北京ラプソディー
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第二章
「怖いだろ」
「まあなあ、それはな」
王もこのことは否定出来なかった、腕を組んでこう李に返した。
「実際にな」
「御前も付き合ったことあるだろ、誰かと」
「まあな、高校時代にな」
「怖かっただろ」
「滅茶苦茶な、怒るとな」
しかもだった、その怒る頻度が。
「些細なことで怒ってな」
「ほらな、そうだろ」
「だからだよ、俺はリアルの女はいいだろ」
李は眉を顰めさせて王に言い切った。
「俺だって前に付き合っていた彼女が凄かったんだよ」
「アニメのヒロインみたいな娘はいないか」
「いないよ、アニメはアニメだよ」
そして現実は現実だというのだ。
「だから今はな」
「懲りたって感じだな」
「実際に懲りたよ」
「それじゃあ結婚とかはどうするんだよ」
「これからどう考えが変わるかわからないけれどな」
しかし今の考えはというのだ。
「興味ないな」
「どうでもいいか」
「ああ、趣味に生きるさ」
これが李の返答だった、そうしてマクドナルドでアメリカのファーストフードを食べていた、王もそうしていた。
二人は注文したものを全て腹の中に入れると店を出た、それからだった。
王は李にだ、こう言った。
「次何処行く?」
「次か」
「ああ、まだ夕方にもなってないからな」
日は高かった、まだまだ。
「時間はたっぷりあるぜ」
「家に帰ってもな」
そうしてもだと、李は王の言葉を受けて言う。
「やることってな」
「アニメ観るかゲームするかだろ」
「それ位だからな」
「そうした遊びしかないからな、じゃあな」
「何処かで遊ぶか?」
「カラオケ行くか?」
王はこう李に提案した。
「今からな」
「カラオケか」
「ああ、カラオケな」
それに行こうかというのだ。
「そうしないか?」
「そうだな、行くか」
「そこで遊ぼうな」
こうしてだった、二人はマクドナルドの次はカラオケに行った、二人の行きつけのカラオケボックスである。
二人は店に入ると小さな部屋に案内された、部屋の中は薄暗く少し汚い感じがした、だが二人はそれに構わずに。
マイクを持って曲を選びだした、そして選ぶ曲は。
「どうだよ、AKBとかな」
「それ歌うか?」
「それか中国のアイドルの曲にするか」
李は辞書の様な曲の番号が書かれた本を開きながら王に言う、席に座ってジュースを飲みながらの言葉だった。
「そうするか」
「そうだな、それがいいな」
「あっ、面白い歌があったぜ」
李は本のページをめくりながら王にこうも言った。
「丁度な」
「何だよ、面白い歌って」
「ああ、共産党の歌だよ」
笑っての言葉だ。
「軍歌とかな。歌うか?」
「おいおい、いい加減言い過ぎるとしょっぴかれるぜ」
王も笑って李に返す、彼はマイクとリモコンを手にしている。
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