モンスターハンター ~厄災の狩人達~
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明星の英雄
戦略
前書き
ソルディム山地にてエイン村に伝わる『古記』に書かれていた二龍の片割れ、陽龍ガムロスが姿を現した。
同刻、ロボス村がテオ・テスカトルによって壊滅状態の報せを聞きあわてる村民達。
そんな最中アルフレッドに試練が課される…
「ああ、そうだジャノバさん。」
「なんじゃね?アルフレッド」
「これ、頼まれていた物です。」
「おお、すまないのう。助かるわい。」
ジャノバはアルフレッドから頼んだもの受け取った。
「そういえば、お主らは古記の全てを知っているわけではないようじゃな。」
「ええ。ところどころかじってる程度しか…。」
「よかろう。わしが古記の一部始終を話して進ぜよう。」
「お願いします。」
「時は数百年前まで遡る。
~十七年に一度その者は同時に姿を現す~
~一方はこの世界に繁栄と秩序を、もう一方は混沌と枯衰をもたらす~
~一方が羽ばたけば木々は生茂り、作物は豊作になる。川には魚が泳ぎ、村には平和が訪れる~
~もう一方が羽ばたけば自然は死に絶え、作物は消え去る。河川は汚れ、村は混沌の渦に巻き込まれる~
~飛竜達はその強大過ぎる力に遠方へ逃げ去る。古龍に抗うものそれすなわち死を意味する~
~繁栄の象徴 陽龍と、枯衰の象徴 陰龍は互いに黒にして白。混ざり合うことは無い~
~繁栄の象徴、陽龍ガムロスは十七年に一度太陽の力を受けて目覚め、その力を発揮する ~
~枯衰の象徴、陰龍ネヴィアは十七年に一度、砂漠に集まりし古龍らの加護によって目覚め、力を発揮する~
~陰龍ネヴィアが目覚めに必要な力は、焔の力、風の力、嵐の力、霞の力、そして巨大龍の意志~
~陰龍ネヴィアが怒りし時、この世界は更なる混沌に巻き込まれるであろう。我その惨禍の状況と陰龍への対処方法を記す~
~陰龍が怒りし時、煌黒龍、邪龍、紅龍、祖龍、の力が最大限に引き出され、世界は火災旋風、謎の雷撃に包まれる~
~加護せし古龍は直ちにその場を離れ、その破壊活動を見守らんとす。例え災厄をその身に受けようと、その場を離れることはない~
~陰龍に立ち向かいしは、古の都に住まいし竜神族が操る陽龍に乗りその災厄をつかさどるものを切り落とすべし~
~我が子孫よ、本来ならこの光景に手を出してはならぬ。しかし、お主達が本当に望むなら抗うがよい~
以上じゃ。さあ、この古記にも書いてあるじゃろう。古龍が活動せしはそれを見守るしかないのじゃ。
分かったらさっさと食事を済ませて避難の準備をするのじゃ!」
「分かったよ。じーさんが言うなら仕方ねえな。」
「それと、アルフレッド。後でわしの家に来てくれ。話したいことがある。」
「分かりました。何か持っていくもの等は?」
「いらん。己の魂と耳だけでよいわい。」
「ちょっと待てよ!俺はまた蚊帳の外かよ!」
ダイラスが悲しげな表情で声を張り上げた。
「ラス、君には重要な任務があるんだ。」
「何だよ、その任務って。」
「簡単さ。もしものことがあった時、皆を誘導するんだ。君ほど声の大きな人材は居ないからね。」
「アルがそういうなら仕方ねえ。分かったよ。」
「頼りになる幼馴染だ。」
アルフレッドはダイラスと別れ、その場を後にした。
「で、何です?話したいこととは。」
「うむ。実はこの本を見てもらいたい。」
「?…こっ、これは!」
「そうじゃ。古い文献のように見えるが、古記の続きじゃ。」
「なぜこのような物を?」
「フォフォフォ、老いぼれの情報収集力をなめるんじゃないわい。」
「で、これがどうしたんです?」
「続きを読んでみるのじゃ。」
「はぁ…。何々?
