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万華鏡

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第三十九話 読書感想文その十

「夏休みを嫌なものってね」
「思う様になるのね」
「そう思うけれどね」
「何かそう聞いてもね」
 どうかとだ、琴乃はここでこうも言った。
「実感が湧かないわね」
「今はそうよね」
「ええ、夏休みって楽しいものだって」
「終わったら悲しいものだって」
「八月三十一日が一年で一番嫌な日でね」
 九月一日がその次に嫌な日だというのだ、人次第でこの順位は気持ちの問題で変わるかも知れないにしても。
「それが変わるのね」
「そうみたいよ」
「ううん、そう言われても」
 今の学生の時はだった。
「本当に今は」
「わからないわよね」
「大人になった時なんて」 
 まだその時はというのだ。
「ちょっとね」
「どうしても」
「ううん、結婚なあ」
 美優も腕を組んで言う。
「本当にそういうのってな」
「一応もう結婚出来るけれどね」
 どうしてもだとだ、彩夏も言う。
「ちょっとね」
「そうだよな、それもな」
「十六歳で結婚出来る様になっても」
 法律的にはだ、だがだった。
「何かね」
「実際高校を卒業するかな」
「大学を卒業してね」
「学生結婚ってあってもな」
 それでもだった、現実はというと。
「特に高校生でなんてな」
「ないからね」
「だからどうしてもな」
「今の私達で結婚ってね」
「想像出来ないからな」
「そうよね」
 こう二人で話す、そしてだった。
 景子もだ、首を捻って四人に話した。
「私もなのよ、実は」
「夏休みのことも結婚のことも」
「どっちも」
「そうなのよね、八月三十一日は嫌な日だし」
 そして九月一日もだ。
「それに結婚してからのことも」
「わからないのね、景子ちゃんも」
「そうなのよね、本当に」 
 琴乃に応えながら他の面々に話す。
「今だって、部活に出て」
「そう、こうして部活に出てね」
 里香が言って来た。
「音楽して身体も動かしてだけれど」
「それも学生だからよね」
「お母さんよく言ってるの。学生時代は色々してね」
「それがいいっていうのね」
「お母さんも学生時代色々したらしいから」
 里香の母もだ、そうしていたというのだ。
「だから私もね」
「里香ちゃんもなのね」
「色々したらいいってね、だから今もね」
「私達もね」
「夏休みも残り少ないけれど」
 だがそれでもだというのだ。
「寂しくなるけれどそれでもね」
「色々していけばいいのね」
「そうして楽しまない?夏休みが終わってからもね」
 それからもだというのだ、色々して楽しむことは。 
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