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ヘタリア大帝国

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TURN84 山下の焦りその六

「陸軍は降下戦及び陸上戦担当ですね」
「そして治安維持だ」
「それならです」
「艦隊は指揮出来ないというのか」
「それは海軍です」
 日本は海軍の軍服を着ている、山下はそれも見て微妙に嫌なものを感じているがそれは表には出さない。
「ですからここは」
「止めろというのか」
「少なくとも今すぐに艦艇は回せません」
「そもそも旧式の艦艇もです」
 また秋山が話す。
「全て使用していまして」
「それでか」
「とても陸軍まで回せません」
 そうだというのだ。
「ですから諦めて下さい」
「くっ、わかった」
 ないものは仕方がない、それでだった。
 山下も遂に諦めた、そのうえで。
 ペルー攻略は普段通り海軍が星域周辺の敵艦隊等を退けてから陸軍が惑星攻略にあたることになった、だが。
 この話を目の当たりにした一同はそこに深刻なものを見た、特に。
 韓国、陸軍と縁の深い彼は密かに彼の軍事顧問である平良にこう問うた。
「山下さんどう思うんだぜ」
「あの発言には私も驚きました」
 平良は感情を表情に出さないがそれでも言った。
「有り得ないです」
「そうなんだぜ。陸軍が艦艇!?」
「言うなら陸戦部隊が艦艇を持つのです」
「無茶苦茶なんだぜ」
「そうです、あれはかなり」 
 韓国軍は陸軍も海軍も統一している、韓国がそうさせたのだ。
 それで陸軍と縁の深い彼も言うのだ。
「余計なトラブルの元と思っていたんだぜ」
「今の様な事態がですか」
「何かやばそうと思っていたんだぜ」
 それでしかなかったというのだ。
「俺も日本軍を見ていて」
「我が国の伝統ですので」
 陸軍と海軍に分かれているのはというのだ。
「以前より衝突はありましたが」
「それでもあれはないんだぜ」
「まさか陸軍が艦艇を持とうとは」
「何であんなこと言ったんだぜ?」
「おそらくですが」
 こう前置きしてから答える平良だった。
「焦っておられるのかと」
「焦り?」
「はい、銀河での戦いはまず艦隊が戦いますね」
「それから陸戦部隊が惑星を占領するんだぜ」
「全てまずは艦隊戦からです」
 つまり主は艦隊、従は陸戦隊だというのだ。
「ですから日本軍にしましても」
「海軍主体なんだぜ」
「それは韓国殿もご存知ですね」
「よくわかったんだぜ」
 日本にいてだというのだ。
「やばい感じはしていたんだぜ」
「それがです」
「今回噴き出したんだぜ」
「もっと言えば前からでしたが」
 問題になってはいた、実際に東郷と山下の対立、山下が一方的に向けているものだがそれは日本中枢において問題になっていた。
 それは韓国も察してはいたのだ。
「遂になんだぜ」
「どうしたものでしょうか」
 さしもの平良も難しい声である。
「ここは」
「平良さんでも解決案を見出せないんだぜ?」
「難しいです」 
 あくまで嘘は言わない平良だった。 
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