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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第70話:同じ夢、不思議な夢、本当に夢?

(バトランド)
シンSIDE

マリーさんが集めた情報に従い、ライアンさんの故郷であるバトランド王国にやって来た俺達。
勇者である俺の武具を集めるという、取り敢えずの目的がある我々なので、本来ならば皆でバドランド城を訪問するのが当然なのだが、現在はパーティーを二分して行動している。

一つは、俺やライアンさんを中心としたバドランド王への謁見組……
陣容は、勇者であり当事者でもある俺とバドランド出身のライアンさん、あとサントハイム代表としてアリーナ姫達と、お城でコネクションを作りたいトルネコさんの計7人だ。

もう一つは、リュカ家を中心としたイムル組……
陣容は言うまでも無く残りの面子。
リュカ家とその家長の愛人姉妹の計8人。

このイムル組は何故お城へ来ないのかというと……
『私の仕入れた情報では……このイムルの宿屋では、最近奇妙な夢を見るらしいわ。何でも全員が同じ夢を見るらしいの……是非とも体験しましょう!』と、マリーさんの提案で別行動になりました。

アリーナ姫は『私も見た~い』と言ってましたが、常識人のブライさんが止めたみたいです。
ブライさんは正しいと思う……
あまり彼方チームに深入りすると、非常識が感染()つされてしまうと思うから……

他人と同じ夢を見て何が面白いのか……?
夢は個人的に楽しむ為に存在すると思う。
確かに不思議な現象ではあるのだろうけど、夢の共有など興醒めだ。

それはさておき、イムル組が問題を起こしてないか心配で仕方ない。
常識的思考回路の持ち主が、殆ど此方に来てしまっているので、一度騒ぎを起こしたら村が崩壊するまで収まらない気がする。

唯一常識論を言える人がウルフさんだけだし……
彼もリュカさん等と一緒に居ると、共に非常識になてしまうし……
ミネアさんも常識人ぽく見えたけど、本性はアレだったし……

「うむ……どうやら次の目的地が定まりましたな!」
別の事(リュカさん等)を考えていたら、何時の間にかバトランド王との謁見は終了しており、ライアンさんが俺に向かって話しかけてきた。
やばい……全然聞いてなかった。

「えっと……そ、そうですね……次の目的地が決まりましたね……あの、お手数ですけど、リュカさん達にはライアンさんから説明してもらえますか? 母国の事が絡んでいるので、その方が良いと思うんですが……」
我ながら苦しい言い訳だが、リーダーの俺が話を聞いてなかったなんて言えないよ。

「わ、分かりました……正直、苦手なんですよね……あの連中。常識が通用しないから。マリーも元から非常識っぽく感じてましたけど、合流して非常識度が増した気がします!」
やはりライアンさんも苦手だったか……

「じゃぁ、このままリュカさん達とは別行動でガーデンブルグに行っちゃいませんか?」
「そういう訳にもいくまいホイミン……ミネア殿の占いでは、彼女とマーニャ殿も運命を共有せし仲間。置いて行く訳には……」
占いの所為でトラブルを抱えなければならないのは不本意だ。

「そうよホイミン! それにリュカは強いのよ。私達より遙かに強いの! 居てくれた方が心強いでしょ。何かあっても私達を守ってくれるのだから」
家族以外で最も付き合いの長いアリーナ姫が、リュカさんと別れる事を拒絶する。
お供のお二人も黙って頷き彼女の意見に賛成する。

はぁ~……まだまだ彼らとの付き合いは続きそうだ……

シンSIDE END



(バドランド)
ホイミンSIDE

久しぶりにバドランドへ訪れたので、ボク達はフレアさん・アレックスさんのお宅にお邪魔しました。
ボクが人間になれた事を報告すると、喜んでくれたんですけど……
フレアさんがボクの胸を両手で掴んで『な、生意気な胸ねぇ……』って呟いたんです。

そんなにこれって凄い事なんですかね?
でもライアン様も好きみたいで、ボクの胸を触ってる時は目尻を垂らして喜んでます。
今夜も宿屋でライアン様とセ○クスしますが、ボクはライアン様とセッ○スするのが大好きです!

でも……部屋に入ってライアン様が心配そうに言ってたんです。
「イムルに行った連中は、問題を起こしてなければ良いなぁ……」
その通りです! あの人達は自分勝手すぎます!!

でも今はボクの事に集中して欲しいです……
ライアン様が他の人の事を考えてるのって、何だかヤです。
ボクも自分勝手なんですか?

