魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
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第19話『それは不思議な出逢いなの? 2』
ベンチに座ってからどれぐらいの時間が過ぎただろうか、日もかげり徐々に暗くなっていく。
ブレイブハート[……マスター…そろそろ暗くなってきたので行動を起こしたほうよいかと]
カズマ「それも、そうだな……よし!とりあえず、町に行くか」
ブレイブハート[そうですね]
勢いよくベンチから立ち上がり歩きだす。目的地はとりあえず翠屋だ。
魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
第19話『それは不思議な出会いなの? 2』
side高町なのは
なのは「……と言うわけで、そのフェレットさんをしばらく家預かれないかなって」
士郎「フェレットね……」
お父さんはう~んと腕を組んで少し考えてから―――
士郎「…ところで、フェレットってなんだ?」
私は軽くずっこける。聞いていたお兄ちゃん達も同じだった。
恭也「イタチの仲間だよ、父さん」
美由希「大分前からペットとして人気なんだよ」
お兄ちゃん達がフォローして説明してくれる。
桃子「フェレットって小さいわよね?」
なのは「う~んと…だいたい、これぐらい」
手でフェレットさんの大きさを表す。
桃子「しばらく預かるだけなら籠に入れて、なのはがちゃんとお世話をできるならいいかも。恭也、美由希どお?」
恭也「俺は特に異存は無いかな」
美由希「私も」
士郎「…だそうだよ」
桃子「よかったわね、なのは」
なのは「うん!ありがとう!」
私は力いっぱいお父さん達にお礼を言う。後で、アリサちゃんとすずかちゃんにメールしとかなきゃ。
sideカズマ・キサラギ
カズマ「……やっぱり、閉まっているよなぁ」
そう呟きながら翠屋のノブに掛っている『close』の札を見る時刻は真夜中、すでにどこの店も閉まっている時間で開いているのはコンビニだけだった。
ブレイブハート[散々探し回りましたからね]
来たことがあるとは言え、たった一度きり。自分の記憶力の無さにほとほと呆れる…。
まあ、ここにいつまでいても仕方が無いからとりあえずその辺りを歩きますか。
カズマ「しかし、どうやって一夜を過ごすかな」
ブレイブハート[最初にいた公園で野宿決定ですね]
カズマ「できれば、それは避けたいんだが―――ん?」
ふと歩きを止めて耳をすませる。
ブレイブハート[……マスター、いまのは…]
カズマ「ああ、今のは間違いなく念話だった。それも一方的なヤツだ。誰かに助けを求めているのか?ブレイブハート、サーチ出来るか?」
ブレイブハート[少々お待ちください………サーチ完了]
カズマ「場所は?」
ブレイブハート[最初にいた公園の近くの病院です…動物の]
カズマ「……動…物?」
ブレイブハート[はい]
カズマ「……一応見に行ってみるか」
ブレイブハート[そうですね]
自分の中で無理矢理納得させて走り出した。
◇◇◇◇◇
カズマ「この辺りなんだよな?」
ブレイブハート[はい。そうなんですが、どうやら対象は先ほどから動いているみたいです]
カズマ「ふむ……それなら早く見つけなきゃな」
その時、ズドーン!っともの凄い音が聞こえた。
カズマ「あそこか!」
再び走り出した。その場所に徐々に近くにいくと声が聞こえてきた。その声は、少し幼いがあの人の声だった。
なのは「レイジングハート、セットアップ!」
そこには、今まさに光に包まれている『高町なのは』さんがいた。
side高町なのは
なのは「ど、どうすればいいの?」
フェレット「コレを!」
フェレットさんに尋ねると赤い玉を私に差し出し受け取る。
なのは「あたたかい…」
フェレット「それを手に目を閉じて心を澄まして、僕の言った通りに繰り返して」
言われたとおり赤い玉を片手で握りしめる。
フェレット「いい?いくよ!」
なのは「う、うん!」
頷いてから両手で包み込む。
フェレット「我、使命を受けし者なり…」
なのは「我、使命を受けし者なり…」
フェレットさんの言葉を繰り返す。すると、手の中にある玉が光り出した。
フェレット「契約のもと、その力を解き放て!」
なのは「えっと…契約のもと、その力を解き放て!」
フェレット「風は空に、星は天に」
なのは「風は空に、星は天に」
