私立アインクラッド学園
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第二部 文化祭
第24話 襲撃
前書き
カッコいいキリト君が書きたかった(0^∀^0)
そして話数の桁が増えてきた…。算用数字に変えようかな……。
またバカと言われた。
口癖なのだろうか。それとも──
「俺、よっぽど嫌われてんのかな……」
校舎裏を歩きながら、溜め息混じりに言う。
家庭科の時に食べたアスナの料理はすごく旨かった。ユイがいるということで何度か食べたことがあるが、あの時は格別だった。
「……食べ方がな、うん」
健全な男子高校生なら、美少女同級生にあんなことされたら喜ぶものだ。
──別に、アスナにされたからじゃない。きっと、ただクラスメートに不意打ちを喰らったから、少々ドキッとしてしまっただけだ。
その時、校舎の陰から人影が現れた。俺は普通に横を通ろうとしたのだが──
突然、左頬に鋭い熱感が走った。俺は頬を押さえ、咄嗟に後方へ跳んだ。
人影は、ふくよかな体型をした知らない男子生徒だった。右手には血に濡れた短剣が握られている。
襲撃者は途切れ途切れに言う。
「……お前が、明日奈さんを………」
──明日奈さん?
こいつは、例の果たし状を突きつけてきた奴だろうか。
「ぼくの明日奈さんをォォォ!!」
「──ッ!?」
奴が短剣をこちらに突きつけて突進してくる。俺は反射的に横へ避けた。
──俺はモンスター戦には慣れている。
しかし、対人戦にはほとんど慣れていやしない。その上俺は今愛剣を持っていないので、避けることしかできない。
普段ならなんてことなく逃げ切れるだろうが、人は狂うと思いがけない力を発揮するらしい、俺は躰を数ヵ所斬られてしまった。
「……剣トップの«黒の剣士»……案外、チョロいな」
«黒の剣士»というのは一応俺の通り名だ。
──もしかすると、殺されてしまうかもしれない。
相手は狂人で、なにをしでかすかわからない。俺が殺されてしまう可能性も大いに存在する。
なにかないだろうか──。
俺はふと、数日前の調理実習中にアスナから言われたことを思い出す。
──フルーツナイフ、持ち歩いてる意味あるの?
そうだ、あるではないか。ナイフを取り出し、剣のように構える。
「……来いよ」
俺が言うと、狂人は飛びかかってきた。
「……ッ!」
俺はくるりと身を翻し避けると、勢いで横を過ぎ去った奴の背中をナイフで峰打ちした。
「うわぁぁぁ!?」
奴が悲鳴を上げる。俺は強く地面を蹴ると、奴の目の前に飛び出し、不敵な笑みを浮かべてみせた。
「ひィッ!?」
喉元にナイフを突きつけてやると、奴はまた悲鳴をもらした。
「……剣士に戦いを申し込むなら、それなりの覚悟はあるんだよな」
俺の声は、自分でも驚くほどにひび割れていた。
「ひィッ、ひィィッ!」
俺はナイフを地面に放った。
──これ以上は必要ない。
きっと、もう二度とこいつが襲撃してくることはないだろう。
「……学園を通して警察呼ぶけど、いいよな」
男子生徒はこくこくと頷くと、おとなしくついてきた。
──まったく。
俺は安堵と呆れの、深い溜め息を吐いた。
*
「──キリト君ッ!」
アスナが俺に抱きついてくる。
「ごめんね、キリト君……わたしのせいで、こんなに……こんなに傷ついて……」
アスナの目尻には涙が浮かんでいた。
俺はそれを指で拭き取ると、微笑みながら言う。
「アスナはなにも悪くないよ。……それに、傷ついてるのはアスナの方だろ」
「え……?」
アスナはきょとんと首を傾げる。
「……お願いだから、泣いたりしないでくれ」
俺はアスナの頭に片手を置いた。
「アスナには、いつも笑っててほしいから」
「キリト君……」
アスナは天使のような笑みを浮かべると、俺の襟首を掴んだ。
「……心配、させないでよね」
アスナが言う。
「わたしが一生君を守るよ。君が危なくなったら、いつでも助けに行く」
その言葉は、まるで──。
「……じゃあ、俺はアスナを守るよ」
『守る』。俺はかつて、誰のことをそう誓った気がする。
絶対に守り抜くと決めたのに、呆気なく俺の前から消え去った少女。
あれは──誰だったのだろうか。
「……ありがとう、キリト君」
そう言ってアスナは微笑んだ。
後書き
里香「アスナマジ天使……?」
明日奈「え……リズ、なにか言った?」
里香「作中でキリトが言ってたわよ」
和人「そんなことは言ってないよ!」
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