これは十七年に一度、我が子孫の中に現れる知恵のあるものに授ける。
子孫の中にもしそのようなものが居たときに備えて龍除けの粉塵の作り方をここに記す。
ジャノバさん、これって…。」
「うむ。ほれ、はよう続きを読まんか。」
「はい。ええと、
作り方は火竜リオレウスの骨髄を乾燥させ、粉末にしたもの。アルビノエキス。ディアブロスとケルビの角の粉。
そして、フラヒヤ山脈にしか生えないとされる雪山草が一回の生成につき十五個。龍殺しの実を八個。これらをすべて混ぜ合わせ乾燥させる。
こんなにたくさんの素材…どう考えても用意しきれない!」
「諦めるな、アルフレッドよ。お主ならできる。そう期待をして、ここにつれてきてこの本を読ませた次第なのじゃ。」
「ですが、さっき大衆酒場で『過ぎ去るのを待て』とあれほど仰っていたではありませんか!?」
「こんな老いぼれの言うことを聞く連中とは到底思えん。もしそんなことになったときのための保険じゃよ保険。
頼む!この老人の最後のワガママだと思うて引き受けてくれ!頼む!」
「…分かりました。」
「おお、頼まれてくれるか!」
「しかし、期限がいつまでなのか…。」
「それならその本にも載っておるのではなかろうか?」
「どれどれ…
龍の宴が聞こえし時、それより半刻の後陽龍の咆哮が聞こえるであろう。
咆哮の伝播は十四日にして全ての古龍の耳に響き、古龍は砂漠にて集まるであろう。
全ての古龍が集まり、加護の力を使いしは三日の時が必要となる。
陰龍が目覚め、力を使うには約二日の時が要る。
この自然の摂理に抗う者、先の期限までに粉塵を完成させよ。
素材の多さに加えて、時間も少ないのか…。
でも、やると言った以上最後までやらせてもらいます。」
「頼んだぞ!若き精鋭よ!」
アルフレッドは自分の研究室へと向かった。
「しっかし、素材をどう集めようかな…。雪山草と龍殺しの実とケルビの角くらいならなんとか集められるんだけど、
それ以外は本業の人やラスに頼むしかないなあ。」
「おーいアルー!村の皆の避難準備が終わったぞー!」
「ああ、ありがとうラス。」
「だけど、あの大剣持ってたハンター、相当悔しがってたよ。酒場でもそうだったし。」
「うーん…。そうだ、ラス。もう一回頼まれてくれるかい?」
「別にいいけど、何するんだ?」
「この村に居るハンターさんを片っ端から呼んできてほしいんだ。もちろん、セージさんとガイルさんもね。」
「安い用だぜ!」
「おとごは何処へ行ったんだい?」
「気にすんな!とにかく呼んでくりゃいいんだな?」
「ああ。頼んだよ!」
「任せとけって!」
ラスはその場を走り去っていった。
「さてと。その間に。」
アルフレッドは商店へ急いだ。
「おばちゃん、さっき頼んだ奴同じ個数で20セットくらいくれない?」
「いいけど、何に使うんだい?」
「とにかく頂戴!」
「一万三千七百二十八ゼニーだよ。」
「はい。」
アルフレッドはお金を渡し、調合素材の入った袋を担いで研究室へ走って行った。
時は過ぎて夜。千年杉の木の下に三十人くらいのハンターが集まった。その中にはセージやガイル、
ダイラスも居た。その先頭にアルフレッドが立った。
「皆さん、こんな夜遅くに集まっていただきありがとうございます。早速ですが皆さん、
古龍が近隣の村を襲っているのはすでにご存知ですね?」
「そうじゃなきゃ、皆こんなに落ち込んでいないよ。」
酒場で涙を浮かべていた大剣ハンターが疲労困憊したような表情でつぶやいた。
「僕は、ジャノバさんの家で古記の続きを見せてもらいました。そこには薬で古龍による災厄が祓えると書いてありました。
皆さんが、本当にこの村が大好きなら、僕に協力してくれませんか?」
皆がざわつき始めた。
「そんな薬あるわけねえだろ。じいさんもボケたんだよ。とっとと家に帰ろうぜ。」
集まったハンターたちが帰ろうとしたとき、
「…で、その薬ってのぁどうやって作るんだ?」