フェレット「そして、不屈の心は…」
なのは「そして、不屈の心は…」
フェレット&なのは「この胸に!」
何だろう、この感じあたたかくて優しい。
フェレット&なのは「この手に、魔法を……レイジングハート、セットアップ!」
レイジングハート[stand by ready set up]
そう唱えるとさらに玉から光が放たれた。
なのは「な、なに!?」
フェレット「なんて、魔力なんだ…。君、落ち着いてイメージして!魔法を制御する魔法の杖の姿と君の身を守る強い衣服の姿を!」
なのは「そ、そんな…そんなこと急に言われても…えと、え~と…」
私は目を閉じて想像する。すると、ふと頭の中に杖の姿と服が思い浮かんだ。
なのは「とりあえず、これで!」
そう決めると、私の身体を光が包む。そして、身体を包んでいた光が消えると私の服は想像した服にいつの間にか替わっていた。
フェレット「成功だ!」
なのは「ふぇ!?え!?嘘!なんなの、これ!?」
驚いている私は怪物の存在をすっかり忘れていた。声に気づき振り返った時にはすでに私に向かって飛びかかってきていた。私は思わず目を閉じてしまった。
ガキン!と鈍い音が響く。その音に私は恐る恐る目を開けると―――
男の人「大丈夫ですか?」
知らない男の人が私みたいな服?を着て、剣で怪物を受け止めていた。
なのは「は、はい」
尋ねられたので慌てて答える。
なのは「あの、あなたは…?」
男の人「自己紹介は後だ!とりあえず、こいつを倒さない―――と!!」
剣でなぎ払い、怪物を後ろに吹き飛ばす。怪物は壁に激突し弾け飛んで辺りに散らばる。
男の人「とりあえず、一旦引くぞっ」
なのは「は、はい!」
sideカズマ・キサラギ
カズマ「なるほど、あいつを倒すにはその『ジュエルシード』を封印するしかないのか」
フェレット「はい。あなたも魔導士なら封印は出来るのでは無いのでしょうか…」
おそらくなのはさんであろう少女の腕に抱かれ人語を話すフェレットが尋ねてくる。
カズマ「生憎、封印作業は出来ないんだ」
フェレット「そうなんですか…」
カズマ「そう落ち込まないでくれ俺には出来なくても彼女が居るだろ?」
そう言っておれは、フェレットから視線を少女の顔に向けた。
なのは?「え?わ、私ですか!?」
あなた以外にいないと思われますが。
なのは?「でも私、どうすればいいか…」
フェレット「心を澄ませて、心の中であなたの呪文が浮かぶはずです」
なのは?「で、でも…」
カズマ「大丈夫。俺がしっかり守るから、ゆっくり落ち着いてやるんだ」
親指を上げて言う。すると少女は「わかりました」といって目を閉じ意識を集中させ始める。
猛スピードでこちらに向かってくる怪物が見える。そんじゃまあ食い止めますか。
カズマ「邪魔は…させねぇぞ!うらぁ!!」
剣で斬りかかる。しかし、さっきみたいに飛び散ったら邪魔になるので少し力を抜いておく。
なのは?「わかりました!」
カズマ「よし、それじゃあ後は頼んだぞ!」
なのは?「はい、いきます!リリカルマジカル!」
その呪文を唱えると同時に俺は少女の所まで飛び退く。てか、なんつう可愛らしい呪文だよ。
フェレット「封印するは忌まわしき器、ジュエルシード!」
なのは?「ジュエルシードを封印!」
レイジングハート[sealing mode.set up]
レイジングハートさんからピンク色の光の羽がはえ、さらに光の帯を作りだし相手を巻き付ける。すると、怪物の額にⅩⅩⅠという数字が浮かび上がった。
なのは?「ジュエルシードシリアルⅩⅩⅠ…封印!」
今度は、さっきよりも多くの光の帯を造りだし相手を貫く。そして、貫かれた怪物は光の粒子となって消えた。その場に残ったのは今回の騒動の原因となった『ジュエルシード』だった。
なのは?「これは…?」
フェレット「これが、ジュエルシード。レイジングハートを近づけてみて」
なのは?「う、うん」
言われたとおりに近づけるとジュエルシードはレイジングハートさんに吸収され封印完了。それと同時にバリアジャケットが解除され少女は私服姿に戻る。
なのは?「えっと…終わったのかな…?」
フェレット「はい、あなたのお陰です。ありが……と…う…」
そう言うと、フェレットは安心したのかその場に倒れた。
なのは?「ちょっと!大丈夫!?」
少女はフェレットを抱き上げる。すると、遠くの方からサイレンの音が聞こえてくる。おそらくこの世界の警察だろう。このまま、ここにいると色々とまずいな。
