魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編
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第32話 聖王器
前書き
こんにちはblueoceanです。
さて、パソコンの修理に6万かかると言われました。
大分ぶっ壊れてたんだな………
今回はマンガ喫茶からの投稿です。次の投稿はもっと遅くなるかもです。
本当にすみません………
「邪魔だ!!」
グラーフアイゼンで向かってきたカプセル型のガジェットを打ち返す。
「ティアナ行ったぞ!!」
「分かってます、クイックバレット!!」
ティアナのクロスミラージュからの高速連射。一発の威力は弱いものの、連続で当てることにより確実に機能を停止させた。
「ギン姉後ろ!!」
「トライシールド!!」
後ろから熱線を発射されたギンガだったが、スバルの声で三角のシールドを張り、何とか防ぐことができた。
「玄武剛弾!!」
ナックルスピナーに溜めた衝撃波を打ち出し、固まっていたガジェットを吹き飛ばす。
「何でこんなにガジェットが………?今までずっとバリアアーマーだったのに………」
シャッターが全てのホテルの出入りを完全に遮断した後、突如出現したガジェット。
AMFを展開し、各防衛している部隊に襲いかかった。
「ティアナ、考えるのは後だ!!戦闘に集中しろ!!」
「は、はい!!」
「ヴィータ副隊長、他の部隊は?」
「アイツ等だってこういった事態は想定済みだ!!それにシャッターが降りている以上、あのホテルは要塞だ!!私達は向かってくる敵を殲滅するぞ!!ティアナ、ガジェット共の数が多い!!ここは分散して戦うぞ!!」
「えっ!?ですがヴィータ副隊長!」
「私とギンガ、ティアナとスバルペアだ!!訓練を思い出せ!!確実に数を減らしていくぞ!!」
ヴィータの檄と共にスターズは動き出したが、ティアナの顔は不満そうだった………
「エリオ、ルー!!右前方でガジェットの対応を。キャロ、シグナムさんは左前方を。真白は俺と共に前方から向かってくる敵を殲滅する!!」
スターズが動き出したちょうどその時、ライトニングも同じくエローシュの指示の元動き出した。
「殲滅………?だがエローシュ、お前は………」
「シグナム副隊長、エローシュ君は大丈夫です、行きましょう!!」
「キャロ!?だが………」
戦闘能力の無いエローシュを心配してシグナムが一旦止めようとしたがキャロがすかさず遮った。
「行ってください!信也君には私が付いてますから!!」
「………分かった」
真白にそう言われ、シグナムもエローシュの指示通りに動く。
「さて、わざと真ん中を手薄にしたんだ。もしホテルが狙いならこっちに来る筈だが………」
「ガジェットはこっちに来ないの?」
「恐らくね。だからこそこのシャッターは多分俺達を中に入れさせないために………」
「じゃあ中は………」
そんなエローシュの言葉に真白が不安そうに呟く。
「大丈夫だ。中には機動六課最強の面子が居るんだ問題ないさ。だから真白ちゃんは今の内に限界まで魔力を集束しておいて」
「AMFのせいで時間かかちゃうよ?」
「その為の時間稼ぎが俺と前線に向かった4人さ。頼むよ真白ちゃん」
「うん、分かった!スカイシャイン!!」
そう言って真白は魔力の集束を始める。
(さて、そうは言ったものの状況は最悪かな………せめて中の様子がもっと分かればやりようはあるんだけど………真白の集束魔法がシェルターを貫通出来るかが鍵だな………)
冷静に分析するエローシュ。
『!?この感じ………』
「エクス?」
『これは覚えがある………キルレントのゼルフィス………』
「ゼルフィス………?」
その頃、オークション会場ではステージ上で神崎大悟の公開リンチが行われていた。
「大悟君………!!」
「見ていられへん………加奈ちゃん………」
「はやて、フェイト、なのは、もし私が飛び出そうとしたら止めてね………せっかくあのバカが根性見せてるのに台無しにしちゃう………!!」
「加奈………」
悔しそうにリンチの光景を目を離さずに見ている加奈。
その顔は今でも相手を殺しそうなほど殺気染みていた。
「おらおらおら!!」
「ははっ、エース・オブ・エース様がボロボロだぜ!!」
大悟の着ていたタキシードは全体的にボロボロで所々に切り傷や血が付着していた。
「へっ、どうだエース・オブ・エース?」
「綺麗だったタキシードもボロボロだぜ?」
