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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第69話 少女は闇を解き放つようです

Side 超

「もう、此処までダネ……。アリア殿にも下がって貰え。"アンサラー"起動準備開始。

私は"ムスペルヘイム"で出る。」

「ya.my master.」


もみじ殿の乗った機体・・・"デビルガンダム"が破壊されタのを確認し、最下層へと向かう。

魔人殿と契約したのはここマで。残りが一機となった時点で退却。

後は私の好きニしろ、とネ。故に――――ゲームはここでおしまいダ。


「………聞こえるかナ?我らに刃向う愚かな人間共ヨ。」


アリア殿が下がったのを確認し、"ムスペルヘイム"に乗り込む。

そして、頭に付いた通信機を引き出し外へと最後通牒を告げる。


「最早我々に残された戦力は四機のみとなっタ………。故に、もう容赦はしなイ。

君たちには、あらゆる『希望』と言うモノを捨てて頂こう。"アンサラー"……起動。』


遠隔操作された"アンサラー"は自分を覆っていた鎧をレーザーで真っ二つにし、傘を広げるように展開する。

そして上部より顔の様なセンサーが迫上がり、そこにあった城を崩す。

出来上がったそれは、衛星兵器。本来、衛星軌道上より地上を焼き払う為の巨大兵器なのダ。


「これより"アンサラー"は再浮上、大気圏を超え第二次加速へと移行する。

そして、主砲『魔剣(フラガラッハ)』により地上を破壊させて頂ク。だが、まずは羽虫を落とさせテ貰おう。」


無粋にも、飛行機や戦闘機などデ此処へ近づいて来る者達がいる。

黙ってイても通常兵器など、近づいて来ればコジマ粒子とやらで汚染・減衰され勝手に落ちるのだガ。

それでは・・・示威としてあまりに脆弱ネ。


「レーザーキャノン及びVLSスタンバイ。……放て!!」


そのコジマ粒子を撃ち出す5000mm口径レーザーキャノンと垂直ミサイルを雨霰と降らセる。

所詮は一般人。コレで手始めとしてハ十二分だろう―――


ドゥゥゥ!  ドウドゥン!!
『飛行部隊の皆さん、下がってください!危険です!!』

「来たカ……ネギ坊主。」


飛行部隊を落とせル所で、ネギ坊主とアスナ、千雨・本屋によって迎撃されテしまウ。

そうだ。せめて君達くらい、抵抗してくれなけレば困る。見っとも無ク足掻き、そして焼け死ぬガいい。

でないと、私達の怒りは収まらなイ・・・!!


「やぁ……待っていたヨ、ネギ坊主。それと、愉快ナ仲間たち。」

『超さん……!!既に頼みの綱の機械兵は全て倒しました。後はその城だけです!』

『投降するなら今のウチよ!どうすんの!?』


・・・ヤレヤレ、今更投降を許すなんテ。そんな事出来る筈も無いし、する訳もない。

私はネ・・・・・・!!


「貴様らを殺すためにここにいル……!!世迷言など言えヌようにしてやるネ!!」


さぁ、お披露目ダ。

Side out


Side 近衛門

ドガァァァァァンン!!
「ぬぐぅぅぅ!若造がぁ……たぁいした攻撃をしよる。腑抜けた地獄の連中よぉり余程やりがいがあるわぁ!」

「フォッフォッフォ、褒めてくれるのはうれしいがのぅ。老体に堪えるんじゃ。

そろそろ倒れるか帰るかしてくれんかのう?」

「笑ぉぉぉぉぉ止ぃ!!どぅおぉちらかが死ぬまで戦るのが武士(もののふ)ぞ!!」


暫く魔王信長と戦い、一撃の信長に対し柔と速度で対応し何とかここまで保っとったが如何せん重すぎる。

あちらの方が相当年寄りとは言え、所詮は人間と魔王。体力も魔力も回復速度も桁が違うのじゃ。

・・・・仕方ない。僅かでも情報を与えたくは無かったのじゃが。


「仕方ないのう……。では、いい加減本気を出すかの。」

「フ、フハ……!フゥハハハハハハハハハハ!!我を相手にまぁだ本気を出さんでやっているとは!!

