私立アインクラッド学園
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第二部 文化祭
第22話 調理実習
前書き
話の進行に、スローというデバフが付加されちゃってます(
家庭科。正直あまり得意ではない教科。超一般的な実技科目だけど、魔法級に苦手だ。
そして現在、家庭科室にて絶賛家庭科受講中で、調理実習をしている。
「もう、キリト君! どうして卵焼きも作れないのよ」
アスナが横で叱責してくる。
「いや、だってさ……巻くの難し」
「あっ、ちょっと! ほら、よそ見してるからぐちゃぐちゃになっちゃったじゃない!」
アスナは俺のフライパンを覗き込むと、眉間にしわを寄せた。
「……なにこれ? スクランブルエッグ?」
「うるさいなほっといてくれ! ……卵焼きなんて、卵焼いたらそれでいいだろ」
──なんか怒られたけど、元はと言えばアスナがいきなり話しかけてきたからである。
なのによそ見しちゃいけないとは、高難度すぎる依頼だ。
「……キリト君、卵焼きっていうのはね」
──なんか語り出したので、聞き流しておく。
*
「まったく、どうして包丁もロクに使えないのよ。恥ずかしくないの? トップ剣士として」
「いやいや、包丁と剣は一緒にするなよ」
アスナは「貸して」と俺の包丁をもぎ取ると、くるりと空中で回した。
「……ちょっと見てなさい」
普段は口うるさいとことか、«閃光»って感じなとこばかり見ているので、家庭的なアスナは少し新鮮だ。
得意気に林檎の皮を剥くアスナは、なんだか普通の女子高生っぽくて可愛らしかった。
「……どう?」
いつの間にか剥き終えていたらしいアスナが訊いてくる。途中で切れたりすることなく、見事に剥けている。
「……料理でも閃光のアスナですね」
俺が言うと、アスナにジト目で見られた。
「……可憐さを褒めたつもりなんだけどな。」
俺の呟きはアスナの耳には届かなかったらしい。
「ていうか、包丁も使えないなんて正直びっくりよ。そのフルーツナイフ、持ち歩いてる意味あるの?」
俺はフルーツナイフを常時装備している(あくまで果物を食べる為)。
「……『かれんさをほめたつもりなんだけどな』」
いつの間にか家庭科室に入ってきていたユイが言う。
──って!
「ユイ、俺の呟きを拡散しないでくれ!」
「ママ、パパの言ったこと聞こえてないみたいだったから」
残念ながら、ユイの言葉はアスナに聞こえているらしい。
「あ、あのなアスナ、これは違」
「……『アスナさんがお気に入りに登録しました』」
アスナがボソッと言う。
──アスナは某国民的SNSを知ってたんだな。
「って、お気に入り登録!? いやいや、サッサと忘れてくれ!」
「嫌よ。絶対に忘れない……忘れられないもん。………結構、嬉しかったんだから」
真顔で言うアスナの頬は、少し赤かった。
「……ほら、できたよ」
アスナは出来上がった卵焼きを俺に見せ──って、え。
「……今回の調理実習は卵料理だったらなんでもいいんでしょ?」
アスナが黒板を指差して言った。どうやら本当に、卵を使うならなんでもよかったらしい。
「だから、ウエボス・ランチェロスを作ったの」
「この短時間で!?」
「ええ」
──この際、料理でも閃光なアスナが作ったウエボス・ランチェロスのことはおいておいて。
……………。
「卵焼きじゃなくてよかったなら、俺の苦労はなんだったんだよ……」
別にスクランブルでもよかったじゃないか。
「アスナ、なんで言ってくれなかったんだよ」
「どうしても卵焼きが作りたいのかなと思ってたよー。まさか、先生の話聞いてなかっただけだったなんて。まあ、お詫びと言ってはなんだけど」
「え、お詫びって」
アスナが口にウエボス・ランチェロスを突っ込んできたので、俺の言葉は中断された。
「……美味しい?」
アスナが首を傾げて訊いてくる。
あまりにも突然の出来事に、俺は頷くしかなかった。
後書き
クライン「授業中にあーんとか!このリア充どもめぇぇ」
和人「そういや最近、お前のDEBAN全くなかったよな」
明日奈「(……今度はキリト君からわたしにやってもらいたいなぁ)」
和人「あっ……悪い、アスナ!そっちに調理中のポップコーンが飛んでった!」
明日奈「えっ?」(口にポップコーンが入る
明日奈「熱っ! ……もう、キリト君のばかー! こんな方法ないよー!」
和人「方法って、なんの方法だよ……? ま、まあポップコーン飛ばしたことは謝るけどさ」
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