた。
ダイミョウザザミ亜種は触覚を揺らしながらその場に倒れこんでしまった。
「しめた、めまい状態だ!皆続けえ!」
ガイルが叫ぶと後方のガンナーも一斉に撃ち始めた。
「でぇい!ふん!そおりゃああ!!」
ハンマー使いの男は二回ハンマーを頭へ叩きつけた後、思い切り振り上げた。
セージは竜撃砲の発射準備をしていた。
「安全装置解除、特殊トリガーロック、電磁カートリッジセットオン!」
そして、
「竜撃砲発射!!」
電銃槍フルボルトから放たれた強大な熱量の火薬砲撃はダイミョウザザミ亜種の甲殻を焼き払い、肉を焦がした。
ダイミョウザザミ亜種は、口から藍色の泡を吹き鈍った動きをし始めた。
「おおっ、もう弱ってやがるぞ!?ラストスパートだぁ!」
ハンマー使いは力を溜め始めた。そこへ、
いきなりダイミョウザザミ亜種が伸び上がり痙攣し始めた。
「なんだ!?」
ガイルが足元を見るといつの間にかシビレ罠が張ってあった。
「二重三重の罠を張っとかないとね。」
セージがグッドサインをだし、
「さあ、決めちゃってください!」
力を溜めているハンマー使いに向かって叫んだ。
「礼を言うッ!」
全ての力をダイミョウザザミ亜種の頭目掛けて叩き込んだ
完全に息の根が止まった。
「ふぅ…、なんとか終わったね。しっかし…。」
セージはダイミョウザザミ亜種の背負っているディアブロスの頭骨を見ながら首をかしげていた。
「どうした、セージ。」
ガイルが素材を剥ぎ取りながらセージに聞いた。
「いや、妙にこの頭骨の傷が多いなと思ってね…。」
「ふ~ん…、おぉっ!こいつは極上ザザミソじゃねえか!これで酒が進むぞ~。ウシシシ。」
ガイルは剥ぎ取ったばかりの極上ザザミソを液体用袋に入れ、ポーチにしまった。
「ったく…。いつまで酒のことを考えているんだい?っと、僕も剥ぎ取っとかないと。」
と、セージも剥ぎ取りを開始した。
「あ、極上黒真珠だ。母さんへの土産にしとこう。」
セージは極上黒真珠に傷が付かないようにする方法を試行錯誤した。そして、
「空きビンがあればいいんだけど…、誰か持ってるー?」
セージは周りに居たガンナー達に尋ねた。
「あ、俺持ってる。どうぞ。」
一人の弓使いから空きビンを一つ譲りうけた。
「この空きビンに砂を入れれば傷は付かないだろう。」
セージは空きビンを砂の中に突っ込み、そのビンの中に極上黒真珠を埋め込んだ。
「そういえば荷車は大丈夫だろうか?」
ガイルがふと荷車の方を見ると、アプトノスが引いている荷車は姿形を崩さず元居た場所にあった。
「なんちゅう荷車だ…。あの突き上げ喰らってびくともしねえなんて…。」
回復薬を一飲みした後ガイルが周辺のハンター全員に告げた。
「うし!行くぞ!」
ガイル達は荷車に乗り込みそれぞれ剥ぎ取った素材を荷車の中に居れ、乗り込んだ。
その後約二時間荷車に乗り続け、ようやく二十七番ギルドロードに合流した。
「やっとギルドロードかぁ。」
ガイルはこんがり肉を手にしながら前方の風景を眺めていた。
「何食べてんだよ父さん…。」
セージが呆れ口調でガイルにぼやいた。
「ん?ハンターの行動源は腹の膨れ具合だ。腹が減ったらメシを食う。自然の摂理だろうが。」
ガイルはこんがり肉にがっついていた。するとガイルの口元以外からもこんがり肉のいい匂いが漂ってきた。
見るとセージ以外の全ハンターがこんがり肉を食べていた。
「皆も…。食べればいいんでしょ、食べれば。」
セージはポーチからこんがり肉を取り出しがっつき始めた。
「それでこそ男。それでこそ我が息子だセージ。」
高笑いをしていたガイルだった。
その後一時間半談笑が続き、気づけば夕方になっていた。
「そろそろ今晩泊まる宿を見つけないとな。」
と、セージの双眼鏡で周囲を見渡していたガイルが
「おっ、村があったぞ!」
村を発見した。
「今日はあの村の宿に泊まろう!それっ!」
ガイルはアプトノスにつながっている縄を勢いよく張りなおした。
縄が跳ねる乾いた音と共にアプトノスが走り出した。
「おー、綺麗な村だなぁ。」