よぉかろう!儂も本気を出してやろうぞ!!」


儂が気を爆発させると、信長も狂()を跳ね上げる。

やれやれ、これでは奥義の二つ・・・いや、三つも出さんと倒せんじゃろうなぁ。

全く、人が死ぬ思いで会得した技を湯水の如く使わんと勝てんとは。


「ままならんのう………。」

「よぉぉそ見をするとは不遜なりぃ!死天に花咲き撚れ『六王魔天元殺』!!」
ズッジャァァアアゥ!!


空を仰ぎ見た瞬間、魔王の天を覆わんばかりの黒い剣波が儂目掛けて振り下ろされる。

困ったもんじゃ。これが落ちたら周囲にどれだけ被害が出るか分かったもんじゃないわい。

しょっぱなからこの技を出す羽目になるとはのう!!


「郷紅が奥義……『天津甕星(あまつみかぼし)』!!」
ガドゥン!!
「ぬぐぅぅぅ!?」


天に向け、細いビーム状の気を天の星が如く撃ち出す。更にそれを回転させ、切り刻む。

細かな爆発が上空で起こり魔王の姿が見えんくなるが・・・この技には関係ないぞい!


「銀龍が奥義!右に龍樹菩薩、左に地蔵菩薩!!合わさり撚れ……『阿弥陀如来(あみだにょらい)』!!」
ドグ ドグゥッ!!
「ガ……ッ!?グファ……!!フゥハハハハハハハハハハハハハハハハッハハ!!愉快!愉快ぞ!!

魔王でもなく、魔人でもなく!よくもこの地平へ立てたモノだ、ニンゲン!!」


弐匹の龍神を顕現させ魔王の両手に喰らいつかせ、更に両足を絡めとらせる。

さて、折角お褒め頂いたのじゃから・・・参番目くらいの技で仕留めるかの。


「これで仕舞いじゃ、第六天魔王。地獄で愁磨殿でも待つが良い。」

「フハハハハ!残念だぁがぁ、その前に二人ほど待たんと如何のでなぁ!!」


気を練っとると、徐々に龍に罅が入って行く。愁磨殿の前に二人・・・のう。

気になる所じゃが、今は地獄におかえり頂くのが先じゃ。


「顕現せよ、『修羅の息吹』………我が阿修羅を持って呼応せよ護法善神八部衆!!

天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅伽!!」
ドンドンドン ドン ドン ドン ドン ドン!!!
「ゴガァアアアアアアァアァァアアァ!!ヌゥハハハハハハハハ!!

じぃかんをかけ過ぎじゃ愚か者めぇがぁ!!」


奥義を叩き込むための八連撃を入れとる間に、龍神が魔王に切り裂かれてしまう。

じゃが、八撃全て入れられたからには避けられん!!


「八天顕現、『八俣遠呂智(ヤマタノオロチ)』!!!」

「天下布滅の焦土たり!滅せる由縁を敷くのみぞ!!『慟哭スル破滅ノ焦土(覇天)』!!」


釈迦如来の御手から放たれた八首の蛇が、魔王が召喚した黒い火柱を次々食い破り近づいて行く。

が、同時に魔王の羽織が首を断つ。

しかしそれは徐々に均衡を失い、ついに魔王を頭から喰らった。


「……存外、呆気ないのう。さて、海岸が五月蠅くなっとるし、そろそろ――――
トスッ
ぬぅ……!?」


軽い音をたて、背後から日本刀が儂の腹へ突き刺さる。

抜かったわ・・・!奥義使用直後は完全に無防備になると言うに・・・戦場だと言うのを忘れとった。


ブンッ!
「ずぇりゃぁ!!」

「おっと。存外しぶといのだね、人間も。あぁ、そう言えばそうだったね。」


背後のそれに裏拳を撃つが、軽やかに避けられてしまう。

飄々とした態度を崩さないそ奴は、妙に派手な鎧を着た武士じゃった。・・・じゃが、魔の気配を感じん。

覇気も狂喜も持ち合わせん手練れの悪魔が居るとは思わなんだ。


「さて……連戦で済まないね。信長公の仇……と言う訳も無いが。」

「やれやれ…………勘弁して欲しいのう!!」


まだ暫く、加勢には行けそうにないのう。すまん、ネギ君。そちらは頼んだぞい!

