八条学園怪異譚
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第四十一話 百物語と茶室その六
「それではあの娘じゃな、やはり」
「先輩ですか」
「あの人ですか」
「うむ、あの娘は茶道も華道も得意じゃ」
「意外と雅なんですね」
「そうした趣味もあるんですね」
「他には和歌もしておるぞ」
確かに雅である、二人はこれまで知らなかったが。
「トライアスロンもしておるがな」
「文の方もですか」
「されてるんですね」
「そうじゃ、だから一緒に行くとよい」
その茉莉也とだというのだ。
「美味しいお茶を上品に淹れてくれるぞ」
「お酒だけじゃなかったんですね」
「ただのセクハラマニアでもなかったんですか」
「確かに酒癖が悪く女好きじゃがな」
博士も茉莉也のそうしたことは知っていた、だがそれでもだった。
「雅でもある娘じゃ、行くといい」
「わかりました、それじゃあ」
「先輩も」
こうしてだった、二人は茉莉也にも声をかけて大学の茶室に行くことにした、そして携帯で連絡をするとだった。
すぐに返事が来た、茉莉也はメールでこう言ってきた。
『夜に神社に来てね。今から部活だから』
「ふうん、じゃあ夜にね」
「まずは神社に行ってね」
その返信を見てだ、二人はそれぞれ言った。
「じゃあ私達もね」
「今から部活に行って」
「百人一首をしてね」
「それで夜にね」
二人も部活に行くことにした、そこで彼女達の雅を楽しんでからだった。
夜に神社に行った、するとそこに茉莉也がもういた。境内の中にいて正座をして待っていた。
その茉莉也がだ、二人に微笑んで言ってきた。
「話は聞いたから、じゃあね」
「はい、そうですねそれじゃあ」
「大学の茶室に」
話は早かった、まさに早速だった。
二人は茉莉也と共に大学の茶室に向かった、三人共制服姿である。
その制服姿でだ、茉莉也は二人にこんなことを言った。
「茶道っていったら和服よね」
「はい、正式にはですよね」
「やっぱりそれですよね」
「そうよ。けれど学校だとね」
学校での茶道、それではだというのだ。
「かなり正式にやらない限りはね」
「制服で、なんですか」
「それでやるんですね」
「そうよ。制服でする茶道もね」
その制服姿での言葉だ。
「これが結構いいのよ」
「いいんですか」
「それがですか」
「やっぱり学生は制服よね」
二人ににこにことして語る。
「だからね」
「茶道でもですか」
「制服がいいんですね」
「制服で茶道をする女の子もね」
その目をにこにことさせて語るのだった。
「いいものよ」
「どういいものなんですか?」
「かなり怪しい意味じゃないんですか?」
二人は茉莉也の言葉に曇った顔で返した。
「またセクハラじゃないですよね」
「そういうのじゃ」
「大丈夫よ、お酒は飲んでないから」
お茶の時はだというのだ。
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