ホイミンSIDE END



(イムル)
ウルフSIDE

きっと前世の知識で俺達をこの村へ導いたんだろう……
不思議な現象を体験出来るというイムル村。
マリーが楽しそうにはしゃいでいる。

俺達は既に各部屋へ戻り、寝る準備を済ませている。
村の食堂で夕食を済ませ、宿屋にある大浴場で各々入浴……
リュカさんはマーニャさん・ミネアさんと一緒に入り、大浴場で大欲情したらしい。
俺もマリーとリューノとで楽しんだよ!

アロー君はリューラと入ったらしいのだが、流石にまだ一線は越えてないらしい。
二人の入浴を覗きに行ったマリーからの報告だ。
何で覗きポイントを知ってるんだよ!?

そんな訳で、この宿屋では寝る事がメインイベントになっている。
本来はベッドで行う行事も先に風呂で終わらせて準備万端!
でもリュカさんの部屋からは、2人の女性の喘ぎ声が聞こえてくるゼ……いいから寝ろよ今夜だけは!

そんな事を考えていたが、何時の間にかウトウト眠りについていたらしく、眼前には見慣れぬ風景が広がっていた。
多分これが噂の不思議な夢だろう。
頑張ってた(リュカさん)も、夢によって眠らされたみたいだ……変な台詞だな?

まぁ細かい事は考えず、不思議な夢とやらに集中しようじゃないか!
森に囲まれた小さな村が見え、その中央付近に3.4階建てくらいの塔が聳えている。
村にはホビットやモンスターが居り、皆が仲良く暮らしている。
まるで小さなグランバニアの様だ。

暫くすると塔の最上階の小窓から、長く淡いルビー色の髪をした美しいエルフが顔を出し物思いに耽り出す。
以前リュカさんが言ってたが、エルフ族は美女が多いらしい……うん、俺も美女以外のエルフに出会った事が無い。
流石リュカさんだね。

別の事を考えていたら、塔の中からこのエルフ以外の女性の声が聞こえてきた。
「ロザリー……そうやって顔を出してると、またあの根暗野郎に怒られるわよ」
“ロザリー”とは、このエルフの事だろうか?
それに今の声……何処かで聞いた事のある美しい声だ。多分あの人だろう……

「酷い! ピサロ様の事を根暗野郎なんて言わないで下さい! 真面目なだけなんですぅ!」
ロザリーは顔を室内に向けて、プクッと頬を膨らませ怒ってる。
やばい……可愛いじゃないかロザリーちゃん……

彼氏は居るのかなぁ? その根暗野郎が彼氏なのかな? どんな醜男なんだ、彼女に出会ったら口説き落としちゃうぞ!
あぁでもなぁ……俺にはマリーとリューノが居るからなぁ……
これ以上浮気したら殺されちゃうだろうなぁ……リュカさんに譲るか。

また別の事を考えていたら、塔の前に何者かが現れた。
長い銀髪の後ろ姿だが、そこそこのイケメンオーラを醸し出している。
こいつがロザリーちゃんの彼氏か? 根暗野郎とはコイツか!?

面を拝みたくて睨んでいたのだが、此方に振り返る事無く懐から笛の様なものを取り出し吹き始めた。
夜中に笛を吹くと蛇が集まってくるって言われてんだぞ!
勿論そんな事は迷信なんだけど、うるさいから止めろよな……我が家程じゃ無いけど。

(ガコン!)
突然、根暗野郎の足下が降下し、奴ごと地下へ降りていってしまった。
何だこの仕掛けは!? 何で塔の中に入らず、地下へ降りちゃうんだ?
ははぁ~ん……さてはコイツ、ロザリーちゃんの彼氏じゃないな!
無関係なモブだな。

まったく……変な所で出現するなよモブ!
こんな事なら奴の事は気にせず、ロザリーちゃんにだけ集中してれば良かった。
やっぱり美女は見てて飽きない……もっと近くで眺めたいなぁ。

すると視線が動き出し、俺の願いを叶えてくれるかの様にロザリーちゃんをアップにする。
イエ~イ、美女を間近で堪能出来る……と喜んでいたのだが、視線変更によりある程度室内を見渡せる様になった奥の扉から、先程の銀髪が姿を現し近付いてきたので、ロザリーちゃんが振り向いてしまい、堪能出来なくなってしまった。

何だあの銀髪は!?
ロザリーちゃんの頭がある所為で面が見えないけども……何かムカつくぞ!
さっき地下に降りてったのに、何で塔の最上階に姿を現すんだ?

