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マジカル☆ウィッチルフェイちゃん! 

作者:メア
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マジカル☆ウィッチルフェイちゃん入学式に遅刻する

 
前書き
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 楽しい読書に集中していると時間を忘れてしまいます。そんな訳で、気づけば数時間後とか、結構あったりします。

『ルフェイ、聞こえるか! ルフェイ!!』

「お兄様?」

いきなり大音量の念話が届いてきました。

「どうなさったのですか?」

『お前、入学式の存在を忘れているだろう! もう始まって、新入生代表の挨拶だぞ!』

「ええっ!? そんなはずは……あっ」

時計を見ると、時刻は既に入学式が行われる夜となっていました。私は慌てて転移します。




ジェラルド・ペンドラゴン




 わしは今、非常に困った状態に居る。この学園の学園長をしているのだが、まさか新入生代表が遅刻してくるとわな。

「新入生代表、ルフェイ・ペンドラゴン。居ませんか?」

とにかく型破りで規格外の存在はマーリンの娘に似ているとはいえ、我が孫娘の教育はどうなってるんだと問いただしたい所だ。朝方に膨大な魔力を使った解析魔術を使用したあとは行方不明になっておるし。わしは慌てる教員を大人しくするのに苦労したのだ。というか、あのマーリンが子育てなど出来るはずがない。どうせ、弟子感覚でしか育てておらんのじゃろうな。

「ルフェイ・ペンドラゴン。居ませんか?」

「はいはい、ここにいますよー」

声を聞こえたと同時に有り得ない程の魔力が溢れ出し、瞬時に講堂の防御結界が破られて床に転移術式が展開されおった。そして、術式の中心にローブ姿のぼやけた
小さな少女が現れる。あの馬鹿者は直接転移してきおった。それと同時に今まで張っていたであろ結界を解除する。そこには確かにわしの孫娘たるルフェイが居た。結界を強制的に解除したために膨大な魔力を巻き散らかしてだ。それによって、一気に周りの魔力濃度が上昇し、魔力の低い生徒は顔を真っ青にしておる。そして、それらを放ちながらも平然としているルフェイに教師陣は驚愕し、恐怖しておる。恐怖した奴らはこの講堂の転移阻害を含む防御魔術を軽く無効化された事にじゃろうが。

「あっ、お爺さま。お久しぶりでございます」

「うむ。じゃが、学園では学園長と呼べ。それと式典の最中じゃ。さっさと魔力を引っ込めて挨拶を述べよ」

「はっ、はい、ごめんなさい!」

ルフェイは直ぐさま魔力を収めるが、10分の1程度に減った。だが、それでも充分に教師全員分ぐらいの魔力量がある。マーリンからの報告に魔力制御に“多少”難有りと書かれておったが、魔力を抑えるようにしてこれだというのに、多少で済むわけは無い。いや、そもそもあやつの感覚がおかしかったな。上級の魔術師を坊や扱いする奴じゃし。

「そっ、それでは、新入生代表、ルフェイ・ペンドラゴン。お願いします」

「本日は私達新入生の為にこのような盛大な式を挙げて頂き誠にありがとうございます。私たちは伝統ある黄金の暁学園に入学の日を無事に迎えられました。真新しいローブを身にまとい、私たちはこれからの学園生活への期待や希望に胸を大きく膨らませております」

存外、この辺は普通じゃの。これなら問題ないかの?

「これからの6年間を黄金の暁学園で過ごす日々の中で、黒魔術、白魔術、北欧魔術、精霊術、錬金術を始め、私たちは様々な技術を極め、それらを統合して新たなる可能性を模索する為、誠心誠意、努力を惜しまず修行に励みます」

まて、全てを極めるつもりかっ!!
しかも、無意識かそれを他の生徒にまで強要しておるぞ!

「また新たな経験をしていくにあたり、各種技術を極めた諸先生方や在学生の先輩方、保護者の皆様にはご迷惑をお掛けすることも、またお力をお借りすることもあるかと思います。その時はどうぞ時には厳しく、そして時にはあたたかくご指導下さいますよう、よろしくお願い申し上げます」

教師や在校生にも要求しよったの。教師の中には顔を真っ赤にした奴も居れば、笑ってる奴も居る。ルフェイクラスの者に指導するならば超一流の者達でしか有り得ないのじゃ。故に笑って楽しそうにしている奴らは本当に超一流の奴らじゃ。

「私たち新入生一同は学園の生徒としての誇りを持ち、家族や先生方、そして今日(こんにち)まで黄金の夜明け団の伝統と歴史を築き守ってこられた先輩方に恥じることのないように一つ一つの行動に責任を持ち、例え生死の堺を彷徨う事になろうとも、魔術を研究し、研鑽を積み。冥府魔道を突き進み、我ら魔術師の悲願である生命の樹の理を解き明かしたいと思います」

