ヘタリア大帝国
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TURN87 再編成の合間その二
カテーリンは怒った顔でこう言った。
「何、それ」
「はい、ドクツは戦力を温存するつもりです」
「私達に戦わせて漁夫の利を得ようっていうのね」
「そう考えています」
ゾルゲはカテーリンの前で直立不動の姿勢で報告する。
「そして戦後に」
「私達にまた攻め込んでくるか」
「若しくは経済的主導権を握るつもりです」
「随分とずるいこと考えてるのね」
カテーリンはむっとした顔になって言う。
「そんなの許せないけれど」
「ではどうされますか」
「決まってるわ、ドクツ軍にもどんどん前線に出てもらうから」
生真面目なカテーリンらしい決定だった。
「皆が大変なのに一人だけ楽するとか許さないから」
「じゃあドクツに要請しよう」
ミーリャがここでカテーリンに言う。
「前線に出てもらおうって」
「うん、強く言うから」
「今の総統さんにもね」
「ただあの総統さんに直接合わない方がいいから」
カテーリンはヒムラーに対してもその曇った顔を向ける。
「お話していたら向こうの思う通りになるから」
「それが不思議ですね」
ロシア妹も言う。
「書記長と同じで」
「何か私と似たものがあるの」
カテーリンはヒムラーの手を無意識に思い出しつつ話した。
「あの青い石もまさか」
「そうだね、けれどあの人カテーリンちゃんとは違うよ」
ミーリャはそのカテーリンにまた話した。
「多分だけれどね」
「どう違うの?」
「カテーリンちゃんはいつも皆のことを考えてるじゃない」
確かに子供故の行き過ぎや考え違いが多くともだ、少なくともカテーリンはそうした娘であることは間違いない。
だがヒムラーはどうなのか、ミーリャが今言うのはこのことだった。
「あの人は自分のことしか考えてないよ」
「言われてみたら」
「そんな感じするよね、私はあの人とは会ってないけれど」
「うん、ちょっと見たら顔はいいけれどね」
それでもだとだ、カテーリンも言った。
「よく見たら」
「でしょ?あの人自分のことだけだよ」
「国家や人民の皆のことは」
「そう、全然考えてないよ」
「そう見えて自分だけだよね」
「そういう人よね」
二人は勘で、カテーリンは一度本人を見てこう察したのである。
「だから同じ力があるかも知れないけれどん」
「私とは全然違うのね」
「じゃあカテーリンちゃんあの人とレーティア=アドルフのどっちが嫌いなの?」
「あいつよ」
返答は眉を顰めさせたうえでだった。
「軽薄そうだし何か嫌なものを感じるから」
「だよね、まだレーティア=アドルフの方がよかったわよね」
「悪い娘だったけれど皆のことを考えてたから」
だからだったのだ。
「あいつよりはずっとましだから」
「そうよね」
「そう、あんな奴大嫌いよ」
カテーリンは感情を見せて怒る。
「どうにかならないの?」
「そのレーティア=アドルフですが」
またゾルゲが報告する。
「死亡が確認できないままです」
「死体は焼かれたか爆破されたんだよね」
ロシアがそのゾルゲに問うた。
「そうだよね」
「はい、何度も調べましたが」
それでもだというのだ。
「死体は欠片も見付かりません」
「あの宣伝相さんも」
「グレシア=ゲッペルスもです」
レーティアの第一の側近だった彼女もだというのだ。
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