私立アインクラッド学園
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第二部 文化祭
第18話 罪
前書き
そろそろ話進めたいんで、イキナリ急展開となっております^^;
てなわけで、番外編にアリスとキリトのお話を入れる予定です。
よかったら見てねということでお願いします。
「キリト、ユージオ!」
俺とユージオが昼食を摂っていると、アリスに声を掛けられた。いつもなら凜としているはずの彼女の表情には、何故だか、どこか哀愁的なものが漂っている。
「3人で写真、撮りましょう?」
「な、なんだよ突然」
俺が訊くと、アリスは切なそうに微笑んだ。
「……キリト、ユージオ。わたしね……」
次の瞬間、アリスは信じられないことを言った。
「わたし、犯罪を犯したの」
俺とユージオは、暫く動くことができなかった。
ユージオが唇を戦慄かせて言う。
「……な……アリス……嘘だろ……なにを、なにをしたんだ……?」
言葉を紡ぐことさえ儘ならないのは無理もない。俺とて、口を開くことさえできていない。
アリスはほのかな微笑をたたえたまま、話し始める。
「学園内でね、小さな女の子がうずくまっているのを見つけたの。その女の子っていうのは、ユイちゃんだった」
──ユイ?
「とっても苦しそうだった。それでわたし、放っておけなくて。神聖術を使って、治癒することにしたの」
困っている人、苦しんでいる人を放っておけないアリスの性格は、幼い頃からよく知っている。
しかし、何故それが罪に問われるというのだ。
「わたし、高位の神聖術を使った。なのに、ユイちゃんの様態が良くなる兆しはなかった……。わたし、悔しくて。自分の無力さがもどかしくて。それで……«禁忌の神聖術»を使ったの」
«禁忌の神聖術»。強力すぎて、一般人には使うことを許されていない術。その中には、とても高位な«治癒術»も含まれていた。
「……それでね、ユイちゃんは元気になったわ。だから、だからね……」
アリスの大きな瞳から、一筋の雫がつたった。
「だからわたし、後悔してない」
アリスらしいといえばアリスらしい。
けれどこんな、こんなの──。
「ユイちゃんを助けられてよかった」
アリスは俺の左手を、両手で包み込むように握った。
「……わたしはこれから、«セントラル・カセドラル»に連行される」
「……えっ」
«セントラル・カセドラル»。
この世界において、警察の上に立つ組織。カセドラル内部には非常に強い«整合騎士»が存在していて、この世界の秩序を守っているのだという。
「悪いことをして連行されるっていうのに、反省どころか後悔さえしてないなんて……ふふ、わたしも変わり者ね。どこかの黒髪の幼なじみにうつされちゃったのかしら?」
幼なじみの少女の、いつも通りの声。しかしその肩は、小刻みに震えているように見える。
「……怖くないのかよ」
俺はようやく開いた口で訊ねた。
「まだ高校生の女の子が……悪いことなんてしてないのに、カセドラルになんて」
「わたしは平気よ」
「え……?」
アリスは俺の額を軽く弾いた。
「法は法、罪は罪だもの。例え、どんな理由があってもね。私が悪いことしたのは事実なんだし」
「……強がるなよ!」
俺はアリスの細い肩を強く掴んだ。
「本当は不安なくせに! 怖いなら、怖いって言えよ! そうじゃなきゃ俺、俺……!」
俺の両眼からも、様々な感情が涙に形を変えて零れ落ちるのを感じた。
「アリスの真面目なところは、昔からよく知ってる。アリスのそういうとこ、俺も好きだけど……でも」
「キリト……」
アリスの声は震えている。
「……わたし、本当は怖い。カセドラルになんて、行きたくない」
濡れた声で、弱々しく呟いた。
「……言えるじゃないか。なら、俺とユージオが全力で君を守るよ。……なあ、ユージオ」
「え? あ、ああ……」
この状況でぽけーっとしていたらしいユージオが、ハッと顔を上げる。
「キリト……それって、カセドラルを敵に回すってことなんじゃ」
「アリスの為だ。そんなのどうだっていいだろ」
俺はユージオの言葉を遮って言った。
俺だって、なにが正しいのかなんてよくわからない。けど、アリスだけは守らなければならない。
たとえ、世界中を敵に回したとしても──。
後書き
和人「急展開にもほどがあるだろ!」
明日奈「ほんとよ! ていうか、どうしてメインヒロインたるわたしの出番がないのよ! ……っていうか、なんかキリアリ展開だし……(ぼそ」
アリス「わたしの死にフラグ的なものがすごいわね……」(ため息
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