ガイルが聞いた。
「ガイル…さん?協力してくれるんですか?」
「こんな素敵な村、壊すにはもったいない。それに、場所が離れていても困った人たちは見過ごせないだろ?」
「俺も、同じ考えだ。」
セージが手を上げながら答えた。
「それに、ここにはウマイ飯を食わせてくれる酒場もあるんだ。そう簡単につぶられちゃたまんねぇよ。」
「ガイルさん…。」
「…坊主、何をあつめりゃいいんだ?」
大剣ハンターが立ち上がった。
「ありがとうございます!えーと…。」
「アデオンだ。エイジ=アデオン。」
「アデオン…どこかで聞いたような…。」
アルフレッドが首をかしげる中
「思い出した!」
セージが突然叫んだ。
「アンタ、ミナガルデの方で百戦錬磨の狩猟長って言われてた奴じゃねえか!?」
「おお、そういえばそんな事もあったな。」
周りから小さな話し声が飛び交う中、アルフレッドは話し続けた。
「それでは、今から僕が皆さんに頼みたいことを話します。」
「で、何をすりゃいいんだ?」
「まず、素材を集めるチームと、ある人に会ってもらうチームに分かれてほしいのですが。」
「素材のほうから聞こうか。」
エイジが聞いた。
「ええ。まず火竜の骨髄。三つほどあれば嬉しいです。次にアルビノエキス。これも三つほど。
それとディアブロスの角。これは二本を一セットとして三セット。これでどうでしょうか。」
「なるほど。それって、調達しなくても誰か持ってたりするんじゃないのか?」
「それなら嬉しいんですが…。」
「お…俺、ディアブロスの角三セット持ってるぞ。」
「ホントかワーノルド!でかした!」
おずおずと手を上げたワーノルドの肩をエイジがどんと叩いた
「すいませんが、調合素材として使わせてくれませんか?」
「ギャラルホルンっていうヘヴィボウガンを作ろうと思ってたんだが、村のためなら喜んであげるさ!」
「ありがとうございます!」
「じゃあ、火竜の骨髄はどうだ?」
「それなら俺が結構持ってるからやろうか?」
「あなたは…。」
「ロギア。ヴォルカノ=ロギア。」
「も…もしかして、あの古龍バスターズの団長か?」
「ああ。確かに。」
「古龍バスターズって何だ?」
ダイラスが頭を掻きながら聞いた。
「坊主は聞いたことねえかもしれねえが、古塔や決戦場、シュレイド城に現れる伝説の三大古龍
ミラボレアス・ミラバルカン・ミラルーツを相手にたった十分で討伐を完了させてしまう今最強と謳われている
猟団だ。」
「すっげぇ!」
「そんなでもないんだが。」
「骨髄…、頂いてよろしいですか?」
「ああ、構わんとも。」
「ありがとうございます!」
「それと、コイツを持ってけ。」
ロギアがアルフレッドとダイラスに装備を一式渡した。
「これは…?」
「俺が少し前、猟団の皆と一緒に幻龍ノストレイジという古龍を狩りに行ったんだ。
その防具はアルカディアGシリーズっていう、ノストレイジの素材を使った防具だ。」
「あ…ありがとうございます。」
「スキルは、護法、斬れ味レベルプラス一、超高級耳栓、ヴィジョンシールド、
そして加速プラス二だ。」
「なんだか、聞いたことのないスキルばっかだな。」
「今説明しても時間の無駄だから後で話すよ。」
「はい!」
「後はアルビノエキスだが…。」
「さすがにそれは俺も持ってないなあ。」
「俺も、全部鬼人薬グレートと硬化薬グレートに使っちまって、ストックがないんだ。」
「エイジさんもロギアさんも、それにワーノルドさんも持ってませんか…。」
「すまないな、力になれなくて。」
「いえ、すいません。僕が無理を言ってるんですから。それに、無い物は集めればいいんですし。」
「そういえば、ある人に会いに行くチームってのはなんなんだ?」
「ああ、そうでした。ある人というのは、古記に書いてあった古の都ロノフィンというところに住むとされている、
竜神族の方々に会ってきて、この村へお連れしてほしいのです。」
「竜神族?竜人族じゃなくてか?」
