少年は魔人になるようです
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第71話 勇者王が戦い少年少女は青春のようです
Side 愁磨
「シュウ、出るなら今しかないわよ!」
「了ぉぉ解!待ってたぜ!!」
画面、刹那用の真の機体"斬月"がネギ達を拾って"アンサラー"へ突撃して行くところだった。
グレンラガンが残っているなら今のネギ&明日菜0.001%程度可能性があったが、何を思ったのか乗り捨てて
行きやがった。ラガンが拗ねたらどうするんだ。
「赤いたてがみ~、金の~腕~っと。」
ガショッ!と例の手甲を装着する。同時に、心臓部たる"ギャレオン"の目が光り、吠える。
正式には"ジェネシック・ギャレオン"だが。そしてそれに呼応し、階下のブロウクン・プロテクト・スパイラル・
ストレイト・ジェットガオーもエンジンを始動。学園地下を走るそれぞれの射出口へ移って行った。
画面では既に、刹那が"ブレイズルミナス"を破壊する準備に入った。
「ノワール!もみじ!エヴァ!準備はいいか!?」
「………これ、私がやらなきゃダメなのかしら?」
「えー、いいじゃん!楽しそうじゃん!」
「全っ然楽しそうに思えないんじゃがな!?」
台本片手に、ノワールは不満気、もみじはノリノリ、アリカは憤慨している。
うむ。もみじを選んだのだけは正解だったな。
しかしやらねばならない。なぜならこれは漢の物語を受け継いだものなのだから!!
「意見は全て却下!愁磨、ギャレオン!出るぞ!!」
「まっかせて~!行ってらっしゃい!」
力強いもみじ指令の言葉と共に、"ギャレオン"の頭の上にガイナ立ちして出撃する。
そして学園中に響かんばかりの爆音で『勇者王誕生!』を流し、学園の天上を覆う映像スクリーンを出す。
司会は指示もしていないのに、いい感じに叫び続けて盛り上げてくれている。うむ、ベネ!
やはり結界の認識阻害に新たに加えた"細かい事は気にしない"と"もっと熱くなれよ!"は正解だった。
ならば、決戦場へ来た俺が言うべき言葉はただ一つ。
「フハハハハハ!待たせたな諸君!!」
『来た!来た来た来た来た来たぁぁぁーーーー!この時を待っていたとばかりに登場しやがった!
天誅の曲その背に背負い、敵の首領な筈の織原、ここに推参んんーーー!!』
「しゅ、愁磨先生!?何してんのよ!?」
俺の登場に湧く学園、そして困惑の色を隠せないネギパーティ。いや、ネギだけは違うか。
そして―――怒り狂っているような、諦めた様な顔の超。
・・・ならば、俺は最高に盛り上がる形でこの学園祭を締めるとしよう。
「フュゥゥゥゥゥゥゥジョン!!」
俺が飛び上がり、"ギャレオン"はそれを口を開いて受け止める。それにより変形シークエンスが発動。
腰が反転、足先が上を向く。そして前足から手が現れ、獅子の顔が胸部分へ移動、そこから人型の顔が現れる!
「"ジェネシック・ガイガァァァァァ"!!ジェネシック・クロウ!どぉりゃああぁぁあああああああ!!」
ガッキィィィィィィィィィン!!
「馬鹿な!ジェネシック・クロウが弾かれただと!?」
前爪部分を展開、概念反転の魔法障壁へ殴りかかるが、当然『攻撃』が反転、クロウが弾き返される。
と言うかもみじ。台本にないのにいい感じの叫びをしてくれる。後で何か買ってやろう。
「ならばッ!ジェネシックゥ!オォォォーーーーラァ!!」
ドウゥン!
「ジェネシックオーラでもダメか……!ならば博士ぇっ!!」
ガイガーの口からエネルギー波が放たれ、再度反転されてしまう。しかし、ここまでは展開としては台本通り。
「し、しかし……ファイナルの成功率は限りなくゼロに近いんじゃ、じゃがのう?」
「(まだまだ恥ずかしがってるなぁ・・・。)」
「成功率なんてのは単なる目安だ!!あとは勇気で補えばいい!!」
恥ずかしがったアリカ博士の言葉に、もみじ指令は勇気溢れる言葉で答える。
そう、ここで欲しいのは愛・勇気・希望なのだ!!
