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ヘタリア大帝国

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TURN87 再編成の合間その七

「とてもね」
「はい、放置するにはあまりにも危険です」
「ソビエトもファンシズムよ」 
 エルザはソビエトの本質を看破していた、共有主義と言ってもその本質はそれに他ならないというのである。
「今のドクツは先代のレーティア=アドルフを神格化したね」
「やはりファンシズムですね」
「ええ、どっちも君主制を否定してるし」
 それにだった。
「経済システムは共有主義よ」
「はい、ドクツの経済システムは共有主義です」
 イギリス妹も言う。
「その実態は」
「だからどちらも本質的にはエイリスの敵よ」
 エルザはこのことを指摘する。
「むしろまだ日本帝国の方が私達に近いわね」
「王室、資産主義だからですね」
 ロレンスが応える。
「日本帝国は」
「そうなのよ。敵だけれどね」
「敵であろうとも近い国はありますね」
 カメルーンが静かに述べた。
「今の日本の様に」
「そうよ、敵同士だけれどね」
「日本が連合だったらな」
 イギリスは首を捻ってぼやく感じで述べた。
「違ったんだがな」
「今更言ってもはじまらないわね、けれどね」
 エルザはそのイギリスのぼやきを打ち消しにかかった、そうした言葉だった。
「敵ならね」
「倒すしかないよな」
「ええ、そうよ」
「枢軸に勝ってそうしてか」
「その次はソビエトとドクツね」
 エイリスの戦いはまだ続くというのだ、彼等にとっていい話ではなかった。しかもそれに加えてだったのだ。
「議会も厄介ですね」
「腐敗が酷くなってきてるな、尚更」
 イギリスは妹の今の言葉にも顔を曇らせる。
「戦争になってからな」
「しかもその主張が」
「植民地の即座の奪還な、目指してるんだよこっちも」
 イギリスは軍の立場から言った。
「けれどそれが簡単に出来る状況じゃないから困ってるんだよ」
「議会の貴族の方々はご自身のことしか考えていません」
 イギリス妹もあえて厳しく事実を指摘する。
「ですから」
「あそこまで酷いな」
「植民地での既得権益の確保のみです」
 貴族達が考えているのはこのことだけだった。
「独立した植民地についても」
「けれどあれよね、インドカレーとかの権益ってもう全部現地の人達のものになったわよね」 
 マリーがこのことを言う。
「そうよね」
「はい、全て奪われました」
 イギリス妹はエイリスの立場からマリーにこのことを話した。
「インド洋以東の植民地の権益は全て」
「それでもなのね」
「そうです、権益の奪還を主張されています」
「そもそもあの人達植民地で滅茶苦茶やってるじゃない」
 まだアフリカの植民地があるので言葉は現在形だった。
「あれじゃあ叛乱も起きるし」
「独立もですね」
「そういう話にもなるから」
「植民地統治の改革もしようと思っていました」
 セーラが再び言う。
「本国並とはいかなくとも」
「うん、権利の保障とかだよね」
「議会改革と共に行うつもりでしたが」
「戦争になったからね」
 そちらに専念せざるを得なくなったのだ。
「今はね」
「そしてこの戦争の後も間違いなく」
「ドクツ、ソビエトがいるから」
「改革を行わなければエイリス自体が崩壊します」
 セーラはこのことを憂慮していた、戦争以外にもだ。 
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