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保安官

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第四章

 村人達は瞬時に悟り驚いた、何故なら。
「まさかオコーネルさんが眉間のビルか?」
「そうだったっていうのか?」
「まさか、そんな」
「あの人が」
「ここで会ったが百年目だぜ」
 ならず者達は怒った目でオコーネルを見たままだ。
「ジミーの仇だ、それならな」
「ここで仇を取ってやる」
「こっちは五人だ、それならな」
「絶対に負けねえからな」
 彼等は五人に銃を向けようとする、だが。
 オコーネルはその彼等にこう言ったのだった。
「コインを投げろ」
「へっ、それが落ちた瞬間にか」
「手前が銃を抜くっていうんだな」
「御前も西部の男だ、それならいいな」 
 ならず者達を強い目で見つつ言う。
「コインが落ちた瞬間にだ」
「ああ、お互いに撃ってだな」
「決めるんだな」
「そうする、狙いは俺だな」
「ああ、そうさ」
「手前だけだよ」
「じゃあその娘は離せ」
 娘はだというのだ。
「いいな」
「へっ、どっちみち女なんか今はどうでもいいからな」
 リーダー格の男は口の左端を歪めて応えた、そして。
 娘は解放した、そうしてだった。 
 五人のうちの一人がコインを出して来た、そのうえでオコーネルに言う。
「おい、手前は抜かねえのかよ」
「これが俺の流儀だからな」
 コインが落ちるまでは銃を抜かないというのだ、それが彼の流儀だというのだ。
「だからな」
「俺達はもう抜いてるんだがな」
「俺は流儀は変えない」
 こう強い声で言う。
「絶対にな」
「そう言うのかよ」
「それが眉間のビルのやり方だからな」
 自分から名乗った、そしてだった。
 コインが投げられた、五人はもう銃を抜いてオコーネルを狙っている。
 それに対してオコーネルは銃を抜いてさえいない、ホルスターにあるだけだ。
 コインは回転しながら地面に落ちた、その瞬間に。
 オコーネルは銃を抜いた、そしてだった。
 一瞬のうちに五発放った、五人は既にオコーネルに狙いを定めていてトリガーに指をやっていたがその指が動くより早く。
 銃を抜きそして撃った、それも五発。
 その五発の銃弾は恐ろしいまでに的確に五人の額を撃った、そうして。
 五人は一言もなく倒れた、勝負は一瞬だった。
 その一瞬の勝負を見届けてからだ、村人達はしんと静まり返った状況から顔を見合わせて話をした。
「まさかな」
「ああ、そうだよな」
「オコーネルさんが眉間のビルだなんて」
「そんなことが」
「隠したかったんだよ」
 眉間のビル、オコーネルは銃をホルスターに戻してから残念そうな顔で答えた。まだ拳銃から放たれた煙が漂っている。
「もうね」
「どうしてですか?それは」
「何故隠したかったんですか」
「もう荒い時代が終わろうとしてるからさ」
 だからだというのだ。
「時代がですか」
「もうガンマンとか騎兵隊の時代じゃないんだ」
 それは確かに終わろうとしていた、実際にならず者達ももう珍しくなってきている。
「だから俺もな」
「眉間のビルであることを隠してですか」
「そうして」
「そうだよ、オコーネルとして生きようと思ったんだけれどな」
 それがだというのだ。
「全く、昔の因縁が来るなんてさ」
「その弟分を殺された連中ですか」
「色々やって来たって言ったけれどな」
 それがだというのだ。
「今になってこんな形で戻って来るなんてな」
 こう忌々しげに言うのだった。 
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