「博士、忘れたか!?最後に勝利する者は……勇気ある者だ!!」
「良く言った、愁磨ぁ!ファイナルフュージョン、承認!!」
「了解!ファイナルフュージョン!!プログラム……ドラァァァイブ!!
バキャッ!
シュウ、いきなさい!!」
ファイナル承認ボタンを保護していた哀れなプラスチック板は、ノワールの拳で叩き割れる。
そして現れた先程の5体の機体。現れたと同時に、流れていた曲がサビに入る。
フハハハハハ!計画通り!パーペキだ!!
「よっしゃぁ!!ファイナル・フュゥゥッーーーーージョン!!!」
ガイガーの腰が回転し緑色の煙の様な物が噴射され、それは竜巻の様になりガイガーを保護する。
そして、それを突き抜けガイガーの周りを飛ぶジェネシック・マシン。
ガイガーが変形し、スパイラル・ストレイトガオーがそれぞれ左右の足に合体する。
次に肩から腕が背中へと回り、ブロウクン・プロテクトガオ-が腕となる。
更ににガジェットガオーがその両肩を足で掴み、翼の下についていたブースターが外れ、先程の腕の先に付き、
中から手が迫り出してくる。そしてガイガーの黄金の鬣の周りに赤い鬣が追加され、ガジェットガオーより
兜が射出・装着され、頭にも炎の様な鬣が燃え盛る!!
「ガオ!!ガイ!!!ガァァァアアアア!!!」
『それは、究極の破壊神!それは、勇気の究極なる姿!我々が辿り着いた大いなる遺産、その名は!!』
『『『ジェネシック!ガオ・ガイ・ガー!!!』』』
そして、熱く滾った学園の心が一つになる!ノッて来たぁ!!
「もみじ!次だぁ!!」
「よぉし!ゴルディーマーグは!?」
「既に上空へ射出済みです!!」
「よくやったぁ!ゴルディオンハンマー、発動承認!!」
「ゴルディオンハンマー!!セーフティ…デバイス……リリーヴ!!」
シャッ キンコン♪
ゴルディオンハンマーが承認されたと同時、"アンサラー"よりも上空にいた基地より射出されていた
ゴルディーマーグがハンマー部分と腕部分に分裂、轟音と共に降って来る。それに向け腕を高々と掲げ、叫ぶ!!
「ハンマァァ!コネクトォ!!」
ズガァン!
機体ほぼ一機分の巨大な腕が右腕に装着され、ガオガイガーとほぼ同等の大きさのハンマーをキャッチする。
同時に装着された腕から、巨大な釘が射出される。それを、ハンマーで殴りつける!!
「ハンマァァァァ!!ヘルッッ!!アァンド!ヘヴン!!!」
ビキビキビキ――― バギャァァアアアアアアアアアッ!!
概念反転装甲へと深々と刺さった釘をゴルディオンハンマーのツールで抜き去ると、
その巨城を守っていた最後の防御は砕け散り、まるで雪の様に周囲に降り注いだ。
しかし、これにより"アンサラー"の最終防衛プログラムが発動する。
ギュィン ギュィン ギュィン
『防御壁ノ破壊ヲ確認 コレヨリ 敵機ノ迎撃ニ移リマス!!』
―――――――――――――――――――――――――!!
最早轟音とも呼べない"アンサラー"の全砲門からの攻撃。その数、実に十万以上。だがなぁ!!
「変態が創ったオモチャが!!勇者王に敵う道理がある訳がないだろうがぁ!!
"ブロウクン・ファントォォォオオオオオム"!!」
ズドギャギャリギャリギャリギャリ!!
その弾雨を、何でも無い様にぶち抜いて行く勇者王の左腕。そのままアンサラーを貫き、各所が爆発。
弾雨が止まり、上昇すら止まる。
「これで終わりだああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
パリンッ ガゴン!