そう嬉しそうに言う手下達だったが、やられた大悟本人は特に動じた様子は無かった。
「おい、何だ?特に反応無いぞ?」
「もしかして効いて無いんじゃないか?」
「まさか!!これほど痛めつけてか?」
「もしかして魔力強化で身体強化してるんじゃ………」
「嘘だろ!?AMFを高濃度で発生させてるんだ!!あんなに痛めつけられた状態で使えるわけが無い!!」
実際大悟は身体強化していた為、見た目はボロボロだが、そこまでダメージを受けてはいなかった。
(とはいえ、流石に無傷とはいかないか………だがこのままなら余裕で時間を稼げる………)
「くそっ、このままじゃ俺達の気が済まねえ!!なあ何かいい方法無いか?」
「………なあ爪剥がさね?そうすれば泣いて詫びるかもよ?」
「おお良いアイディア!!」
「良いじゃんやろうやろう!!」
そんな手下達の言葉になのは達隊長メンバーの顔が青くなる。
(ああ、不味いな………だけど逃げる訳にはいかない………)
「それじゃあ先ず小指から………」
大悟はそんな状況でも顔色を変えずなすがままになっている。
(加奈、そんな悲しそうな顔で見るなよ………俺は大丈………)
「1枚~」
「ーーー!!!」
目を見開き、歯を食いしばって痛みに耐える大悟。
「凄い凄い!!流石エース・オブ・エース!!」
「じゃあどんどんいってみようか!!」
「なのはお姉ちゃん………」
「ヴィヴィオちゃん、見ちゃダメ!!」
恐る恐る声を掛けたヴィヴィオにステージを見させないように抱き締める。
「バルトさん………!!」
なのはは今居ない人物を思い浮かべながらそう願いを込めるように名前を呟いた………
「うわぁ………容赦無いですね………」
「運が良ければ死なねえだろ。こっちも時間がねえし、バレる訳にはいかねえんだ」
そう言いながら階段を登り続けるバルト。
その途中、テロリスト達に見つかったが、連絡を取られる前に完全に沈黙させた。
普通に手刀で気絶させた者もいれば、斧で叩き潰す勢いで振り下ろした者いた。
「もう直ぐで目的の場所です!!」
「だったらスピード上げるぞ!!振り下ろされるなよ!!」
「えっ!?ちょっと待ってください!?」
そんなしがみついているリインの言葉を無視してバルトはスピードを上げた。
「いやああああああ!!」
敵に制圧された場所なのにリインは関係なく大きな悲鳴を上げたのだった………
「………」
「コイツマジかよ………」
両手の指の爪全てを剥がし終え、それでも叫び声を上げずに耐えきっていた。
指から血が流れ落ち、床には小さな血の池が出来ていた。
「何でコイツこんなの耐えられるんだよ………」
「壮絶な痛みだろ?人間じゃねえよ………」
弱気な発言が目立ち、意気消沈していた。
(中途半端な………だからゴロツキの奴らを入れるのは反対だったんだ………上は何を考えてる………もうこの組織は駄目かもな………教皇も行方知らずで未だに幹部達ともお目通り出来ない………潮時かもな………)
そんな事を思いながら指示を続ける。
(せっかくだったら手土産を頂いて逃げるか………そうだな、あのゼルフィス辺りを頂いていくか………)
「おい、その大剣は俺が直接運ぶ」
「えっ、ですが………」
「アイツ等のせいで余計に時間が掛かってしまった。この先どんなイレギュラーあるか分からん以上高値の物は実力のある者が持っていた方が良い」
「分かりました、ボスなら安心です」
そう言って指示に従っていた手下の1人が背の丈程ある大剣を運んでくる。
「………ん?」
「どうしました?」
「今光らなかったか?」
「いえ、私は気がつきませんでしたが………」
「そうか………?」
不思議そうにゼルフィスを受けとる。
『見つけた………』
「ん?」
『見つけた………』
「誰だ?」
『キルレントと同じ強者の者。強さで頂点に立つ者、君はどうして心が折れない?』
「おい、誰だ!誰が話している!?」
「ボス!?」
いきなり周辺を見ながら怒鳴り始める。
「落ち着いてください、一体どうしたのですか!?」
「お前には聞こえないのか?この声が!?」
「声………ですか?」
不思議そうな顔をしながら耳をすませるが何も聞こえてこない。
『どうしてだい?』
『俺は………管理局最強の剣だ。別に……自分からなりたいと……思った訳じゃない。だけどこの世界で働いている内に、俺は…この世界が……好きになった。闇も多く、決して綺麗な事ばかりじゃない………それでも皆必死に生きている。俺はそれを守る』
『敵は多く、安息を得られることはもうないかもしれない。それでも決意が揺らぐことは無いかい?』
