インフィニット・ストラトス 黒剣の死神と謳われた天才
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一夏VSバロウ
シャルを回収する為に俺はアリーナに行き、倒れてるシャルの横で立っているバロウの目の前に立った。
「どけ。シャルを上に運ぶから」
「シャルロットは僕の能力を知った。僕は自分の能力を君に知られると不利だと思ったからとどめを刺した。何も間違ったコトしてないでしょ?なに怒ってるの?」
俺はバロウのその言葉を無視して、シャルを持ち上げビットに居るラウラにシャルを預けてまたアリーナに向かった。
ビイィィィィィィィィ!!
「シャルはもう動けない状態だった!!!とどめを刺すまでもなく!!」
「でも口はきけた」
「………………!!!」
なんでだよバロウ。なんであんな酷いことを平然と出来るんだよ!
「君の薄っぺらい正義論に興味はないよ。“カノン”!!!」
バロウが右手を前に出しシャルに撃った大砲が現れ、俺に向かって放たれた。俺はそれを雪片を盾に防いだが後ろに飛ばされ、地面に倒れてしまった。
「ぬぐっ!!!」
「…なんのつもりか知らないケド…そんな刀じゃ僕の攻撃は防げないよ?まあいいや。僕の目的達成のために倒されてよ。“ユヌラケス”!!!」
バロウが叫ぶと俺の周りに地面から壁が出てきて、上のほうも同じ壁で閉じられてしまった。どうやらこれは正方形の箱に閉じ込める技みたいだ。
「“カノン”!!!」
外からバロウの声が聞こえたので俺は腰を落として雪片を前に出し、斜めにすると箱を突き破って砲弾が飛んできたが、砲弾は斜めに持たれている雪片に当たり、弾道が上の方になり飛んでいった。
「へー刀をレールにしてうまく弾道を逸らしたね。でもそれじゃまだまだ、僕の能力は破れないよ!」
バロウがそう言うと左右から砲弾がいきなり現れ、こちらに飛んできた。
ドォン!!
「……こんな攻撃がなんだよ。全然きかないぜ」
「戯れ言を言うのは構わないけど、言うならそれなりの恰好で言ってほしいね“カノン”」
またあの砲弾が飛んできたので俺は右に飛ぶと後ろから砲弾が飛んできた。
「『雪羅』!!シールドモード!!」
俺は後ろを向き『霞衣』で砲弾を消すとまた後ろから砲弾が向かってきて、それも避けると今度は複数の砲弾が飛んできた。
(くそ!!次から次へときりがねえ!!)
「一つだけ質問していい?君って『自分に関わったヒト全員を守る』をモットーにしてるって聞いたけど、そんな力も無いのにどうやってそんなコト考えたワケ?」
「黙れ!!」
俺はバロウの言葉に沸点が上がり、『零落白夜』を発動しながら、向かうとバロウはそれを避け、俺の方に右手を出した。
「現に君はこうして僕にダメージ一つ与えられてない。そんなヒトが誰かを助けるなんて出来ないと思うけど?“ザンナ”」
ザンナの言葉と同時に顔の付いた立方体が大きく口を開いた状態で飛んできて、俺を噛み砕こうとして後ろに押しながら一緒に地面に叩きつけられた。
「僕を絶対倒すとか言っといてこの有り様、社長が君を『甘ちゃん』って言うのがよく分かるよ」
『なんだと、一夏を愚弄するな!』
「事実だよ篠ノ乃さん。夢ばかり見て、自分の力量をまるで分かってない、そんな一夏が誰かを守るなんて土台無理な話なんだよ」
『……………………!!』
『くっくっくっ…やっとわかったわよバロウ!あんたの能力!!!』
ー◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ー
凰さんが僕の能力の正体を分かったみたいで大声で叫んだ。
『本当か鈴!?そんな役回りでもないのに』
『もちろん!てか、役回りってなによ!?』
「僕の能力を分かったって?」
『ええ、やっとね!バロウ、あんたの能力の正体…それは…“コピーする能力”よ!!!つまり、あんたは自分の攻撃をコピーしていたのよ!!!あの大砲ばかり出てたのがその証拠なのよ!!』
「……コピーする能力?プッ」
『!?』
「プククッフフフっククック!!!」
『な、なにがおかしいのよ!?』
なにがおかしいって、まさかこんな単純な答えを出すなんて、笑いが出てくるよ。
「残念!ハズレだよ。ってゆーか『コピー』って誰でもスグ思いつくと思うんだけど」
『ええ!?』
「たんなるコピーじゃ砲弾がいろんな角度から現れる説明がつかないだろ?」
『あ…』
「いいとこついてたケドね。残念ながら…」
『「デジャビュ」でしょ?』
この声まさか、
『し…シャルロット!!!』
『ごめん。うっかり寝ちゃてた…』
早い、もう気絶から覚醒した!