ダイオラマ球を割ると、用意した超翼射出司令艦ツクヨミ、極輝覚醒複胴艦ヒルメ、最撃多元燃導艦タケハヤが
出現、ドッキングし"アンサラー"をも遥かに超える大きさのハンマーと化す。
「クラッシャー……コネクト!!ひ・か・り・に・なれぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええ
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」
ボッドォォオオオオオオオオオオゥォァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
その太陽級の恒星すら光速で消し去る一撃を真上から受けた"アンサラー"は、立ち昇る光の中へ消えた。
「勇気の勝利だぁぁぁぁぁ!!」
『『『うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』』』
ハンマーを高々と掲げ叫ぶと、学園中が勝鬨を上げる。
着いて来れていないのはネギパーティの面々。そして、立ち上がったのは超。
「………あーあ、これデ私の計画はお仕舞いネ。あなたは全く、どうしようもない人ダネ。
何も変わらない。今も…………未来でも。」
「まぁ、俺は俺だからな。ブレない事が信条なもんで。」
言う間にも超の体から、徐々に光の粒の様な物が立ち昇り始める。
―――創造物の消失。
籠められた魔力と存在意義と、そして創造者の魂の欠片が使い果たされた時に起こる現象だ。
「私も、消えるカ………。妹達と、一緒に………。」
「そうか、お前も"中"に居るのか。」
「ああ。私を産み出す為に犠牲になっタ妹達10万飛んで531人。全員が私の中デ生きている。
尤も、先程の戦闘で全員分の魔力を使い果たし、使命も全う出来なかっタ……!」
血が滲むほど歯を食いしばり、拳を握る超。・・・未来の俺は、余程愚かだったのだろうな。
いや、こんな女の子に重荷を負わせる時点で最早俺では無い。だから、確かめる必要がある。
「あなたハ!私を、私達を戦闘用として創り出しておいて、一切戦場へは出さなかった。
そのくせ、時間遡行させ尻拭いをさせようとした挙句それさえ邪魔をスル!!
あなたは……あなたは一体何がしたいのか!?」
超は涙を浮かべ、俺を睨んでくる。
"未来の俺"の代わり・・・いや、"俺"として言葉をかける。俺にはそれしかできない。
「俺は、全てを救う。全てを再生し、破壊し、全てを創る。」
「救う……!?ならバ………なら、私を助けて!!私達を助けてよ!!」
泣き叫んだ瞬間、超の胸ポケットから光が放たれ、超の中へと入っていく。
・・・初めて、心からの言葉を言ったな。だからこそ渡した甲斐があった。
上位天使50人分の魔力と俺の魂の結晶。そして、新たな存在意義を込めたお守り。
「……すまんな、また俺は嘘をついた。」
「こ、これ、は………?力が戻っていく……!?」
消えかけていた超の体は、一瞬にして元の姿へと戻った。元の・・・と言うと語弊があるな。
先程とは比べものにならない魔力と創造の力を蓄えて蘇った。
「さて、超。俺はお前に新たな存在意義として使命を与えた。
お前は選べ。俺か、未来の俺かを。そして決めろ。着いて来るか、反逆するかを。」
「………それだけ、カ?」
「ああ、それだけだ。安心していい。選んだそれが、自動的に新しい存在意義となる。」
己の命でもある答えに、超が思案したのはほんの一瞬。
短く笑い、拳を握り、"ムスペルヘイム"の炎を纏わせ、俺を睨み、思い切り踏み込み、有らん限りの力で―――
「どぅおぉぉぉりゃぁぁぁああああああああああああああ!!!」
どごぁぶべしっ!
「ぐっぼぁぁああ!」
その一撃に、それなりに構えていた俺は呆気なくぶっ飛び、水切りの要領で
海を30m程飛び跳ね、
最後に空中を舞い海に落ちた。
・・・や、やるじゃないか。既に自分の過剰な魔力を使いこなしている。
「決まっているだろうガ!あなたに着いて行って寝首を掻いてやる!!
あなたも未来の訳分からなくなったあなたも選ぶ訳無いだろうガ!!」
「ふふふはは………俺が与えた使命を全て満たしているようで、実は全て満たしていない……。
しかし、ああ何と言う事か。お前の存在意義は、それで確定だ"超鈴音"!!」
俺が宣言した瞬間、ドウッ!と超から魔力波が溢れ出る。俺が抑える筈だった鎖を超が自ら拒んだ事による弊害。
しかし、それもまた一瞬の出来事。超にとって、自分の許容を超える魔力の制御など、今更と言うものだ。
「さらばだ、魔人殿!私はこれより、あなたを超える為の旅に出る!!