『ああ、それでも決めたんだ。家族を守るため戦う彼に負けないために………俺はやる!!』
「やはり聞こえる………誰だ、誰が話している!!」
聞こえてくる会話に戸惑うボス。
その姿に手下達は戸惑う。
「ボス、どうしたんです!?大丈夫ですか!?」
「くそっ、嫌な予感しかしない………おい、運ぶのは作業が終わった物だけでいい。さっさとここから退散するぞ!!」
「ちょっと待てよボス!!女は?女は連れていかねえのかよ!?」
「うるさい、さっさと言うことを聞け!!」
「ふざけるな!!俺達はロストロギアなんて興味ねえんだよ!!臆病風に吹かれてんじゃねえぞ!!」
と、大悟をリンチしていた男の1人がボスの男に向かってそう叫んだ。
「貴様!!!」
「ボス、落ち着いて!!」
ゼルフィスで斬りかかろうとするボスを必死に押さえ込もうとする従っていた手下達。
『ああ………この感覚キルレントに似ている………懐かしい………優しく砕けぬ不屈の心………僕の決断に間違いは無かったみたいだ。神崎大悟、いや、新たなマスターよ、僕の名前を僕の名前は………』
「神崎大悟………?おいお前等!!神崎大悟を今すぐ殺せ!!!」
そう叫んだ時と同時に握っていた筈のゼルフィスが勝手に動き出し、その勢いに驚き思わず手を離してしまった。
「な、何だ!?」
「おい危ねえ!!」
凄い勢いで向かってきた大剣に手下達が一気に大悟から離れる。
「お前が………」
大悟の前で静かに止まったゼルフィスは主の剣と言うばかりに大悟の持ちやすい高さで浮いていた。
「………よしゼルフィス、俺に力を貸してくれ!!」
そう言って剣の柄を握ると大悟の溢れんばかりの魔力が放出されていく。
その姿はまるでゼルフィスが大悟の魔力を食べて強化されていくように見えた。
「俺の魔力量にも耐えられる?ジルディスよりも頑丈だな。……さあゼルフィス、先ずはこの制圧しているテロリストを全員沈黙させる行けるな?」
『はいマスター』
「よし、ゼルフィスセットアップ!!」
凄い勢いで大悟の周辺に風が巻き起こる。
登場した大悟はいつものアーチャー風のバリアジャケットだったが赤では無く、白とを基調とした姿で、どこか神聖な雰囲気に包まれていた。
「ゼルフィス、魔力刃展開」
『イエスマスター』
「!?全員伏せろ!!」
「ロングブレイド、ブレイクバースド!!」
只でさえ長い大剣に魔力刃を形成し、その長さは2mを越えていた。
そんな長い大剣なのにも関わらずそれを苦としない剣さばきで、先程までリンチしていた手下達を斬りつけ、そして砕け散った魔力刃は銃を持って牽制していた敵に向かって飛んでいった。
「なっ!?ぐあっ!!」
「あがっ!?」
まさか自分達も狙われているとは思っていなかった手下達は何の抵抗もなく、大悟の攻撃の前に倒れる。
「エース・オブ・エース………」
「圧倒的じゃないか………!!」
悔しそうにボスがそう呟く。
無事でいた手下達は近くで止めていた手下ただ1人だけであり、他の手下は全て倒れていた。
特に大悟の近くにいた手下達は斬りつけられたことにより出血していた。
「そしてその相棒に聖騎士最強のキルレントが使っていたデバイス………勝てるはずがない………」
「さあ、どうする………?」
「………降参だ」
その言葉を聞いた途端、人質から歓声が巻き起こった………
「そんなバカな!!AMFが高濃度で展開されていたあの会場で魔法など………」
「機動六課ではAMFでの戦闘も想定して戦闘していたからな。バリアアーマーに頼る必要無いのさ」
「だからといってあれは異常だ!!」
「まあ確かにな………」
コントロール室のモニターからの映像を見ながら小さく呟く。
(あの時とは本当にえらい違いだ。恐らく奴こそが魔導師最強だろうな………果たして今の俺に勝てるかどうか………)
そう思いながらも自然と笑みを溢すバルト。
「何ニヤニヤしてるですか?」
「何でもねえ。それよりバインドの方頼むな。それとここのホテルを要塞にしてるシャッターの方もな」
「注文が多いですよ!!少しは手伝ってください!!」
「俺は機械が苦手だ」
「ええっー!?じゃあどうやってコントロールを取り返すつもりだったんですか!?」
「ぶっ壊せばいいだろうが………」
「一生閉じ込めらちゃいます!!」
ギャーギャーバルトに叫ぶリイン。
(まあ何にせよ大事にならなくてよかった………)
画面に映るなのはとヴィヴィオを見ながらそう呟いたのだった………
「はあああああ!!!」
スバルの拳によってまた一体のガジェットが撃墜された。
「次!」
