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万華鏡

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第三十八話 夏の巫女その十一

「やっぱりね」
「あれっ、生姜だろ」
 だが美優は琴乃の今の言葉に少し驚いた顔になって返した。
「やっぱりな」
「生姜なの?」
「ああ、おろし生姜でな」
 今素麺で使った生姜と同じくだというのだ。
「それで食べないか?鰹は」
「ううん、生姜も悪くないと思うけれど」
 だがそれでもだとだ、美優は首を傾げさせながら話す。
「やっぱりな」
「鰹のタタキには生姜っていうのね」
「いや、山葵じゃないの?」
 ここでこう言ったのは里香だった。
「山葵醤油じゃないの?鰹のタタキには」
「里香ちゃんはそっちなの」
「ええ、山葵じゃないの?お刺身だから」
 里香は何故鰹のタタキに山葵醤油かというとこのことを根拠にして主張した。
「そうなるんじゃないかしら」
「山葵か、まあな」
「いいとは思うけれど」
 美優と琴乃は里香の主張に理解は示した、しかしだった。
 それでもだと言ってだ、それぞれのものを推した。
「生姜が一番じゃないのか?」
「大蒜かしら」
「あれっ、鰹のタタキだったら」 
 それならとだ、彩夏も参戦してきた。
「マヨネーズ醤油じゃ」
「えっ、マヨネーズ!?」
「鰹のタタキに?」
「マヨネーズかよ」
 三人は彩夏の話に目を丸くさせて返した。
「ええと、どうなの?」
「マヨネーズも悪くないけれど」
「違うんじゃないか?」
 三人共首を傾げさせている、そしてだった。
 四人の意見はそれぞれ分かれていた、だがだった。
 ここでだ、景子がその四人に言った。
「実は私どれでも食べるから」
「この四つ共なの」
「食べるの」
「うん、食べるからね」
 それでだというのだ。
「うち家族でそれぞれお刺身の食べ方が違って」
「鰹のタタキも」
「それも」
「そうなの、私元々は山葵で食べてたの」
 里香と同じ食べ方だったというのだ、最初は。
「けれどね」
「それがなの」
「今は」
「そう、今はね」
 どうかというのだ、今は。
「お兄ちゃんがマヨネーズでお母さんが大蒜でね」
「お父さんが生姜だったのね」
「前にそれぞれの食べ方で食べてみたのよ」
 それでわかったというのだ。
「どの食べ方でも鰹のタタキは美味しいから」
「じゃあどの食べ方でもいいんだな」
「ええ、そうなの」
 その通りだとだ、景子は美優だけでなく他の三人にも話した。
「だから食べましょう」
「ええ、それじゃあね」
「今kらね」
 そのそれぞれの食べ方で食べようとした、そしてだった。
 実際に五人は山葵や生姜、大蒜、マヨネーズで食べていった、そしてそのうえでこう言ったのであった。
「あれっ、どの食べ方も」
「結構以上に」
「美味しい!?」
「そうよね」
「そうでしょ」
 景子はにこりと笑って驚く四人に笑顔で話した、そしてだった。
 自分のマヨネーズ醤油で鰹のタタキを食べて話した。
「じゃあね」
「こだわることはないのね」
 琴乃も納得した顔で言う。
「じゃあ食べて飲んで明日から」
「読書感想文書くのね」
「宿題は全部終わらせないとね」
 こう里香に返す。
「二学期を快く迎えないと」
「駄目よね」
「ええ、だからね」
 読書感想文を終わらせようというのだ、こう話してだった。
 琴乃はあらためて読書感想文について考えた、それで出した作品は。
「美食倶楽部ね」
「それにするのね」
「うん、読んでみるね。何か普通に読書感想文にする作品じゃないと思うけれど」
 タイトルからそう思うにしてもだった、そうして。
 琴乃はタタキと酒を楽しみながらこれからのことを考えていた、夏休みの最後の宿題も終わらせると決めていた。


第三十八話   完


                    2013・6・13 
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