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ヘタリア大帝国

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TURN86 宇宙台風その十一

「長期戦ではなく」
「講和ですね」
「そもそもアステカを滅ぼすつもりはないのですから」
 枢軸側にはその意志はない。
「講和してそうしてですな」
「メキシコさんとキューバさんは独立されたい様ですが」
 日本はこの辺りの事情も話した。
「チリさんとペルーさんはアステカに残られたい様です」
「中米と南米で分かれますな」
「元々メキシコさんはマヤの系列だったらしくキューバさんもまた別だったそうです」
 同じ中南米でもアステカではなかったというのだ。
「それでアステカにいてもいいがと仰って」
「それで、ですな」
「はい、メキシコさんとキューバさんは独立されて」
 そしてだった。
「後の領土は保全ということで」
「講和ですな」
「この条件ならアステカ側もいいと思うのですが」
 日本は眉をやや曇らせて述べた。
「如何でしょうか」
「私もそれでいいと思います」
 伊藤もこう日本に答える。
「アステカ側も飲める話ですな」
「そう思うのですが」
 だが、だった。日本はここで難しい顔になりそのうえで伊藤に述べた。
「ですがそれが」
「向こうは聞きませんか」
「最後まで戦って楽しむと」
 ケツアル=ハニーが言っているというのだ。
「ですから」
「ううむ、そうした考えですと」
「結局最後までいくしかありませんね」
「残念なことですが」
 伊藤も日本の話を聞いて項垂れる感じになった。
「そうなりますな」
「はい、アマゾンまで侵攻するしかない様です」
「では今度は」
「アルゼンチンです」
 次の攻略対象はそこだった。
「そしてそこからブラジル、アマゾンです」
「私としては早期講和を願いますが」
 帝も憂いの顔を見せて述べる。
「そうはいかないですね」
「はい」
 日本は帝にも浮かない感じの顔で返す。
「そうなります」
「わかりました。ではアステカとも最後まで戦うしかありませんね」
「引き続き攻撃を続けます」
「アルゼンチンには今うぽぽ菌が出ているとか」
 伊藤がこの宇宙細菌の名前を出した。
「祖国殿も注意して下さい」
「あの細菌ですね」
「あれもイナゴや台風と同じく厄介な存在です」
 人類を悩ませる災厄の一つだ、銀河の時代になろうとも人類は大怪獣や災害から解放されてはいないのだ。
 それで伊藤もここで日本に話したのである。
「彼等にも注意を」
「わかりました」
 こうしてだった。海軍と陸軍の対立の問題を融和の方向に向けた日本は今度はアルゼンチンに向かうことになった、アステカとの戦いも続いていた。


TURN86   完


                           2013・2・7 
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