(私にもっと良い策があった………あの策で行けば一網打尽に出来たのに………)
ティアナの作戦は敵を一点に集めた殲滅。スバルとギンガ、そして自分が作り出した幻影で敵を陽動し、最後にヴィータとティアナで最大魔法で撃墜。そう考えていた………
(例え更に増えたとしてもスバルとギンガさんが温存されたんだし、残りは各個撃破にすれば後は苦労せずに撃墜できたのに………なのに………)
そう思いながら舌打ちをする。
自惚れたわけではないが、自分の策を言う前にヴィータに決められた事に納得していなかった。
(私はスターズの指揮官なのに………!!)
ティアナが一番納得していないのはその部分だったりする。
「ティア?ティア!!」
「!?どうしたのスバル?」
「どうしたのはこっちだよ、何か考え事してるみたいだったけど………」
「………何でもない。それよりあらかた片付いたわね。早く合流して………」
「ティア!!」
咄嗟に名前を呼ばれ、振り向くと今にも熱線を発射しようとガジェットがティアナを狙っていた。
「えっ?」
完全に油断していたのかティアナは迎撃することも避ける事も出来なかった。
「くっ!!」
熱線は発射され、ダメージを覚悟するが………
「ティア!!」
スバルがティアナを突き飛ばしてくれたお陰で難を逃れた。
「この!!」
クイックバレットにより、完全に沈黙したガジェット。
「スバル、ありがとう。助かったわ」
そう言ってスバルを見るとスバルはうつ伏せで倒れていた。
「スバル!?」
「あはは、大丈夫大丈夫………」
脇腹を抑えながら立ち上がるスバル。脇腹からは血が出ていた。
「大丈夫じゃないでしょ!!早く医療班と合流して………」
「そう言う訳にもいかないよ………」
そう言うスバルの先には複数のバリアアーマーがいた。
「あのバリアアーマー、管理局の物に似てるけど所々違う………ミーティングで言ってた冥王教会の物だね………」
「スバル、ここは私1人でやるわ」
「ううん、この数ティア2人じゃ無理だよ………」
「今のアンタじゃ足手まといよ、良いから任せなさい!」
「ティア!!」
スバルの言葉を流し、走り出す。
(やれる………!!私だってスターズの1人なんだ!!)
バリアアーマーの数は全部で5体。
タイプとしてはプロトタイプとして神崎大悟が戦った最初のバリアアーマーとほぼ一緒であり、むしろ劣化版と言っても良い出来の悪い物である。
「遅い!!」
撒き散らすように魔力弾を発射するバリアアーマーの攻撃を回避しながら懐へ潜り込む。
「いくら固い鎧でも近くで攻撃すれば!!」
そう言って目の前に現れたティアナはそのままクイックバレットを発射した。
「くっ………!!」
劣化品と言えど、同じバリアアーマーであるため、やはりガジェットやバリアジャケットと比べると相当固い。
「だけど負けられない!!」
それでもティアナは攻撃の手を緩めない。
「ミラージュバレット、エクストリームシフト!!」
消えていたスフィアを出現させて一斉掃射する。
「まだまだリフレクバレット!!」
鏡のように反射する魔力弾。異物が混ざった事で更にミラージュバレットの攻撃が複雑になる。
その光景は外から見れば蜂の巣のように全身に穴が空くことが容易に想像できるほどだ。
「!?」
流石のバリアアーマー達も耐えきる事が出来ず行動が鈍る。
「よし!これを続ければ………えっ?」
順調に事が進んでいた様に見えた攻撃がいきなり止まってしまった。
展開していたスフィアも魔力弾も忽然と姿を消し、バリアアーマーの彼等を止められる物はいなくなってしまった。
「どうして…………あっ………」
『良いみんな?AMF下だといつも以上に魔力が拡散しちゃうから無闇に使っちゃだめだよ。特にティアナは大量のスフィアを使って攻撃する手が得意だけどAMF下だと大体いつもの半分の時間位しか展開できないと思っていた方がいいよ』
「私は何てバカなミスを………!!!」
ヴィータの判断と自分の愚かさに途端に恥ずかしさが込み上げてくる。
「くっ………!!」
ティアナに向かって来た魔力弾のお陰で我に返ったが、それでも精神的動揺は隠せないでいた。
「この場合は………駄目、この手じゃさっきの二の舞………!!」
上手く頭が回らないのか中々決断できない。
そんな状態であるため、次第に追い込まれていった。
「何度かさっきみたいな状況を作って………駄目、そう何度も展開出来るわけが………」
「ティアーーー!!!」
死角から迫ってくるバリアアーマーに完全に反応が遅れたティアナ。
(しまっ!?やられる!!)
