八条学園怪異譚
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十九話 狸囃子その二
「そこがわからないのね」
「ううん、ですから一体どういうことなのか」
「わからないです」
「まあわからないならいいわ」
茉莉也は二人が言ってもわからないうえに真相を話すと刺激が強いということを察してそれで言わないことにした。
それでだ、こう二人に言った。
「まあとにかく、中等部の狸さん達はね」
「狐さん達と同じ要領ですね」
「それでいけばいいんですね」
「同じイヌ科だから性格も似てるのよ」
同じ要領でいっていい理由も話される。
「化けるしね」
「そういえば外見以外は似てる様な」
「童話での扱いも」
狐も狸も童話では子供を化かすなりして悪戯をするがそれで怒られるという役どころが多い、ただ狐と狸が入れ替わっただけということも多い。
それでだ、実際にもだというのだ。
「まあ肩肘張らずにね」
「リラックスしてお邪魔してですか」
「遊べばいいんですね」
「そうよ、じゃあ行って来てね」
「あれっ、先輩は来られないんですか?」
「そうされないんですか」
「ああ、お供していいのね」
茉莉也は二人の意外といった感じの言葉に返した。
「そうしても」
「というか来てくれると思ったんですけれど」
「そうされないんですね」
「いや、招待がないとね」
そうでなければだというのだ。
「図々しいって思って」
「先輩最初から図々しいっていいますか」
「普通にセクハラするじゃないですか」
「セクハラは挨拶よ」
茉莉也は二人に対して悪びれずに返した。
「女の子同士だとね」
「けれど図々しくはないっていうんですか」
「そうなんですね」
「そうよ、人間謙虚さを忘れたら駄目よ」
この辺りは真面目に言う、とはいってもだった。
二人はその目で先輩が言いますか?と言いながら口でも言う。この辺りはかなり不信な感じである。
「だからお誘いがない限りはなのよ」
「乗らないんですか?」
「そうなんですか」
「成り行きで自然に行くことはあってもね」
それでもだというのだ、普段は。
「私お客さんは千客万来だけれどね」
「ご自身では、なんですね」
「そうなんですか」
「そういうこと、じゃあいいわね」
また言う茉莉也だった。
「私はお誘いがあって応えさせてもらうから」
「だからですか」
「今回は」
「いつもそうよ、妖怪さん達ともね」
彼等ともそうだというのだ。
「じゃあ今回はね」
「はい、一緒に御願いします」
「狸さんのところに来て下さい」
「ええ、狸さん達だと」
狸では何かというと。
「たぬきそばね」
「ああ、油揚げ入れたおうどんですね」
「あれですよね」
「そう、あれね」
「何か関東では天かすですよね」
「あれを入れるんですよね」
「そうみたいね、関東のことは知らないけれど」
三人共関西人だ、関東のことはよく知らなくて当然だ。
ページ上へ戻る