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ヘタリア大帝国

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TURN86 宇宙台風その四

「連合国も。長引くと」
「向こうも馬鹿じゃない、戦力を立て直してきている」
「ですからアステカとの戦いは早期に終わらせなければなりません」
「ならここはだ」
「はい、多少の無理強いは覚悟しましょう」
 秋山も彼の好むところではないが力押しを検討しだした、だがここで。
 山下がモニターに出て来た、そのうえで東郷に言ってきたのだ。
「ここは任せてくれるか」
「何か策があるのですか?」
「あるから言うのだ」
 こう秋山にも返す。
「既に惑星には降下出来る距離にあるな」
「チリ星域の主要惑星であるチリには」
「この星域はその星さえ陥落させられれば済む」
 山下は言い切る。
「他の星は人口も設備も希薄だからな」
「長官、まさか」
「ここは惑星を一気に陥落させる」
 これが秋山の今の作戦だった。
「任せてくれ」
「しかし制宙権を完全に確保していません、それでは」
「危険は承知のうえだ、ここで動かなければアステカとの戦い全体に影響が出る」
 だからだというのだ。
「今回だけは任せてくれるか」
「賭けですね」
「賭けだがやってみせる」
 山下も意地を見せる、普段は攻撃的だが慎重さも併せ持つ彼女らしくない言葉だった。
 だがそれでも今は言うのだった。
「それにだ」
「私も行きます」
「私もです」
 日本と妹もモニターに出た、既に陸軍の軍服に着替えている。
「これからは陸戦にも参加させて頂くことにしましたが」
「今回はです」
 特にだというのだ。
「攻勢に出るべきです」
「賭けであろうとも」
「だから任せてくれるか」
 また東郷と秋山に言う山下だった。
「ここは」
「しかしそれは」
「いや、それならだ」
 秋山が躊躇を見せているとだった。
 東郷が出て来てそのうえで言った、その言葉はというと。
「海軍も一気に攻めよう」
「長官、一体」
「最初からここは攻めるつもりだった」
 見れば宇宙怪獣の残存戦力と合わせてまだこちらの三倍はいるアステカ軍にだ。
「それならだ」
「予定通り一気に攻めてですか」
「そうして制宙権を確保する」
 こう日本に話す。
「惑星チリ周辺のな」
「そしてすぐにですね」
「そうだ、利古里ちゃん達には降下してもらってだ」
 そしてだというのだ。
「チリを確保してもらう」
「即座にですね」
「一気に攻めて一気に終わらせる」
 これが東郷も今回の作戦だった。
「それでいこう」
「確かに。このまま攻勢に出るよりもダメージは少なそうですね」
「躊躇するより果敢に攻めた方がいい」
 つまり果断であれ、というのだ。
「そうしよう」
「それでは」
「じゃあ祖国さんも妹さんもそれでいいな」
 東郷は日本兄妹にも問うた。
「一気に戦いを終わらせる」
「はい、それでお願いします」
「私もです」
 日本兄妹は東郷に対して即座に答えた。 
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