死まで覚悟したティアナだったが、そのバリアアーマーに向かっていく青い閃光。
「インパクトバンカー!!」
拳に込めた魔力を打ち出し、吹っ飛ばす。
「スバル………?」
弱々しく相棒の名前を呼ぶティアナにスバルは近づき、
「えっ………?」
ティアナの頬にビンタした。
「スバル………?」
「ティア、しっかりして!!ティアがそんな弱気じゃ勝てる戦いも勝てなくなっちゃうよ!!ティアはいつもそう。1人で悩んで1人で抱え込んで………今だってティア1人で戦ってる!!私じゃ頼りないかも知れないけどもっと相談してよ、頼ってよ!!」
「スバル………」
「私だってまだ戦える、私だってティアと肩を並べられる!!」
「違う………違うわスバル!!私は………」
『スターズのお荷物と言われたくなくて』
私はと次に続く言葉は口に出ることは無かった。それを言ってしまえば自分自身を失ってしまうような気がしたから。
(私に求められているのは指揮能力。それ以外平均レベルな私はどう頑張っても六課にいられるような実力はない)
ティアナはそう考えていた。しかし今までの戦い、スターズの個々のレベルは高く、ティアナの指揮が無くとも問題無く任務を遂行できていた。そう本人は考えていたのだ。
(生き残るにはこれしかない………)
そう思い、個人のレベルアップの他にも戦術を考えていたティアナ。
しかしその努力も実ることは無かった。
(結局の所、私は自分自身で手一杯なんだ………)
ヴィータの判断も個々の実力で対応出来る上に、自分達の足止めが目的なのでは無いかと瞬時に思ったから2手に分けたのだが、作戦自体は良い方向へと向かっていた。
結果的に分かれたスターズ、そしてライトニングの方に敵は集中し、他の地区で防衛に当たっていた地上の部隊はホテルの異変に対応出来たのだ。
(私は………本当に弱い………)
そんな自己嫌悪に陥っているティアナと既にダメージを負っているスバル。
かなり不利な状況であったが………
「えっ、撤退する………?」
「何で………」
残ったバリアアーマーの敵は倒れた仲間を連れ、森の中へと消えていった。
「ま、待て!!」
「スバル!!」
追いかけようとしたスバルとティアナが制した。
「今の私達じゃ無理よ。それに任務は防衛、殲滅じゃないわ………」
「分かった……うっ!?」
「スバル!?」
わき腹を抑えながらうずくまるスバル。
「待って今治療を!!」
結局2人が移動したのはギンガが迎えに来た後になる。
「スバルは無茶して………」
「すいませんでした………」
「何でティアナが謝るの?仲間を守るのは当然でしょ?」
「そうだよ、ティアは気にしなくていいんだよ!!」
「ありがとうスバル、ギンガさん………」
今のティアナにとって2人の優しさはとても辛かった………
「大悟!!」
降参したボスとその手下をバインドで拘束した後、大悟はその場に座り込んだ。
そんな大悟にいの一番に向かう加奈。エタナドを回収した後直ぐに治療へと入る。
「はは、ありがとう加奈」
「バカなんだから………こんなになるまで我慢して………剥がれた爪を瞬時に修復するのは無理ね。これは暫く病院通いよ」
「うん、そうだろうね」
そう言って優しく笑う大悟だったが、その顔には疲れが見えた。
「取り敢えずこれで痛みは和らぐと思う。事後処理は私達がやっておくから少し休んでなさい」
「柔らかい枕が無いと………」
「調子に乗らない」
そう言ってチョップを落とされるが、加奈は静かに大悟の頭を自分の膝に乗せた。
「今回は特別」
「………だったらチョップしなくても」
「うるさい!!」
再びチョップされ悶える大悟。
「ああ、でも柔らかい………」
「大悟?」
「………」
安心しきったように眠る大悟。
そんな大悟を加奈は優しく撫でるのだった………
「バルト~!!」
「バルトさん!!」
「おお2人共無事だったみたいだな」
シャッターも無事元に戻り、大きな損害も無く解決出来た今回の事件。