Side out


Side ネギ


ゴォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!
「「きゃああああああああ!!」」

「ハルナ!くーちゃん!こんのぉ!!」

『やれやれ………学習しないのは相変わらずネ。』


超さんの黒赤の機体"ムスペルヘイム"の黒炎でハルナさんと古さん、朝倉さんが吹き飛ばされる。

地獄の炎の名がついているだけあって、異常に強力な炎の前に僕達は8対1でも苦戦を強いられていた。

グレンラガンのドリルでも貫くのに苦労する上、機体に纏わりつくせいで迂闊に助けも出来ない。


「魔力で編まれている訳でも無いし、普通の炎でもない……!!

かと言ってもみじさんと同じ地獄の炎でもない……なんなんだこれは!?」

『さて……ネ?そんな事より、とっとと燃えてくれないカ。』


冷たい言葉と共に、また黒炎が僕達を飲み込もうと目の前に広がる。

そして僕達も散開して避けるけれど、意思でも持っているかの様に炎が追って来る。

燃え残っている炎ですら超さんの自由になるらしく、徐々に皆の機体が削られていく。


「遠距離も近距離も、持久戦も速攻も一撃必殺もダメとか、打つ手あんの!?」

「ぶっちゃけありません!遠距離から隙を伺いつつ釘付けにしてください!」

「さっきからそれやってジリ貧じゃねぇか!つっても特攻したらやられるだけだし……!

イベントボス並の奴とコンティニュー無しで戦闘とか無理ゲーすぎんだろ!!」


千雨さんが輻射波動を刃にして飛ばしつつ叫ぶ。良く分からないけれど、どうしようもないって事は分かる。

せめてあと二機、一点突破と防御力のある出来る機体か技があれば行けるのに・・・!


「やぁぁぁっと帰ってこれたぁ!!」
ザンッ ザンッ!
「まき絵!……いきなり来て苦労してた炎ぶった切るとかやるわね。」

「何でもいいアルよ!そろそろ手が燃え尽きるアルよ!!」


颯爽登場したまき絵さんが何でも無い様に炎を切り裂いた。変わらず炎は追って来るけれど、これで一点突破の

目途は立った。肝心の囮役は・・・・よし!


「皆さん、行きます!僕の合図に合わせてください!!」

「待ってたよ!チャンスは一回ってやつだね!?」

「分かってんじゃない!つーかそうじゃなきゃ面白くないでしょうが!!」

「……明日菜殿、それ愁磨先生ッぽいでゴザルよ。」

「うぐっ……き、気にすんじゃないわよ!!」

『……………さて、作戦会議は終わっタかな?』


僕達が話しているのを律儀に待っていた超さんが、今まで以上の炎を吹きあげさせる。

最早海すら燃え、その姿はまるで黒い太陽だ。そして、それを破る為の最後の技がこれだ!!


「明日菜さん!」

「ほ、ホントにやんの!?もう、仕方ないわねぇ!!」


グレンが頭を掴み、そして――――


ズボッ!
「実は結構やってみたかったのよねぇ!!」

「お、お手柔らかに―――」


ラガンを引き抜く。そしてそのまま鉞投法もかくやと言うフォームで!


「ひっさぁぁああぁあああつ!!私の魂完全燃焼!!キャノンボールアタァァァァァァアックぅ!!」
ドゥッ!!
「お願いしまぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!!」


投げた!!

これこそ最高の捨て身攻撃、『ラガンインパクト』。突破力も申し分無く、更に上手く行けば能力も使える。


『最後は捨て身カ。まぁ、手っ取り早くて良いがネ。』


悪魔の様な手が高々と掲げられ、そこへ黒炎が渦を巻いて集められていく。

その姿は、まるでギガドリルブレイクでも撃つかのような―――


『必殺。『貫けり天壌焦す大螺旋(グロゥブ・ギァルドラルブランケ・シュヴァルツフランメ)』!!』
ドッガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
「ぐぅぅぅぅううう!?」
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!