「エイン村と同じくらいかなぁ…。」
「つーかこの村なんて名前なんだ?」
ガイル達は辿り着いたはいいもののここがなんと言う村なのかは理解していなかった。
「すみません、この村は何て言う村なんですか?」
近くの女性ハンターにセージが尋ねた。
「へっ!?…えと、ここはユクモ村です。」
「ユクモ村かぁ…。あんま聞いたことのない村だなー。あ、ありがとね。」
「ど、どうも。」
女性ハンターはその場を去っていった。
「父さん、ここはユクモ村らしいよ。」
セージはガイルに報告した。
「おお、ここはユクモ村だったか!よぉし、今日は温泉に入り浸りだ!」
「父さん、この村に来たことあるの?」
「ああ。二十年前だったか、この地にいるディアブロスは気性が特に荒いってんで、当時ハンターの間で腕試しの格好の的になってたんだ。」
「ふーん。温泉って言うのは?」
「ああ、このユクモ村は温泉で有名なんだ。」
「温泉ねぇ…。」
「そうと決まったら、村長さんに挨拶してかなきゃな。どこにいたっけ…。」
「あの人じゃないかな。」
セージが指さす方向には椅子に座って木から落ちてくる紅葉を眺める竜人族の女性が居た。
「おお、あの人だ。すいませーん!」
ガイルは手を振りながら駆け寄っていった。
「あら、これはこれはガイルさん。今日はどういった御用で?」
「ああ、いやその~特別な用というのはこれといってないんだが…。宿は無いかな?」
「宿でございますね。今あいにく満室でございまして…。」
「そうでしたか、失礼しました。」
ガイルは半ば早足でその場を去ろうとした。
「ちょっとお待ちになってください。」
「はい!?」
ユクモ村の村長さんに呼び止められたガイルは肩をすくめながらゆっくり振り返った。
「もしかしたら、この村の訓練所の生活寮なら使えるかもしれませんが…。それでもよろしければご用意させて頂きますわ。」
「ああ、そうですか。こりゃご丁寧にどうも…。」
「訓練所に着いたら、教官が喜んで使わせてくれると思います。」
「分かりました、ありがとうございます。」
ガイルはセージ達に宿の確保が済んだ事を伝え、早速訓練場へ向かった。
「何であんなにビクビクしてたんだい?」
セージは地雷を踏みそうな質問をした。
「んー?昔父さんはハンターになるって親父達と喧嘩しちまってな。啖呵きって出てきたんだが行くあてが無くてな。
必死に貯めた金で商店のおばちゃんから肉焼きセットを買い、パティオ村の教官から初心者ハンターの極意を教わり、荷車に乗って気がついたらこの地にやって来てたんだ。
どうやら無賃ってのがバレて荷車ひいてたアイルーに降ろされたんだろうな。目を覚ましたら温泉につかってたんだよ。」
「それで、父さんの最初のハンターとしての修行の地がココだったっていうことか。」
「そういうこった。まぁ、追々分かるさ。」
「ふーん。」
親子は他愛もない会話を済ませると黙々と歩き始めた。
「ついた。ココがユクモ村ハンター訓練所だ。」
門をくぐったところでいきなりガイルが雷刃ヴァジュラを抜きセージの目の前を斬り払った。
「なっ、何するんだ父さん!」
ガイルは聞く耳も持たず音爆弾を取り出し目の前へ向かって投げた。
その小脇の茂みからは見たこともない小型のモンスターが音爆弾の投げられた何もない空間へ飛びかかっていた。
「見たことないな…。目がない点からするとフルフルベビーに近いものだろうか。」
「違うな。こいつらはギィギっていう野生の幼生モンスターだ。
幼生だからってフルフルベビーみたいに採取できると勘違いすんなよ?
こいつらは音と熱を頼りに人や他の草食モンスターに噛み付いて吸血するんだ。
そして毒が自分の体内で生成できる段階まで育ったところで吸血対象に毒を盛り倒す。
ある意味恐ろしいモンスターだ。」
「こいつが幼生っていうことは…、親が居るって事だよね?」
「ああ、居る。直にわかるさ。」
アクシデントの後、どこからともなく男の声が聞こえてきた。
「ヌハハハ!さすがガイルだ。我輩が仕掛けた数々のトラップを物ともせず訓練生まで連れてくるとはな!