『エース・オブ・エース、太古のデバイス、聖王器を駆使して事件を解決』
ロストロギアも持っていかれる前にシャッターを戻し、雪崩れ込んだ地上部隊によって全て検挙された。
今回の功労者、神崎大悟の名は聖王器の使い手として最早最強の二文字を確実なものとしていた。
「バルトさんもお疲れ様でした」
「まあ大した事してねえがな。犯人は大悟が捕まえたし、操作はリイン任せだったからな」
「じゃあバルト何もしてないんだね!!」
「いやそういうわけじゃないんだが………」
言葉を濁らせながら頭をかく。
「まあいい、本当に無事で良かった………」
「バルトさん………」
本当に心配していたのだと感じさせるバルトの顔になのはも心から嬉しくなった。
「………」
「あれ?何で後ろ向くのヴィヴィオちゃん?」
「だってキスするんでしょ?良いよ、ヴィヴィオは空気読めるから後ろ向いてるよ」
「し、し、し、しないよヴィヴィオちゃん!!!」
「ってか口に出すところでガキなんだけどな」
「そうですね!」
そう言ってなのはとバルトは共に笑い合う。
「ぶぅ………何か面白くない」
そんな2人を見て頬を膨らますヴィヴィオだった………
「わざわざ部隊長様が俺に何用だ?」
「移送される前に話が出来て良かったわ。聞きたいことがあってな、ちょっと時間もらうで」
移送される車両の中、出発前にボスと呼ばれていた男の前に訪れていた。
「まあ良いだろう、俺はこの任務を機に抜けようと思っていたからな。俺の知っている範囲内なら話そう」
「ありがとな。それじゃあ先ず、今回ホテルアグスタを襲撃した目的は何やの?」
「お前達の想像通りだ。ロストロギア強奪が俺達の任務だ」
「何のロストロギアや?」
「………レリック。それを組織は回収したがっている」
「レリック………列車事故で盗られたロストロギアやな。せやけどそんな名前のロストロギアは無かった筈や」
「だな、だがこのオークションの裏で取引がされていたとしたら?」
「何やて………?」
「光あるところ闇があるってことさ。………まあ今回はガセだったみたいだがな」
そんな澄ました態度にはやてもイラつきを覚える。
「ふうっ………レリックについてもっと詳しく調べた方が良さそうやな………」
一旦落ち着いてはやてが呟く。
「それともう1つ、冥王教会の教皇は誰だか知っとるか?」
「俺達したっぱは教皇どころか幹部の顔すら見たことがない」
「そうか………結局謎が多いなぁ………」
「それと1つ、黒の亡霊を俺達は追っている。そして奴も俺達を追っているだろう」
「黒の亡霊………あの量産型は冥王教会の物なん?」
「違うと………思う。俺達も知らないんだ。だが俺はあんなのが冥王教会にあるなんて聞いていない」
「そうなんか!?」
「黒の亡霊………どうにか接触すること出来んかな………」
「はやてちゃん、そうろろ限界ですぅ………」
「そうやな、ありがとうリイン」
そう言って車両から出るはやて。
「ありがとな、本当に助かったで」
「これくらい構わないさ。俺も最後に美人とゆっくり話せて良かった」
「せやったら、今度様子見に行くから楽しみにしといてな」
「………さあそれどうかな」
「?」
良く聞こえなかったはやては気にせずリインと一緒に自分達の部隊へと戻っていった………
翌日、車両の移送中、移送していた車両がバリアアーマーとガジェットの部隊に襲撃され、乗っていた犯人グループ全員死亡するというニュースがテレビに流れたのだった………
後書き
漫画喫茶に行くようになってPSYRENを久しぶりに読みました。
あれ、連載時も書かさず読んでましたが、やっぱり面白いですね~
そして読んでてなのはとPSYRENのクロスも面白いかなと思ったり。
………だけど16巻で終わっちゃったのがな………もっと連載してほしかったな………
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