空想少女は今日もまたキミの肉体を求めてた
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メールと服装
前書き
件名 notitle
本文 れう!危ない!三日月の夜に気を付けてッ
僕の脳内が…警告してる…ッ
そっちはもう行っちゃいけないんだよ!
朝食を終えると、檸羽は何か考え事をしながら二階へと上り始めた。
んー…んー…あー……
その時、自分の部屋から小さな着信音が聞こえてきた。杏からだろうかと急ぎ足で階段を駆けた。
携帯を見ると、やはり杏からの着信音だったようだ。
メールボックスを開きメールを確かめると、二件のメールが受信されていた。一件目はさっき檸羽が杏に送った返信だった。二件目も杏からのメールだった。
「杏どうしたんだろう…」と少し悩むと一件目のメールを開いた
件名 おはよー
本文 あーうん、覚えてるよ。僕が忘れるわけないじゃんww
まぁ未だにれうの夢から醒めないんだけどね…
ていうか、今日の約束覚えてるよね?
杏からのメールは、今時が使う「ww」など笑いを意味した文字がいつも使われている。杏からのメールをいつも見ると、メールを読むとき何が何だか私にはついていけなくなるのだ。
やっぱり、杏は私とした約束をもちろん覚えており、その約束の時間もメールを見る限り知っているようだった。
そして、次の二件目のメールを開いた。
そこに書かれていたものは、檸羽の眼を丸くし手が震えるようなメールだった。
あえてそのメールを無視し、一件目のメールを返信しようとポチポチとボタンを押し始めた。
件名 notitle
本文 そうなのか…いつもごめんね。
やっぱり、空想作らない方が良かったかもね…
そうそうそう!約束の時間って何時からだっけ!?
ど忘れしちゃったよぉ…
「空想」という単語を使うだけで、脳内が過去のことを蘇らせてくる。
昔のこと…過去のことはもう気にしないと、心に決めたのに。それなのに、キミの肉体が見つからなかったから…自分のせいだと決めつけて、勝手な妄想をしてる。そう思うことによって、檸羽は身体を心を脳内を休ませてきたのだ。
メールを送信すると、すぐに杏から返信メールが受信された。
件名 notitle
本文 いえいえーw僕こそごめんねw
んとねー…11時の秋陽駅前集合だよう!
檸羽は「ありがとう!」と文字を打ち、そのまま杏へと返信した。
えーっと…今は…9時45分だから…まだ時間は充分あるな。
杏の家 9時45分同時刻
ふぇーれうかわいいなー…ッ
そんなことを思いながら、宇都宮杏は檸羽からきたメールをぼうっと眺めていた。
杏は、檸羽の長い付き合いの親友でもあり空想の住人でもある。杏には兄がおり、その兄の影響で杏は日本ではまだ数が少ない僕っ娘という癖がついてしまった。そのせいか杏は、コスプレをするのが趣味になりそのキャラになりきる、という檸羽にはまだ分からないことを自ら進んでしているようだった。
ともあれ、杏は完璧なあっち系な人間であり、檸羽とはまた次元違う種類の人間なのだ。
「今日は何を着て行こうかな…んーこの前はロリ系のふりふりワンピースだったでしょ…」
「あーでも…短パンもいいかなぁ…れうは何着てくるのかなぁ……」
女の子らしい(女の子なのだが)独り言をぶつぶつ言いながら、今日の約束事で着てくる服装を決めていた。
僕はどうしようかな…んー分からないですのぉ…
「あっ!そうだッ」と頭上に漫画とかでよくある電気のマークを光らせながら、杏は何かを閃いたようすだった。
檸羽の家 9時55分を少し回った時刻
んー服は後ででいっか…ッ杏なに着て来るのかなー…
檸羽も檸羽で、杏と同じことを考えていた――――――
『れう!!』
『服!れうッhく!』
『なにkてくのッ』
脳内にいつも響いてる単語。
私はそれをいつもいつもいつもいつも「無視」をし続けてきた。
こうなったのは、自分のせいだと分かってるくせに。
後書き
『れう…空想…ごめんn…』
『おはよう!rう!』
『kうそう!危ない!』
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