自分は生死の堺を何度も彷徨うておるからって、それが当たり前という感覚になっておるんじゃろうな。ひょっとして、他人の魔力が少いのは隠しているからとか、謙遜しているだけとか思っている可能性もあるな。もしくは魔力が単純に低いとしか思っていないのかもしれない。ルフェイの近くで年が近いといえば兄のアーサーじゃが、あやつの魔力は上級魔術師数十人分はあるのじゃが。

「この6年間で私たちはそれぞれの目標に向かって翼をおおきく広げ、夢をつかみます。その為にどうぞよろしく、ご指導の程、お願い申し上げます。本日は誠に有難う御座いました。新入生代表、ルフェイ・ペンドラゴン」

ルフェイの顔にはやりとげた感がありありと出ている。むしろ、褒めてと言わん感じじゃ。マーリンと練習でもしたか?
やつは知ってるはずじゃし……もしかして、これはこの頃腑抜けている魔術師へのテコ入れか?

「うむ。見事な挨拶じゃった。下がって良いぞ」

「はい!」

元気よく返事をするルフェイにわしは一つ聞いてみたい事が出来た。どうせなら、あのマーリンに乗ってやるわい。

「お主の目標はなんじゃ?」

「わ、私の目標ですか?」

「そうじゃ」

「私の目標……それは打倒レヴィアたんと、フェンリルちゃんとの契約し、最強の魔女(ウィッチ)になる事です!!」

拳を力強く握ったルフェイより、その言葉が響いた瞬間。全員が驚いた。

「可能だと思っておるのか? 人の身でそのような事を……」

「やってやれない事は有りません。化け物を倒すのは何時だって人間です。特に光と闇のバランスが崩れた今ならば可能なはずです!」

その言葉を聞いた一部の人間が卒倒した。わしも卒倒仕掛けた。どこでその情報を知ったのかは知らんが、一部しか理解しておらんのじゃろうな。神が死に魔王も死んでいるという事に。そう、レヴィアタンも死んでいるのだから。改めて本を持ちながら戻ろうとするルフェイを見て、わしは気付いた。

「おい、こら待て馬鹿孫」

「はい?」

「お前、それは持ち出し禁止じゃバカモン!!」

「ひっ!?」

「というか、どうやって地下に入ったっ!!」

「えっと、実力無き者は入るなと有りましたし、見たら私でも簡単に解析できそうだったので、実力があると判断して入りました」

ルフェイの言葉に一部教師が笑い転げていたり、納得した表情をしていた。そいつらは封印を担当した奴らだ。奴らの仕事は超一流だ。おそらく、その階にある魔導書では脳が破壊されないぐらいの実力が無いと開かない仕掛けだろう。

「わかった。取りあえずそれは持ち出し禁止じゃ。こっちに渡しなさい」

「え? 嫌ですよ。まだ解析できてないんですから」

「後で渡してやるから渡さんか」

「あぅ~」

魔導書を取り上げると、取り返そうと手を伸ばしてくるので片手で頭を押さえて止めておく。

「さて、この残念な馬鹿孫は放置して丁度良いので説明する。図書館の地下には卒業生や在校生が作った魔導書が数多く貯蔵されておる。魔導書は実力無き者が読めばたちまち狂って死に絶える。読むためには数々の防壁を用意し、魔導書の防御機構を解読していかなければならない。よって、教師の認めた者以外の入館を禁じておる。だが、扉に施された仕掛けを解除出来た者には教師の随伴なしでも許可を与えよう。いいか、この赤いラベルの本を上でもし見つけたら……絶対に読むな。直ぐに先生に知らせるのじゃ。諸君らの命がかかっておるからの」

手をバタバタとさせて取ろうする姿は可愛いが、だんだん魔力が高まってきておるの。そろそろ魔術を使い出すか。

「ほれ」

「わ~い」

渡してやると思いっきり喜んでいる声をあげよった。無表情じゃが。

「後で反省文を提出するように」

「あぅ」

一瞬で気分が落ち込んだ声を出して、ルフェイが戻っていった。それからの式典は特に問題なかった。強いて言うなら、ルフェイが出した反省文が、“反省はしています。でも、後悔はしていません”と書かれている事だった。それしか書かれていないのだ。ちょっと本気で胃が痛くなってきた。ちなみに提出された原稿用紙は104枚。書かれていたのは魔導書の解析結果と載っている術式の改造案だった。明らかに書きながら解析しておったという事じゃ。わしはもう、その反省文もどきを教師に投げ与えてやった。そいつらは喜んでおったがの。しかし、本当に他者を顧みない探求のみを求める古き魔女になるつもりか?
一度、教育方針を確認せねばならんな。










 
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