まるで、じゃない。さっきまで戦っていた機体達程もあるギガドリルが黒炎で形成され、ラガンのギガドリルと

ぶつかり合う。この尋常じゃない威力・・・!!でも、全てをこっちに回してる今なら!!


「のどかさん、夕映さん、楓さん、ハルナさん!上方から全力斉射!!」

「りょ、了解しましたです!!」

「螺旋の中心は空洞と言うのが相場は決まってるけどさ!!」


四機のフルバーストがギガドリルの上方、通常なら機体があるその場所へ叩き込まれる。

だけど、そんな隙がある筈も無い。見るまでも無く、機体はこの炎の螺旋の中だ。


「ネギ坊主!!風穴開けたでござるよ!!」

「古菲さん、朝倉さん、千雨さん!風穴を広げてください!!」

「まっかせるネ!!『ゴォォッド・フィンガアアアアアアアアアアア』!!」

「このあたしが引き立て役たぁな!!」

「んなこと言ってる場合じゃないでしょう、っがぁ!!」


古菲さんが光る手で風穴を掴み広げ、千雨さんと朝倉さんが広げた穴を押し留める。これで!!


「まき絵さん!!」

「自爆とっこぉ!アサルトアーマーぁぁぁぁぁあああ!!」
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
「皆さん、右方の穴へ向けて全力射撃!!明日菜さん!!」

「あいよ!」


風穴から内部へ突撃したまき絵さんの防御膜を消し飛ばして撃つ爆発で、ギガドリルに綻びが出来る。

そこへ攻撃できる全員の射撃を叩き込んだその瞬間、再びグレンラガンに合体し、必殺の体勢に入る。


「今度こそ、これで!!ひっさあああああああああああっつぅ!!」
ゾッ  ザザザザザゥッ!!
『く……!?ムスペルヘイムの全力の炎をこうも簡単に……!!』

「終わりです!!ギガァ!ドリルゥゥゥウウ!!」

「「ブレェェェェェエエエエイイイィィイイィィィイイイイイクゥゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」」
ドッ!


ギガドリルに貫かれたムスペルヘイムは上半身と下半身に分かたれ、爆発する事無く海に落ちた。

そして、海面から僅かに顔を覗かせているコックピットから超さんがゆっくりと出て来た。

その恰好は・・・ムスペルヘイムによく似た、しかし更に黒い本物の悪魔の様な禍々しい鎧だった。


「………まさか、この姿を晒す事になるとはネ。いや、期待していたのカ?この私が。」

「超さん。命が惜しいのなら、今すぐあの城を破壊して投降してください。」

「フ……大人しく投降するとデも?」

「いい加減にしなさいよ!この状況で勝てるとでも思ってんの!?」


九機の自分よりも何倍も大きなロボットがそれぞれ狙っていると言うのに、それでも超さんは余裕の態度を

崩さない。・・・この人達の、余裕の根源はなんなんだ?

実力も、経験も、自信もあるんだろう。でも、それだけじゃない気がする。


「まぁ、これで終わり……かナ。」
スッ
「超……分かってくれたアルか!!」


超さんが、"まいった"でもするかのように両手を上げる。

古菲さんが構えを解いたのを皮切りに、僕達と楓さん・千雨さん以外も構えを解いてしまう。


「皆さん!油断しては―――」

「『創造』『顕現』呼び出されるは魔人の初撃。彼の者が創り出せし騎士王の聖剣。

その蔵は有限にして無限。時の檻を破り今こそ来たれ。」


僕の叫びを掻き消すように、超さんが詠唱を始める。

そして、上げられた手へ黒い魔力がどこからともなく集まり、形を成していく。


「『――Briah』:転輪する勝利の剣!」
ズァァアアアアアア!!
「……!?皆さん、固まってください!!!」


形を成したそれは、前に愁磨さんから聞いた円卓騎士の『ガウェイン』の聖剣とよく似た剣。

だけど、神々しいまでに煌く筈のそれは黒と紫に染まり、見る影もない。

そのまま掲げられたその剣は、一瞬にして周囲を黒く染め上げ夜を作り上げ―――闇を解き放つ。


「『転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)』!!!」


Side out 
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