もうお前に教えることは何もない!」
「こんなちゃちなトラップに引っかかったらハンター失格だ!つーかいつ訓練生連れてきたんだよこのタコ!」
「んん?我輩はタコではないしイカでもないぞ?ましてヤマツカミなどでもないぞ?」
「あーめんどくせえ。セージ、ペイントボールくれ。」
「いいけど…、何に当てるんだい?」
「まあ見てろ。」
ガイルはセージからペイントボールを受け取ると辺りを見回し、玄関の手前にある屋根の左側に向かって投げた。
「いでっ!」
直後、先ほどまでしゃべっていた男の声が聞こえ、その後屋根の絵が描かれた布と一緒に男が落ちてきた。
「くおらあ!教官にペイントボールを投げるとは何事だあ!」
「ったくつまらねえトラップしかけんじゃねえよこのアオアシラが。」
「なっ、言葉にも限度があるぞガイルよ!」
「限度?んなもんとっくの昔に孤島の海に沈めてきたわ。なあ、俺達に生活寮使わせてくれよ。
俺が使ってた部屋ともう一部屋でいいだろ?」
「ああ。好きに使ってくれ。」
教官は半分浮かれた表情で口元を緩めながら玄関の中に入っていった。
「こっちだ、ついてきてくれ。」
ガイルは疲れた表情で茂みの奥へと進んでいった。
「気をつけろよ、どっからまたあのギィギが出てくるか分からん。
噛み付かれた時は辺りを転げまわって振り落とすんだ。
回転回避が一番いい方法だ。」
「オッケー。分かった。」
言い忘れていたがセージとガイル以外のハンターは二人の日常茶飯事について行けず、疲労困憊して言葉も出ない状態なのである。
「ついた、ここが生活寮だ。」
その外見は、読者の世界で言うアパートを想像してもらうと分かりやすいだろう。
三階建てで外見から老朽化は進んでおらず、見た目もよい集合住宅といったところである。
「おおー、中も結構泊まり心地よさそうだねー。」
部屋は四つほどあり、それぞれがこの地方に広く群生しているユクモの木という木から作られている木戸で遮られているという感じである。
なお、台所や風呂などの生活に欠かせないエリアは無く、教官曰く風呂と飯は外で揃うからいらん、とのことだそうだ。
「よし。じゃあ部屋割りを決めていきたいと行きたいところだが、ちょうど半分で分かれるから。
俺とセージは別々で行こうか。」
「分かった。」
「じゃあ、こっちの三人は俺と一緒の部屋で。残りはセージと一緒に隣の部屋で行こうか。」
「気をつけてよ?父さん酒飲んで寝ると危険なんだから。」
三人のハンターはぞっとした表情で階段を上っていった。
その後、各人荷車から降ろしてきた自分の荷物をそれぞれの部屋のスペースにおいてきたあと、
セージの意向で村を散策することになった。ちなみに食事と入浴もかねているとのことだ。
「さすがはユクモ村。いろんなハンターがいるし、いろんな食いもんもあるわ。」
セージと一緒の部屋のライトボウガン使いが早速買い食いを楽しんでいた。
ちなみにガイルは行きたくないとのことで部屋にこもっていたと太刀使いが言っていた。
それと、ガイル達のグループに居る他三人のハンターの自己紹介は追々著者が書くことでしょう。
「おっ、肉処『上手』だって。今晩はここにしようか。」
「いいですねえ。」
セージ達は店の戸を開け中へと入った。
「いらっしゃいませー!」
中は地元の住人や遠くからこの地にやってきたハンターでごった返していた。
「お客様は何名ですか?」
「えっと、四人で。」
「今あいにくカウンター席しか空いてませんが、よろしいですか?」
「皆、カウンターでいいかい?」
「俺達は構いませんよ。」
「じゃあ、カウンター席で。」
「かしこまりましたー、それでは七番カウンターへ四名様ご案内でーす!」
案内人が厨房へ伝えると、
「は~い!!」
と元気な返事が返ってきた。
カウンター席に座った一同はメニューに目を通した。
「おー、さすが村が違えばメニューも違う。見たこともねえ料理ばっかだ。」
「じゃあ俺は厨房気まぐれセットで。」
「俺もそれにしようかなー。」
と、メニューを決めていた結果全員が厨房気まぐれセットになってしまった。
「メニューお決まりでしょうか?」
「ああ、はい。」
「当店はギルドカードを提示していただいたハンター様に、ご支援サービスとしまして
注文を三十秒でしていただくルールになっております。
もし、三十秒で成功した暁にはお客様のほしい物を五個ずつ進呈させていただきます。
お客様、ギルドカードはお持ちでしょうか?」
「ああ、はい。」
四人はギルドカードを提示した。