「驚いたな…あのカノンの連射をうけたのに………」
『急いで武器を展開させてダメージを半減したんだよ』
『シャルロット、「デジャビュ」ってどうゆう…』
『「あれ?前にもこの場面見たことある?」ってコトたまにあるでしょ?あれが「デジャビュ」。つまり…“過去の映像”を“現実”に変える能力!!!それがバロウの能力の正体だよね?」
シャルロットの指摘に僕はただ聞いてるだけだった。
『単純なコピーじゃない。バロウは一度砲弾を放ったその映像を、後で現実化してたんだ。僕が喰らったダブル砲弾の一方は、一度目の砲弾の軌道と全く一緒だったから、あれ?この軌道、一度見たことあるって思ったんだよ。だから、言うならばこれは……デジャビュする攻撃なんだよ』
まぁ、実際は過去にあった映像だからデジャビュじゃないんだけどねと、シャルロットは付け加えた。
「けど、そんなのは推論だろ?たまたまコピーが一緒だったってコトもあるし…」
『ねぇ鈴。さっきなんかおかしなコト言ってたよね』
まさか、シャルロット、僕の能力の弱点まで、
『おかしなコト?』
『うん、確か「大砲ばかり出てたのがその証拠よ」とかなんかって、僕の予想が正しければ、バロウは遠距離型の攻撃しかしてないと思うけど?』
『確かに一夏君が突っ込んできても遠距離攻撃で撃退したわね』
『そこなんです楯無先輩。バロウが接近戦をやらないのはそこにあるんです。接近戦をやるとバロウの能力でそのバロウ自身を現実化してしまうんです』
そう、もし僕が接近戦や体と一体化した武器を作って攻撃すると僕自身の過去像を出してしまう。そうしたら、その過去像は格好の的になってしまう。
「…………流石だよシャルロット…大当たり!!君の言う通りだ。僕の能力『ムービー』はデジャビュする能力だよ!」
僕は万弁の笑みを浮かべながら正解を教えた。
「でも、それが分かったからなんだってゆ一の?一夏はもうおしまいだよ」
『『!!!』』』
「シャルロットなら、もうわかってるんでしょ?過去に放った攻撃を現実化するってコトは、時が経つほどに…僕が攻撃を放ってば放つほどにその数は増えていくってコトだ、君が起きてきた時点で、一夏はもうすでに最悪な状況に陥っていたんだ。もう君の言葉は彼には届かない」
『………………』
「いくら必死で伝えようとしたって…伝わらなきゃなんの意味もないんだよ」
バロウのその顔は悲しい顔をしていた。シャルロットはある一つのことに気がついた。
『バロウ、まさか……』
「シャルは、俺を信じてくれた…俺を信じてお前の能力を暴いてくれたんだ」
一夏はボロボロにながら立ち上がった。バロウは信じらんない顔
をしながら一夏の方を見つめた。
「届かないわけ………………ねえだろ…!必死に伝えようとしてくれた言葉が、伝わらねえわけないだろ!!!」
後書き
バロウの技はフランス語にしたので日本語訳を書きます。
カノン=大砲
ユヌラケス=大箱
ザンナ=牙
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