機動戦士ガンダム00I f
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#01『ソレスタルビーイング』
空に浮かぶ巨大な航空船。名前は《プトレマイオス》。
そこに、白いモビルスーツが着艦した。
1.5ガンダム。人類革新連盟の基地への武力介入を終え、無事母艦に帰還したのだ。
1.5ガンダムのハッチが開き、緑色の髪の青年が降りてくる。
青年はそのままリーダーの部屋と赴く。
「リボンズ、終わったよ」
「ご苦労様、ビサイド」
青年――――ビサイドを出迎えたのは、緑色の髪の長さや目つきなどの細部を除けばほとんど同じ顔をした青年だった。
リボンズ・アルマーク。この《プトレマイオス》艦長にして、ビサイド・ペインと同じ人間をモデルとして創られた塩基配列パターン0026型の《イノベイド》。
そう。彼らは人間ではなかった。
2300年代になっても人類の紛争は終わらなかった。彼ら《イノベイド》を擁する武装組織《ソレスタルビーイング》は、創始者イオリア・シュヘンベルグの唱えた『紛争の根絶、そして人類の進化』を導くべく、二百年は進んだ科学技術によって開発された機動兵器《ガンダム》によって紛争に介入、根絶に乗り出した。
最初、組織を管理する巨大な知能、《ヴェーダ》は人間とイノベイド、どちらをガンダムのパイロット、《ガンダムマイスター》に選ぶか選択の余地を残していた。
しかしとある事件で人間のマイスターによる武力介入が困難となったため、ヴェーダはイノベイドのマイスターによる武力介入を決定した。
そのために開発されたのが、世界最初のガンダムにしてリボンズの専用機、《0ガンダム》の正当な後継機、《1ガンダム》である。
1ガンダムは汎用性の高いモビルスーツだった。1ガンダムは量産され、サポート機としてGNキャノンも複数機造られた。
量産された1ガンダムにはそれぞれ改良がくわえられ、ガンダムの動力源である、半無限に動力を生み出す五基の《太陽炉》の性能に合わせたバリエーションが開発された。
中でも、0ガンダムの太陽炉を受け継いだ、ビサイド専用機《1.5ガンダム》は強力だった。背中に装備されたバインダーでエネルギーのコントロール力を強化し、さらに専用武器《アルヴァアロン砲》も搭載している。
現在起動しているガンダムは五機。
0ガンダムのGNドライヴを受け継いだ、最強のモビルスーツ《1.5ガンダム》。
白兵戦に特化した装備を積んだ《1Fガンダム/エクシア》。
射撃に特化した装備を積んだ《1Fガンダム/デュナメス》。
変形機構を搭載した《1Fガンダム/キュリオス》。
重装甲の中に本体を隠した、切札的存在、《1Fガンダム/ナドレ》及びその偽装外装《ヴァーチェ》。
これら五体のガンダムに加えて、現在起動停止しているリボンズの《0ガンダム》の合わせて六機が、この《プトレマイオス》にのせられたガンダムだ。
加えて、GNキャノンが十二機。彼らは太陽炉ではなく大型GNコンデンサーで動くのだが……。
「ねぇリボンズ?何で俺達が人類の進化を促さなきゃいけないんだ?」
「どうしたんだい、ビサイド。急にそんなことを言い始めて……」
「俺はね、今日強く思ったんだよ。人間は脆い。あまりにも脆すぎる。俺達が奴らを支配した方が、ずっと効率的だと思うんだよね」
「ふふふ、君らしい考えだね……そうだね。考えておこう」
リボンズも思わせぶりににやりと笑う。
ビサイドが提案した未来の形は、まさにリボンズが、創始者たるイオリア・シュヘンベルグを出し抜こうと画策し、そして思いついた未来であった。
ビサイドはイノベイドによる人類の支配をねらっている。イオリアはイノベイドによる人類の補佐を願っている。
より上位に立つ者が、下位にあるものを支配する。弱肉強食は世界のつねだ。
「(いいね。ビサイド。……君には、そのために働いてもらおうか)」
後書き
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