ソードアート・オンライン ~双子の剣士~
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第三章 デスゲーム開始
「⋯馬鹿馬鹿しい
そんな条件でフィールドに出ていく奴がどこにいる」
『諸君がこのゲームから解放される条件はたった一つ
先に述べたとおり、アインクラッド最上部、第百層まで辿り着き、
そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい
その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう
それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう
諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある、確認してくれ給え』
それを聞くや、キリト達は右手の指二本を揃え真下に向けて振った
周囲のプレイヤーも同じようにアクションを起こし、
広場に鈴の音のサウンドエフェクトが響き渡る
出てきたメインメニューから、アイテム欄のタブを叩くと、
表示された所持品リストの一番上にそれはあった
アイテム名《手鏡》
キリト達はそれをオブジェクト化させる
突然、キリトや周りのプレイヤーを白い光が包んだ
「⋯!!?」
ニ、三秒ほどで光は消えたが、
キリトの目の前にあった風景が大きく変化していた
「お前⋯⋯誰だ?」
「おい⋯⋯誰だよおめぇ」
キリトと目の前にいた男が同じ言葉を吐いた
「うおっ⋯⋯⋯俺じゃん⋯⋯」
キリトは手鏡の中を覗き込んで驚きの声を上げる
そこには、少し長めの黒灰の髪に赤い目という
自分で作ったアバターではなく、現実世界の姿があった
キリトと無精ひげの男が同時に叫んだ
「お前がクラインか!!?」
「おめぇがキリトか!!?」
どうやらボイスエフェクトが停止したらしく
どちらも声のトーンが変化していた
「おい、待てよ、まさかとは思うがソイツがノアか!!?」
クラインが指差した先には一人の美少女がいた
美少女⋯⋯ノアは口を開いた
「そう⋯⋯⋯だけど」
「マジかよ!!?お前女だったのか!!?」
クラインがここまで驚くのも無理はない
ノアは先ほどまで銀髪銀目で長身の美青年だったのだが
今のノアは長い銀の髪に琥珀色の目、身長は約二十センチほども低くなっていて
声はテノールから透き通るようなソプラノを持つ美少女に変わっている
周りのプレイヤーも同じように現実の姿に変わっていた
「⋯なるほどな、確かにこれは現実かもな
ここがもう一つの現実であることを強制的に認識させるために
アイツは俺達に現実そのままの顔と体を再現し、与えた」
「でも⋯⋯でもよぉ、キリト、何でだ!!?そもそも、何でこんなことを⋯⋯⋯⋯!!?」
「⋯⋯もう少し待てば分かるんじゃないかな?」
ノアが指先で真上を示し、そう呟く
『諸君はなぜ、と思っているだろう
なぜ私は、SAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?
これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と
私の目的は、そのどちらでもない、それどころか、
今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない
なぜなら⋯⋯この状況こそが、私にとっての最終目的だからだ
この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った
そして今、全ては達成せしめられた
⋯⋯⋯以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する
プレイヤー諸君の、健闘を祈る』
最後の一言が、わずかな残響を引き、消えた
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