そしてさらばだネギ坊主、諸君!君達とハ再び相見える事となろウ!それまで腕を磨き、共にこ奴を
打ち倒そうぞ!!」
「ああ、達者でな。精々俺を楽しませるだけになってみせろ。」
「超さん………はい、元気で!僕も、いえ!僕は超さんよりも遥かに強くなって見せます!!」
「はははっ!良い根性だネ、ネギ坊主。先が楽しみだ!」
ゴウッ!
宙に浮いた超の周りに、再度黒炎が燃え盛る。あいつなりの転移媒体か。・・・・悪役だな。
クルリと後ろを向き、炎の中に消える―――と思いきや、振り向いて最高の笑みを一つ。
「ネギ坊主。君の宮崎のどかに対する態度、あれはイケない。
君の父を目指すにしろ、そこな魔人を目指すにしろ。女の扱い程度は身に着けないとイケないよ?」
「ブフゥッ!?ちゃ、ちゃ、超さん!?」
「あははははははは!!」
ボッ!
ネギの顔を真っ赤にして満足したのかどうか。高笑いのまま、炎と共に超は消えた。
全く、創造主に対するあの態度。今度会ったらオシオキだ。・・・・・・まぁ、今は。
「野郎共、祭りは終わりだ!これより後夜祭の準備に入る!燃やせ燃やせ、全て燃やし尽くせ!!
青春とは即ち、燃え尽きる事にある!!
」
『『『『サー、イエッサー!』』』』
「はーい、一般の方々は一旦世界樹広場の方へ集まってくださーい!」
「櫓班、正門前へ急げ!一時間で積み上げるぞ!!」
「ちょっ!早く売り上げの集計しないと順位発表あぶれるわよ!」
既に決まっていた後夜祭の役割通りに動き出す生徒達。この切り替えの良さは果たして元からの物なのか
結界効果による物なのか。今となっては俺も良く分からない。いや、前者だろうな。そうであって欲しい。
しかし、それに乗り切れていないこいつらは果たしてなんなのか。明日菜の・・・いや、アスナの影響か。
「お前らも言いたい事があるだろう……と言うか、言いたい事だらけだろう。
だが、今はそれを認めない。さぁ、教師と学生の本分を全うしたまえ。」
Side out
Side ネギ
「他の人に迷惑をかけてはいかんよ。」
呆然としていた僕達にそれだけ言うと、ヒラヒラと手を振って愁磨さんは歩いて行ってしまう。
いつも通り―――いや、多分予定通りだからこそ、こんな飄々とした態度が取れるんだろう。
僕はもう慣れてしまったから冷静に判断出来るけれど、そろそろ明日菜さんあたりが―――
「…………はぁぁぁあああぁあぁああぁああああああ!?」
「さ、流石の拙者も、これには少し……ムカつくのでござるよぉ!!」
「ワタシのやる気と覚悟を返すアルーーー!!」
「あんの意味不明教師ぃーーー!意味分からん事だけ言って行きやがったぁぁぁーー!」
ドッカーーン!と背後に火山が噴火する映像が見えるほど憤慨する四人。
他の皆さんは普通に見えるけれど、青筋を立てている。のどかさんとまき絵さんだけが困り顔だ。
だけど、職務怠慢してもいられない。何故なら、クラス展示で誰にも負ける訳にはいかないんだから・・・!!
「皆さん、急いでクラスに戻りますよ!片付けと報告は僕達が担当しているんですから!」
「え!?そ、そうね。愁磨先生の言葉に従うのは癪だけど、皆に迷惑かける訳にはいかないからね。」
「それもそうアル………か?」
「いや、そう言う事にしておかないと話が進まんでござる。拙者もクラスの方に行かないといかん故。」
「あぁぁぁああぁあああ!?探検部すっかり任せっきりだった!?部長に殺される!!」
「そ、そうでしたー。謝らないといけませんー。」
「はぁ………これぞ骨折り損のくたびれ儲けです………。」
文句を言いつつも、皆さんも自分の仕事に向かって行った。
僕も自分の仕事をするべく・・・でも、祈っている事は全く違う事だった。
………
……
…
『レッディィィスエェェエンドジェントルメン!紳士淑女老若男女、それ以外の方々もお待たせしました!
これより、麻帆良後夜祭を始めまーす!!』
ヒュゥゥゥ―――― ドォォン!
