| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

剣の世界の銃使い

作者:疾輝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

プロローグ

無限の蒼穹に浮かぶ巨大な石と鉄の城。それがこの世界のすべてだ。
職人クラスの酔狂な一団がひと月がかりで測量したところ、基部フロアの直径はおよそ十キロメートル、その上に無慮百に及ぶ階層が積み重なっているというのだから、茫漠とした広大さは想像を絶する。総データ量などとても推し量ることが出来ない。
内部にはいくつかの都市と多くの小規模の街や村、森と草原、湖までが存在する。上下のフロアを繋ぐ階段は各層に一つのみ、そのすべてが怪物のうろつく危険な迷宮区画に存在するため発見も踏破も困難だが、一度誰かが突破して上層の都市に辿り着けばそこと下層の各都市の《転移門》が連結されるため誰もが自由に移動できるようになる。
そのようにしてこの巨城は、二年の長きに渡ってゆっくりと攻略されてきた。現在の最前線は第七十四層。
城の名は《アインクラッド》。約六千もの人間を飲み込んで浮かび続ける剣と戦闘の世界。
またの名を──

《ソードアート・オンライン》。





「おっ、いたいた・・・」

俺はお目当てのモンスターを発見した。100メートル以上離れた先に、一匹のモンスターが佇んでいた。
モンスターの名前は《ブルーサラマンダー》。このエリアではレベルも高く、滅多に出現しないモンスターだ。サラマンダーというだけあって見た目はよくRPG等で見るトカゲ男なのだが、こいつは異様に逃げ足が早いという特徴を持っている。そのため、奴から出るアイテムや素材は貴重でプレイヤーたちから重宝がられている。しかし、逃げ足が早いため、エンカウントできる可能性はかなり低いし、滅多に出ないうえにすぐ逃げられる。簡単に言うと、素材版のはぐれメタルだ。
見つけたはいいが、このまま正面から突っ込んで行っても普通に逃げられるだけだろう。いくら俺が敏捷地に特化のステ振りをしているとはいえ、流石にあいつに走って追いつくのは辛い。
だが、俺には奴に気づかれず一撃で倒すことができる、まあ、いわば裏技が存在していたりするのだが。
周囲の索敵をして、周囲に他のプレイヤーがいないことを確認してから、右手を振りメニューウインドウを呼び出す。
アイテムリストの中から、一つを選んで装備フィギュアにスクロールする。そして、スキルウインドウを開き、武器スキルを変更。ここまでやれば分かるだろうが、俺の持っている裏技。それは、とある武器への変更だ。
ここまで操作したところで、腕に新たな重みが加わる。
まず、目に付いたのは燃える様な(くれない)。紅をを基調とした色合いで、黒や白で細部が色付けされている・・・・


《銃》だ。


銘は《クリムゾンフレア》、銃の中でも大型のスナイパーライフルの分類に入るらしい。俺が作ったわけではないし、元の世界でも銃に詳しかったわけではないので、そこら辺はよく分からないが。
この世界、SAOの謳い文句《剣がプレイヤーを象徴する世界》を完全に壊す、俺のユニークスキルだ。
出現の条件がはっきり判明していない武器スキル、ランダム条件ではとさえ言われている、それが《エクストラスキル》と呼ばれるものだ。さらに、十数種類知られているエクストラスキルのほとんどは最低でも十人以上が習得に成功しているが、習得者が一人しかいないエクストラスキルを《ユニークスキル》という。今まで発見されて世間に広まっているユニークスキルは、とある有名人の《神聖剣》だけだ。
一応習得者は俺一人しかいないと断言はできるが、実はこのスキル、俺は出現情報を分かっている。そう言う意味では、ユニークスキルではないのかもしれないが・・・・。
ほかのことを考え始めた頭を切り替え、再度視線の先にいるモンスターに意識を向ける。
銃を構え、取り付けてあるスコープを覗く。一気に視界が近くなり、やつの姿がありありと見える。周囲を警戒してはいるが、まだこちらには気づけていないようだった。狙いは確実に一発で落とすために頭。わずかに銃身を動かし、照準を頭に合わせる。
念のためもう一度周囲の索敵。問題無い。
準備完了。引き金を引く。

タァン

乾いた銃声が鳴り響く。一応、消音器(サイレンサー)もある事はあるが、周りに誰もいないし、あれをつけると命中率が落ちるので普段はつけてない。
銃から放たれた弾は、狙いに寸分違わずブルーサラマンダーの頭に吸い込まれていく。

ドスッ

弾が狙いどうり命中し、2度目の音が鳴る。その瞬間、ガラス塊を割り砕くような大音響と共に、微細なポリゴンの欠片となって爆散した。
よし、終了。
完全に消滅したのを確認し、もう一度右手を振る。アイテムリストに素材が入っているのをちらりと確認しながら、銃を仕舞い、もとの武器へと戻す。
できるだけ(これ)は隠しておきたい。別にしつこくつきまとってくる程度なら我慢できるだろうが、下手にプレイヤーどもに見つかって騒がれたら堪ったもんじゃないからな。

「さてと、帰りますかね・・」

目的はもう達成したし、もうここにいる理由もない。それでなくても、この層のモンスターとまともにやりあったら苦戦することは見に見えてるし。
元来た道をもどりながら、転移門がある主街区に向い進み始める。



全てはあの時始まった・・・・・ 
 

 
後書き
どうも、疾輝です。
まだまだ未熟ですが、これからよろしくお願いします。
あと、小説内に銃が出てきますが、作者は余り銃について詳しくないので、そこのところは目を瞑ってもらえるとありがたいです。
 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