「ええ。おそらく、龍と話し遣うことから竜人族との差別化を図るための名前でしょう。」
「で、古の都ロノフィンの座標は分かっているのか?」
「詳しくは書いてありませんでしたが、おそらくフラヒヤ山脈とドンドルマの街の間にあるでしょう。」
「なんでそんなことが分かるんだ?」
「龍と話し遣うということは、龍がそれだけ信頼しているということ。つまり、陽龍ガムロスが最初に目撃された地点に
ロノフィンがあると推測していいでしょう。」
「なるほど。アンタ、一体どんだけ頭がいいんだ。」
「それは秘密です。」
「とにかく、後集めるのはアルビノエキスとケルビの角、龍殺しの実と雪山草か。」
セージがまとめた。
「はい。では半分に分かれて、一グループはロノフィンの竜神族の捜索を。
もう一つのグループは十人と五人に分かれて、十人のほうはフラヒヤ山脈に行ってアルビノエキスと雪山草の収集を、
五人のほうはマゼラティア地方にあるグノーム火山へ行って、龍殺しの実を採取してきて下さい。」
アルフレッドが説明を終えた後、一斉に動き出した。
分かれた結果、ダイラスはエイジと他三人と共にグノーム火山へ行く龍殺しの実収集組
セージとガイルは他八人をつれ、フラヒヤ山脈組へ。
ロギアはワーノルド他十三人と一緒に竜神族捜索組になった。
「それではお願いします。それと、皆さんに五個ずつあるアイテムをお渡しします。」
アルフレッドはそばにおいてあった袋から小瓶を取り出し、五個ずつハンターたちに渡した。
「これはなんだ?一見生命の粉塵に見えるが…。」
ガイルが聞いた。
「それは、僕が開発した強走の粉塵というものです。吸い込んだ者に強走効果を発揮します。」
「へえ。この際だ、使えるものは使っておこう。」
そして、数分の談笑の後解散となった。
「アルフレッド、ダイラス。」
「はい。」
「さっきの装備の説明を詳しくしてなかったね。」
「ああ、どうも。」
「ヴィジョンシールドというスキルは、全ての古龍に耐性が付くスキルだ。
具体的につくスキルは、龍風圧無効、疲労状態無効、焔鎧ダメージ無効
属性やられ無効、龍耐性プラス三十だな。」
「そんなに付くんですか…。」
「対古龍専用装備と言っても過言では無いな。次に武具なんだが、これも幻龍ノストレイジの素材を使っている。
アルフレッドに渡したのはアルカディアソードという片手剣だ。」
「これですか。」
アルフレッドは片手剣を手に取った
「一応龍属性の武器だが、盾に麻痺毒が仕込んである。盾で殴り続ければそこらへんのモンスターは麻痺状態になるだろう。
「なるほど…。」
「そして、ダイラスに渡したのはフラストレーションというハンマーだ。」
「なんか重いなと思ったらハンマーだったのかよ…。」
「ああ。だが、威力はこの世界に存在する武器の中で一番を誇っていると、俺は思う。」
「この重さからすれば納得できる…な。」
「慣れれば軽いもんさ。」
と一通り説明が終わったところだった。
「ん?」
「どうした、アル。」
「いや、今歌が聞こえたような…。」
「…ホントだ、聞こえる。」
「これはもしや…、龍の宴?」
「あれ?確か龍の宴ってもう始まってなかったっけ?」
「なら…、まずいぞ。」
と言った瞬間であった。
突然空を切るような咆哮が辺りを伝った
「この咆哮は…!」
「ああ。今から十九日以内にこの災厄を振り払わなきゃいけなくたったようだ。」
後書き
やぁ、島原だよ。
今さきほどなんだけど小説の情報を確認したら
この小説を評価して下さった人が居たようで。
ありがとうございますm(_ _)m
感謝感激の次第ですホント(´・ω・`)
趣味で書き始めたものなので本当に拙いものですがそれでも評価がいただけたことは嬉しいです。
これからも頑張っていきます。つぎは5話ですね
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