「確認いたしました。それではスタート!」
「厨房気まぐれセットで!」
四人一斉に言ったのでウェイターさんは困り顔だった。
「えと…、ご注文のほう確認させていただきます。
厨房気まぐれセット四つでよろしかったです…」
「ハイィ!!」
言い切る前に四人は返事をした。
その頃ガイルはと言うと
「ぷはぁ~!やっぱこの村の温泉は最高だ!」
酒と風呂に入り浸っていた。
「それにしても、酒も然ることながらザザミソも旨いですねー。」
「だろ?極上ザザミソは昔っから酒の肴にゃ持って来いなんだよ!」
ガイルはすでに悪酔い状態。他三人はガイルの機嫌を損ねまいと必死に戦っていた。
「そろそろ上がるかぁ。のぼせちまうしなぁ」
三人は解放感につつまれ…
「部屋で飲みなおすぞ~!」
ることもなく、結局魔のスパイラルに飲み込まれていくのであった。
一方セージ達は食事も終え、村の散策に戻っていた。
そこへ竜人族の老人が話しかけてきた。
「あぅあぅそこの若ぇの!ちぃとよってけやぅ!」
「なんだ?あのじいさん。」
「よっていこうか?」
「そうしましょうか。」
四人は老人の前まで歩み寄った。
「お前らは他の村から来たハンターっちぅやつかぇ?」
「ええ、そうですが。」
「ほんなら、ちぃと頼みがあるんだが、聞いてくれやぅ。」
「なんです?」
老人が店の奥へ消えた後、碧い球体を手に戻ってきた。
「それは?」
「コイツぁジンオウガっちぅモンスターから取れる希少な素材でやぅ、
雷狼竜の碧玉っちぅ奴だ。
ワテがこの村に住み込みで仕事してるハンターに加工の仕事請けたとき、
加工の最中に傷ついちまってやぅ。
ヌシらにこの碧玉を取ってきてもらいたいのやぅ。」
「はぁ…。」
「ヌシらが碧玉を取ってきたらこのお守りをタダでプレゼントしてやるけぇ
どうか頼まれてくれんか?」
「分かりました。で、ジンオウガというモンスターはどこに生息してるんですか?」
「この村の近くに綺麗な渓流があって、その近くにジンオウガは住んでるけぇ
その辺りを探ってれば出てくると思うでやぅ。」
「分かりました。」
セージはユクモ村の加工屋から依頼を受け(てしまい)、やむなく温泉へ行くことにした。
セージが温泉につくと、妙な格好をしたアイルーと少し色落ちしてそうな緑色の服を着た
これまた竜人族の老人が話し合っていた。
「どうかなさったんですか?」
「どうもこうもないですニャ!」
アイルーはかなりお冠の様子だった。
「あ、申し遅れましたニャ。私、この集会浴場の温泉の番台をしてる者ですニャ。」
そして、
「ワタシはこの集会浴場ギルドユクモ村支部のギルドマネージャーっていうワケだよ。
ヒョヒョヒョ。」
老人も自己紹介をしていたがかなり酒によっているようだった。
「で、一体何が?」
「温泉に遠方から来た四人のハンターさんが入っていたのですニャ。
それで、上がっていったと思ったらいきなり酒を持ち込んでまた入りに来たんですニャ。
別に二度目は良いんですニャ、この温泉は持ち込み禁止なんですニャ!
それをハンターさんに伝えたらいきなり見たことも無い武器を振り回すんですニャ!
そして温泉に入って勝手に飲んだくれた挙句酒を温泉にバラ撒くんですニャ。
もう商売あがったりニャから出入り禁止にしましたんですニャ。」
「…はぁ。」
「どうしたんですニャ?」
「いえ、何でもありません。お話ありがとうございました。」
セージ達は温泉に入るのをあきらめ、部屋に戻った。
生活寮の近くまで戻るといきなり酒の臭いがセージ達の鼻を突いた。
「うっ!酒臭い…。」
その臭いはガイル達の部屋へ近づくにつれ激しさを増した。
セージがガイル達の部屋の戸を開けると強烈な酒の臭いが四人を襲った。
部屋の中にはガイルと教官が寝転んでいた。
「これはひどい…。温泉の番台さんから出入り禁止喰らうのも分かる…。」
セージが戸を閉め、自分達の部屋の戸を開けると、ガイルと一緒の部屋だった三人のハンターが中に居た。
「ああ、どうも。」
「言ったとおりと言うか、常識を超えてましたよね?」
「ええ。」
三人は冷や汗を掻きながら地獄を見たような表情でその場にへたりこんでいた。
その後明日の打ち合わせをし、七人は床についた。
後書き
やぁ
何かもうこれ旅行記になってないかな^p^
戦闘シーンはいつになったら出てくるんですかねぇ…
それと、多分これでいいはずなんだけど不具合が出たらその都度対処するからね!
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