ソードアート・オンライン~黒の剣士と紅き死神~
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アイングラッド編
SAO編
邂逅
前書き
早めにUP
「…………」
困った。というか自分の馬鹿さ加減にうんざりした。
なにも考えないで飛び出してきて彼がどこに居るか判らないなんて……。
「こんなの、まるで……」
(ばかばかしい!!)
この層にいることはわかっているのでインスタントメッセージを送ってみようかとも考えたが、確信は無いわけで……。
「何かお困りかなお嬢さん?」
「……っ!!」
知った声ではあったが、反射的に剣を構えて戦闘体勢に入ってしまう。
それを見た相手は可笑しくてたまらない様子でお腹を抱えて笑っている。
「レイさん……何か御用ですか?」
ひとしきり笑って満足したようで数回深呼吸し(そのぐらい笑っていた)、呼吸を整えてからあの不敵な笑みを返される。
「たまたま通りがかった大通りのど真ん中で女の子がこわーい顔をしてたら、何事かと思うだろ」
「何でもありません。ではこれで」
この人と話していると何もかも見透かされそうで落ち着かない。
早々に退散を決めて歩き出そうとした。
「そうか、では俺もこの後オラトリオ・オーケストラのやつらと会う約束があるのでもう行くとしよう」
「…………待って下さい」
「何かお困りかなお嬢さん?」
呼び止めた瞬間、さっきと同じ台詞を言ってくる。しかもにやにや笑いながら。
やはり、全てお見通しのようだった。
「彼……カイトが言ってたんですか?」
「アイツは暇を見つけちゃお前のことを探してたぞ。探している人の名前を聞いたのは今日が始めてだったから、気づかなかったが」
「……そうだったんですか」
それに比べて自分は彼のことすら忘れていた。
彼はそれを許してくれるだろうか?
「……さてと、行くか?」
「……はい。よろしくお願いします」
そう言って10歩ほど左へ歩いたところのドアの前で止まる。
「………」
「どうした?」
「からかっているんですか?」
「俺はここから遠いなんて一言も言ってないが?」
「………」
「じゃ、入るぞ」
鋼の自制心で得物を抜くことを抑え、彼に続いてドアをくぐる。
その先にはオラトリオ・オーケストラのメンバー。
中央に立っているのは……久し振りに見る幼馴染みの少年だ。
「……久し振りだな、アスナ」
「……そうね。久し振り」
「じゃ、俺らは夕飯の買い物に行って来るからな」
「ああ……頼んだ」
「おう。行くぞホルン、ユウリ」
「「ちっ」」
「……行くぞ」
渋る2人を半ば引きずりながら彼は出ていった。
正直、ギルドで借りているアパートの前にアスナがやって来た時は出て行くべきか迷った。
うじうじしている間にレイが迎えに行ってしまったが。
「……長いこと探してくれてたんだ……」
「ああ。大変だったんだぜ?最初はプレイヤーネームすら分かんなかったんだから」
「それにしても、2人してリアルと同じ名前にしてるなんて。私は初めてだからともかく、カイト君まで」
「……俺は昔からこれだからいいの。……ちょっと待ってな」
そういって席を立ち、キッチンで例の紅茶(的なもの)を入れて持っていく。
「ありがと……」
自分も一口飲んで息をつく。
「それにしても驚いたぜ。まさかアスナがKoBの副団長だったとは」
「任命されたのは最近だからね。私の前任の人はしばらく前に抜けちゃったみたいで。それ以来は団長が1人で仕切っていたみたいだけど、人数も増えてきたからまたそうゆう役職を作ったみたいよ。それに、それを言うならカイト君だってギルドリーダーじゃない」
「いや…、これはホルン先輩が『いやだ面倒くさい』、ユウリが『何で私がやらなきゃいけないわけ?』、レイが『俺にはギルドは合わない』って言っただけで、実力がどうとかそうゆうのじゃ無いんだよね……」
「でも、KoBと並んで最強ギルド候補じゃない?」
「それは単に少人数だからギルドの平均レベルが高くなっているだけ。今だってレベルの話で言えばアスナの方が高いよ」
「そうなんだ……」
久し振りに会ったのにも関わらず、俺もアスナも今までの話はしなかった。おそらく今まで楽なことばかりではなかったはずで、それが原因かもしれない。
「じゃあ……また明日。頑張ろうね」
「ああ。気をつけてな」
それから20分ほど話してからアスナは帰って行った。
「カイト」
それでも元気そうで良かったなどと考えていると、どこからともなくレイが現れた。
「2人は?」
「最初から買い物は2人に行かせた」
「盗み聞きか?」
「そうだ。だが、理由はある」
「……理由?」
「お前は彼女に会って何がしたかったんだ?」
レイはメニューウィンドウを開き、短く操作する。
「無事を確かめたい?それだけではなかろう」
目の前にウィンドウが現れた。
―決闘申請……
「……っ!!」
「その程度の覚悟ではお前がアスナを守ることは……不可能だ。これから共に生き残り、彼女の隣に立ちたいならば、覚悟を決めろ」
錯覚でレイの紅い目が異様に光って見える。その瞳に映るのは俺。俺の心を見透かし、迷いを断ち切らんとする眼差し。
「抜け、ぶっ叩いて分からせてやる」
最近、巷で囁かれはじめた彼の二つ名、『紅き死神』の代名詞である紅の刀身を持った大太刀が引き抜かれる。
「…………」
―決闘受諾。
後書き
来週は諸事情により、更新ができないため、早めにアップしました。
超特急で仕上げたため、誤字脱字が有りまくりかもorz
時間ができたら、直しにかかるかもしれないので、この話は訂正されるかもしれません。
リオ君の出番はいつになるんだ…。
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