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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?

作者:海戦型
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されど転生者は龍と踊る・part7

 
前書き
2000ptの大台突破である。記念に自分の小説を振り返って一言。

お前らもっとチート能力使えよ!

光龍「あれ以上どう使えと!?」
苗「唯でさえ暴発するのにホイホイ使えるかぁぁーー!!」
黒衣「そもそも使うタイミングが無い・・・」 

 

物事には理由がある。
例えば全然面白くないと感じる小説が妙に流行ったりするのは、その作品に流行に敏感な若者が惹かれる要素、もしくはその作品を面白いと誤認させる要素が存在するからだ。逆を言えば面白くない作品でも一定の要素と運があれば内容と不釣り合いな評価を得ることが出来る、という事でもある。それらも含め、因果関係というものは存在する。突然大量の人が動くなら、それは理由や原因無くしては起こりえない。

物事には二面性がある。
例えば企業が節電をするのはエコを気にしている訳ではなく、それが合法的な電力予算削減につながるからこそ実行しており、逆にそのメリットが存在しなければ節電の動きも消極的になる。無論エコアピールによりイメージアップを図れるという利点もあるが、善行に見えることでも必ずしもそれがきれいな理由で行われているとは限らない。たとえボランティア活動であっても、それも「自分がこういうことをしたい」という意志に裏付けされている。表と裏が重なる瞬間があるからこそ人は物事を起こすのだ。

物事には順序がある。
時々ゲームやアニメの影響で殺人事件が起きたと主張する人間がいるが、そういう人間は得てして「順序」という概念を正しく理解していない。例えば、ゲームをしていて突然「そうだ、人を殺そう」と考えるようになるのではなく、社会的もしくは家庭的な立場やそれによる精神の抑圧、あるいは人間関係や理想と現実のギャップなどさまざまな要素によって自制が利かなくなってゆき、そんな不安定な精神がトリガーを引く「切っ掛け」を探したため偶然そういったものに結び付いただけだ。始まりがあり、蓄積があり、そして切っ掛けで爆発する。こう順序だてて解釈すればその「切っ掛け」とゲームを結び付けるのに少々無理があることが分かるだろう。物事が起こるのには大抵どこかで見えない「理由」が重なっており、それを原因として物事が起きるのだ。


・・・だが、同時にこうも考えられるのではないか。「それが分かった所でどうだというのだ」、と。
人が殺人に至るまでの全てのメカニズムが解明したところで、人殺しがこの世からいなくなるわけではない。例え自己満足行動だと分かっていても、それで人がボランティアを止めるわけではない。そして―――


「いくら今の私がフェイトを可愛がっても、それで今までの仕打ちが帳消しになる訳じゃない・・・そんなことはとっくに分かってるのよ!でも、でもそれじゃ今更フェイトに何て言って謝ればいいっていうのぉぉ~~~・・・」

詳しいことは知らないが、大吟醸片手におんおんと泣いているプレシアさんに困り果てながら俺はつまみをかじった。チーズ鱈超うめぇ。

「アリシア・・・私を導いてくれ・・・」

ほわんほわんと脳内イメージを画像にして頭の上に浮かべるプレシア。無限力のちょっとした応用である。だがイメージした人物はプレシアににっこりと笑い掛け、こう言って帰っていった。

『自分で考えたらいいと思うよ?』

「考えて思いつかないから聞いてるのにぃぃぃ~~~!!」
「どぉしたもんかねぇ・・・?」

問題は深刻だ。出来れば俺を巻き込まずに考えてほしいのが本音だが。



プレシアとリニスからざっくり聞いた話をこれまたざっくり説明しよう!