「たーまやー!」
「かーぎやー!」
「………なんですか?その掛け声。」
「江戸時代の"玉屋"と"鍵屋"という江戸の二大花火師に由来していますです。日本独特の文化だと思われますです。」
あの騒動から僅か3時間少々。あの海岸とは正反対の場所にある、とても広い芝生の広場で後夜祭が始まった。
有志による屋台がずらっと並んで、再度祭りが始まっただけな気がする。
・・・僕は何となく居づらくなって、見回ると嘘をついて(仕事の内ではあるんだけれど)そこからちょっとだけ
離れたテラスに移って、騒いでいる皆を見る。
そこからでも以前のどかさんと見た花火もビックリな花火が、目の前一杯に広がり続ける。
「はぁ…………。」
ふと、自然とため息が出てしまう。
・・・やっぱり、気になってしまう。愁磨さんの事、超さんの事。そして、明日菜さんの事。
彼らは何かしらで繋がっているように思うんだ。でも、この三人を繋げる鍵・・・鎖?がもしあるとしたら。
それは、こことは別にある魔法使い達の国、『魔法世界』だけなんだよね。
いくら変わった能力があるって言っても、明日菜さんはこっちの人だしなぁ。……それも変には思っていたんだ。
「(父さんと愁磨さんの仲間だったタカミチが、態々この麻帆良に連れて来たんだ。
しかも、過去が全く分からないと来てる。仮に、もし明日菜さんが魔法世界の住人だとしたら・・・?)」
・・・だとしたら?いや、だとしたらなんなんだ?
その特異な能力のせいで魔法世界でも疎まれていた可哀想な女の子を助けた・・・彼らなら当たり前の行動だ。
うぬぅぅぅぅぅぅぅ!!ダメだ!やっぱり、何か決定的な情報が無いと結論が出ないんだ。
「はぁ………やっぱり、行かないと駄目だよね。」
「ど、どこにいくんですかー?」
「うっひょわぁぁあああああ!?の、の、の、のどかさ―――」
急に
後ろから声をかけられ、飛び上がってしまう。
のどかさ
んの声に反応し、後ろを振り向いたら・・・
時が止まった。
「……………………………………。」
「え、あ、あのー、ネギせんせー?」
花火で照らされたのどかさんは、アサガオの模様を散りばめた水色の浴衣に、黄色の髪留めで前髪を上げており、
その可愛らしい顔が良く見える。そう、たとえるならば―――
「天使………。」
「へぅっ!?///ね、ね、ね、ネギせんせー?一体何を……!?」
「あ、や、いいえ!ただ思ったことがぽろっと口から……!」
ななな、何を言ってるんだ僕は!?いくら感極まった感があるとは言え、愁磨さんみたいな事を!
ハッ!で、でもこれって、超さんが言っていたのどかさんに対する態度を少しでも清算するチャンス!?
・・・いや、それじゃ駄目だ。そんな考えじゃ失礼だし、何より僕の感情に嘘をつく事になる気がする。
「いえ、その……か、かわいい、ですよ?」
「へ、へぅぅぅぅー………。あ、あ、ありがとうございますー///」
暗がりでも分かるくらい、のどかさんの顔は真っ赤だ。多分、僕も似たような事になってるとは思うけれど。
ガッチガチになっているのどかさんに、取り敢えずと手摺の傍へ誘う。
おずおずと僕の隣・・・肩が触れそうなと言うか若干触れてるくらい近くに来るのどかさん。
ヒュゥゥゥゥゥゥ―――― ドォォォン!!
「き、きれいですね。」
「そ、そうですねー。」
その後、花火が終わるまで一緒に見続け、全く同じ会話をし続けた僕達だった。
いや、僕はのどかさんをチラチラ盗み見みてたせいで、花火なんて見ていなかったけれど。
・・・愁磨さんだったら、『君の方が綺麗だだよ』とか歯が銀河の果てまで浮きそうな台詞言えるんだろうなぁ。
Side out
Side ―――
「いやぁ、青春ですなぁ。」
「そうねぇ、青春ねぇ~。」
「ああ、青春じゃのう~。」
「・・・・・・はれんち。」
「良いから仕事せんかぁーーーーー!!」
テラスにいたネギとのどかを盗み見ていた愁磨・ノワール・アリカ・アリアが両手に食べ物を握りしめつつ
祭り満喫と言った姿で口々に好きな事を言い、暴れる生徒を殲滅するエヴァの叫びが花火と共に夜空に散った。
Side out
後書き
更新終了。次回よりは前の更新スピードに戻します
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