カズマ「とりあえず、ここから離れよう。見つかったら色々まずい」
なのは?「は、はいっ」
少女の手を引き走り出した。
◇◇◇◇◇
カズマ「はぁ……はぁ……はぁ…ここまで来れば一安心…かな?」
なのは?「は…はい…」
少女は返事をすると近くにあったベンチに腰掛ける。俺も、その隣に座る。
フェレット「あの……」
ベンチに腰掛け息を整えていると少女の膝の上から起き上がりフェレットが声を掛けてきた。
なのは?「あ、ごめんね起こしちゃって。怪我大丈夫かな?」
フェレット「あ、はい。怪我はもう平気です、ほとんど治っているので」
そう言うと身体を震わせて巻いてある包帯を解く。
なのは?「ホントだ。怪我の痕がほとんど消えてる。すごい…」
フェレット「助けてくれたお陰で残った魔力を治療に回せました」
なのは?「よくわかんないけど、そうなんだ……ねぇ、自己紹介しない?」
フェレット「え、うん」
フェレットが頷くと少女は「コホン」と軽く咳払いをする。
なのは「私、高町なのは。小学3年生、家族や友達からはなのはって呼ぶよ」
ブレイブハート[やはり、高町なのは一等空尉でしたね]
カズマ『まあ、面影があるからな…』
まあ、俺の知ってるなのはさんも結構童顔だからな。
ユーノ「僕は、ユーノ・スクライア。スクライアは家族名だから、ユーノが名前です」
カズマ『ユーノ・スクライア……どっかで聞いたことあるような…』
ブレイブハート[無限書庫の司書長ですよ]
カズマ『ああなるほど、だから聞いたことがあったのか』
なのは「ユーノくん…か、かわいい名前だね。えっと、あなたは?」
カズマ「え?あ、ああ。俺はカズマ・キサラギ。キサラギが家族名で名前がカズマ」
なのは「カズマさんですか、良い名前ですね」
ユーノ「すみません、なのはさんとカズマさんを巻き込んでしまって…」
ユーノさんが申し訳なさそうに頭を下げるそれを見たなのはさんは抱き上げる
なのは「別に気にしなくて良いよ。私が勝手に手伝っただけだし。それと、私のことはなのはって呼び捨てでいいよ」
カズマ「ユーノさん気にしなくていいよ。あ、俺のこともカズマでいいですよ」
ユーノ「ありがとう、カズマ、なのは」
なのは「うん!」
名前を呼ばれ笑顔で頷くなのはさん。それを見て、バリアジャケットを解除する。
カズマ「さて、家まで送るよ。こんな夜中に女の子を一人で帰らせる訳にはいかないしな」
なのは「あ、はい。ありがとうございます、カズマさん」
◇◇◇◇◇
なのは「あ、ここです。ここが私の家です」
公園からしばらく歩くと結構でかい家にさしかかるとなのはさんが指をさして教える。てか、でか~……。
カズマ「それじゃあ、俺はここで」
そう告げると身体を反転させ来た道を戻ろうとする。
なのは「あ、あの!待ってください!」
呼び止められ、再びなのはさんの方を向く。
なのは「あの……もし、よかったら今日は家に泊まっていきませんか?助けてもらったお礼もしたいですし」
カズマ「え、でも……」
なのは「お母さん達には私から説得します。だから…」
ブレイブハート[ここまで言われたら断れませんね]
カズマ『……だな』
カズマ「それじゃあ、お願いしようかな。でも、無理しなくていいから、駄目なら駄目で構わないから」
なのは「は、はい!任せておいてください」
その後、お兄さんの恭也さんに見つかりなのはさんは怒られるがお姉さんの美由希さんに助けられ事なきを得た……が、一緒にいた、俺に対しては家族の皆さんからかなりの質問攻めにあった。士郎さんにもかなり注意をされた。
こんな事があったが結局、夜も遅いしなのはさんを送って来てくれたということでこの日は高町家に泊めてもらう事になった。
なんとか野宿を回避出来た事を内心喜びつつ客間に誣いてある布団に入る。
カズマ『なあ、ブレイブハート』
ブレイブハート[なんですか?マスター]
みんなが寝静まったあとしばらくしてブレイブハートに声をかける。
カズマ『これからどうなるんだろうな』
ブレイブハート[解りません。不安なんですか?]
カズマ『不安……もあるが。あの後、ティアのヤツ、大丈夫だったかなって気になってな』
ブレイブハート[彼女なら大丈夫だと思われます。私たちは、どうやって元の時代に戻るかを考えましょう]
カズマ『……それもそうだな。そろそろ、寝るか。お休み、ブレイブハート』
ブレイブハート[お休みなさい、マスター]
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