八条学園怪異譚
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第三十九話 狸囃子その八
「あれも」
「そう、口裂け女さんとか花子さんもね」
「テケテケさんもですね」
彼女達にしてもだった、妖怪であるからだ。
「あの人達も妖怪さんですし」
「何処からか話が出て来てそれが噂話になるからね」
ここからだというのだ。
「童話と怪談、都市伝説は似てるのよ」
「そうなるんですね」
「似たものなんですね」
「そうよ、面白いことにね」
茉莉也は二人にこうも話した。
「一緒なのよ、あとこの中等部の泉の場所は」
「何かその辺りお話がごちゃごちゃしてません?」
「体育館とか」
「体育館は高等部の普通科だから」
そこのだというのだ、尚愛実と聖花は商業科なので普通科とは接点が少ない。
「ここは中庭の端にある物置なのよ」
「あそこがですか」
「泉なんですか」
「あそこに十二時に入ると」
ここでも十二時だった。
「面白いことが起こるって言われてるけれど」
「そこが、なんですね」
「泉って言われてるんですね」
「そうなの、あと高等部に文芸部あるじゃない」
茉莉也は部活の話もした。
「あそこ百物語してたけれど」
「あっ、百話全部お話したら何か出て来るっていう」
「それですか」
「それを本にまとめてるのよ、全部ね」
百物語で話した百の怪談話を全てだというのだ。
「百話ね」
「それも怪談ですか?」
「泉になりそうなんですか?」
「何年か前に当時の文芸部の先輩達が百話全部話されたらしいのよ」
百物語を実際にしたというのだ。
「そうしたら実際にね」
「その時になんですね」
「変なことが起こったんですね」
「そうらしいわ、それでそれ以来ね」
茉莉也は二人にさらに話す、中庭の方から聞こえてくる声はさらに大きくなってきている。
「その百話全部読んだらね」
「その時にですか」
「何かが起こるんですね」
「若しかしたらその何かが」
「泉、ですか」
「そうかも知れないんですね」
「そうみたいね。だからね」
それでだというのだ。
「ここの倉庫が泉じゃなかったらね」
「高等部の体育館の倉庫部屋にですね」
「百物語ですね」
「行くといいわ。まあ今の時点であんた達相当色々な場所を回ってるから」
学園内の怪談話のある場所、泉の候補地をそれこそ虱潰しに回っている、そうしていっている結果だというのだ。
「多分近いうちにね」
「泉がですね」
「見つかるんですね」
「近いことは間違いないわ」
その時がだというのだ。
「だから泉を見つけた時は」
「見つけた時は?」
「っていいますと」
「どうするの?その泉を」
茉莉也は自分の後ろにいる二人に顔を向けて問うた。
「見つけた時はね」
「泉をですか」
「どうするかですか」
「そう、封印するの?」
まずはこうするかどうかを問うた。
「それかそのままにするか」
「封印、ですか」
「それですか」
「そう、何か好奇心だけで泉探してる感じだから」
実を言えばそうだ、二人が泉を探している理由はこれといって大それたものではなくただの好奇心や探究心からなのだ。
泉があるなら見つけたい、それでどういったものか確かめたい、こう考えているだけなのだ。それで茉莉也は問うたのだ。
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