「ロザリー……窓から顔を出してはいけないと言っただろう! 誰かに見られたりしたらどうする……」
馬鹿じゃねーの、あの銀髪!?
美女は皆で眺め楽しむものなんだよ! 独り占めしてんじゃねー!

「おい人間……キサマが居ながら何故ロザリーを退屈させる! 何の役にも立たぬ女だ!」
「言ったわよ……それとも髪の毛を引っ張って、窓から遠ざけた方がアンタのお好みだった!?」
うん。間違いない……まだ顔は見えないけど、この強気発言はあの人だ。

「ふざけるな人間! もしロザリーにそんな事したら、嬲り殺しにしてやるぞ!」
「してないのに何怒ってんのよ!? アンタが力尽くでも窓から離せ的な事を言うから、そんな事をして良いのか尋ねたんでしょ! 全部アンタの独り相撲じゃない……馬鹿じゃないの?」
あぁ……旦那と離れ離れで機嫌が悪いんだろうなぁ……

「くっ、人間がぁ……殺してやろうか!」
口喧嘩に負けた銀髪が、腰から禍々しい形の剣を抜き放ち、ドスの効いた声で脅しかかる。
アレ……この銀髪の声も何処かで聞いた事があるなぁ?

「やめて下さいピサロ様! わ、私が悪いんです……ピサロ様の言いつけを破り窓から顔を出したから……ごめんなさいピサロ様」
あ~あ……女の子泣かしてやんの。

(キ~ン)
突如ロザリーちゃんの足下で甲高い音が響いた。
よく見ると彼女の瞳から、真っ赤なルビーが滴り落ちている!
いや正確には、彼女の涙がルビーに変わり、美しい音と共に落ちた床で砕け散っている!

何だ!? 何なんだ一体……
どうして先程から視点がロザリーちゃんだけに固定されてるんだ!?
他の登場人物も見たい……もっと広範囲を映し出してくれよ!

「ロ、ロザリー……泣くな……泣かないでくれロザリー!」
「アンタが泣かしたんだからね。責任取りなさいよ馬鹿!」
「やめて下さい二人とも! 全部私が悪いんです……だから喧嘩しないで下さい」

「す、済まなかった……私が言いすぎた様だな人間……」
困り果てた口調で謝り、先程抜いた剣を鞘へ戻す銀髪。
「別に良いわよ……それと“人間”と呼ぶのは止めてって言ったでしょ!」

取り敢えず仲直りする二人……
そして視線はロザリーちゃんから、もう一人の女性へ移動する……
そこには……

「ビアンカだーーー!!!!!」

ウルフSIDE END



(イムル)

イムルの村に住む全ての人が、この大声で目を覚ました。
「うるせー! 折角夢を見てたのに、目が覚めちゃったじゃねーか! かみさんが出てきたくらいで大声出すんじゃねー!」

弟子で部下で義息に大声で叱られる彼は……
「だってビアンカが……あそこにビアンカが居たんだよ! あれって何処? 何処に行けばビアンカに会えるの!? なぁウルフ……マリー……何処に行けば良いの!?」
叱られても反省せず、ただ自分の欲求を叫き散らすのみ……

村民が全員集まり宿屋の男にクレームを付ける。
だが男は反省せず、
「あの夢を見た? あそこは何処かな? 何処に行けばあそこに行けるのかな?」
と逆に質問するだけ。

既に空が明るさを帯びてきた為、村民も諦めムードで家に引き返してしまう。
男の仲間ももう一度寝て続きを見ようとしたが、騒動で目が覚めてしまい望みが叶わなかった。

渋々彼らは村を出立し、別行動していた仲間達と大河に停泊させた船で落ち合う。
互いに情報を交換し、次なる目的地を『ガーデンブルグ』と定めると、落ち着きの無くなった男と共に出発する。

これから訪れる困難に立ち向かう為、決意と共に旅は続く。
若干一名の決意はさておいて……



第5章:導かれし者達…トラブルを抱える 完



 
 

 
後書き
さて……
取り敢えず第5章ここで終了です。
次話から第6章に突入します。
しかし、その前にビアンカの話を掲載しようと思ってます。
以前二次ファンで外伝として掲載した、若かりし頃のビアンカの話です。
アルカパでリュカと別れ、山奥の村で再会を果たすまでの10年間の物語です。
今回は外伝としてではなく、独立した物語として掲載させます。
そちらもよろしくお願いします。 
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