| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

北京ラプソディー 

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「怖いだろ」
「まあなあ、それはな」
 王もこのことは否定出来なかった、腕を組んでこう李に返した。
「実際にな」
「御前も付き合ったことあるだろ、誰かと」
「まあな、高校時代にな」
「怖かっただろ」
「滅茶苦茶な、怒るとな」
 しかもだった、その怒る頻度が。
「些細なことで怒ってな」
「ほらな、そうだろ」
「だからだよ、俺はリアルの女はいいだろ」
 李は眉を顰めさせて王に言い切った。
「俺だって前に付き合っていた彼女が凄かったんだよ」
「アニメのヒロインみたいな娘はいないか」
「いないよ、アニメはアニメだよ」
 そして現実は現実だというのだ。
「だから今はな」
「懲りたって感じだな」
「実際に懲りたよ」
「それじゃあ結婚とかはどうするんだよ」
「これからどう考えが変わるかわからないけれどな」 
 しかし今の考えはというのだ。
「興味ないな」
「どうでもいいか」
「ああ、趣味に生きるさ」
 これが李の返答だった、そうしてマクドナルドでアメリカのファーストフードを食べていた、王もそうしていた。
 二人は注文したものを全て腹の中に入れると店を出た、それからだった。
 王は李にだ、こう言った。
「次何処行く?」
「次か」
「ああ、まだ夕方にもなってないからな」
 日は高かった、まだまだ。
「時間はたっぷりあるぜ」
「家に帰ってもな」
 そうしてもだと、李は王の言葉を受けて言う。
「やることってな」
「アニメ観るかゲームするかだろ」
「それ位だからな」
「そうした遊びしかないからな、じゃあな」
「何処かで遊ぶか?」
「カラオケ行くか?」
 王はこう李に提案した。
「今からな」
「カラオケか」
「ああ、カラオケな」
 それに行こうかというのだ。
「そうしないか?」
「そうだな、行くか」
「そこで遊ぼうな」
 こうしてだった、二人はマクドナルドの次はカラオケに行った、二人の行きつけのカラオケボックスである。
 二人は店に入ると小さな部屋に案内された、部屋の中は薄暗く少し汚い感じがした、だが二人はそれに構わずに。
 マイクを持って曲を選びだした、そして選ぶ曲は。
「どうだよ、AKBとかな」
「それ歌うか?」
「それか中国のアイドルの曲にするか」
 李は辞書の様な曲の番号が書かれた本を開きながら王に言う、席に座ってジュースを飲みながらの言葉だった。
「そうするか」
「そうだな、それがいいな」
「あっ、面白い歌があったぜ」
 李は本のページをめくりながら王にこうも言った。
「丁度な」
「何だよ、面白い歌って」
「ああ、共産党の歌だよ」
 笑っての言葉だ。
「軍歌とかな。歌うか?」
「おいおい、いい加減言い過ぎるとしょっぴかれるぜ」
 王も笑って李に返す、彼はマイクとリモコンを手にしている。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