プレシア、研究中に事故を起こしてアリシア死亡。(全ての始まり)
アリシアを生き返らせるために様々な悪行に手を染める。(暴走)
ようやくこぎつけたプロジェクトFでフェイトを完成させる。(人造魔導士)
しかし記憶の転写はできたはずなのになんかアリシアと違う。(失敗)
こうなりゃヤケだとアルハザード目指してジュエルシード集め。(民間輸送機襲撃)
無限力と運命的な出会いで自分の間違いを自覚する。(起源覚醒)
表面上は関係改善、だがそれって根本的な解決になってない?(ミストさん状態)

という感じ。

・・・俺にどうしろというんだ。というかもうアリシアの事全部ばらしちまえよ。

「ばらして嫌われたりフェイトが人格崩壊起こしたらどうすんのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「お・れ・が・知るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!天才なら自分で考えろやダァホッ!!」

こうしてプレシアがビビってる所為で話が無限ループに突入。普段あんまり大声出してないから喉が痛いんだよ。

「そもそもアンタ今までいろいろやらかしてきたんだろ!?悪の親玉みたいにドーン、バーン、ズギャァァーーン!!みたいな感じで構えて堂々と伝えればいいんだよ!!」
「無理よ!もし万が一フェイトに『母さんなんて大っ嫌い!』何て言われたりした日には私のハートがインフェルノでグボハァッ!!?」
「こいつ想像しただけで血を吐きやがった!?」

わーわーぎゃーぎゃー騒ぎまくる9歳児といい大人。ちなみにリニスはフェイトとアルフがこの話し合いを聞いてしまわないよう二人を連れて遠出中。今この庭園には光龍とプレシアの二人っきりである。間違っても「やっと二人っきりになれたね・・・?」みたいな展開は起きない。

「よーし、こうしよう!先ずはリニスを通じてフェイトの心情を探ってみようか!」
「それは建設的なアイデアね!フェイトを知り無限力を知れば百戦危うからずって言うし!」

そんなことわざ使ってるのアンタ一人しかいねーよ。何はともあれ作戦開始だ!!



『先ずは何を聞きますか?』
「まずはそうね、今までの私と今の私の態度の違いとか訊いて私を嫌ってないかブゲフォ!!」
「吐血するほど声に出したくないか・・・あーリニス、始めちゃってくださいな」
了解(ラーサ)

血を吐いて倒れ伏したプレシアの気道を確保しつつ事の成り行きを待つ。
肺がやられている影響で吐血したようだが、それにしては出血の仕方がおかしいな・・・肺からの出血ならもっと血がとめどなくあふれて呼吸すら大変になると思うんだが、突発性吐血なんて聞いたことないぞ。ギャグ補正か?そもそも今更ながら何で肺やられてんだこの人。病気だったの?

『終わりました』
「どうだった?」
『ぶっちゃけ不審には思っているようです。ただ、「いつかまた優しくしてくれる日が来る」という願いがかなったことの方が大きくてわざわざそれを聞こうという気分にはならないと』
「なるへそ・・・」
『あと、アリシアの記憶転写が正確過ぎたせいで「何故プレシアは昔自分の事をアリシアと呼んでいたのか」という疑問を持抱いているようです』

後ろでプレシアがビクッて動いた。

『更に研究室の奥、アリシアの遺体が保存してある場所をプレシアがちらちら見ていた事にも気づいていて、その部屋に自分に都合の悪いものがあるのではないかと疑っているようです』

後ろでプレシアがビクビクッて動いた。

『ついでに今までにない優しい視線を浴びる事で、プレシアはひょっとして自分に大きな隠し事をしているのではないかと勘づき始めています』

後ろでプレシアがビクンビクンしてる。いい加減うっとおしいぜ!

「・・・おいシングルマザー」
「・・・・・・あによ」
「年貢の納め時だ。全部を自白(ゲロ)っちまうしかねーぞこれ」
「・・・ぉうえ、血の匂いが気持ち悪・・・おぼろろろろろろろろろろ!!!」
「そっちのゲロじゃねえよ!って言うかガチでゲロってんじゃねーよ床が、床が!!あ、こらてめーこっち来んな酸っぱい匂いする!」

ゲェボの6割が血液で非常にスプラッタだったと言っておこう。掃除は仕方なく手伝ってあげました。





結局プレシアは全てを正直に話す決断をした。

これはあの二人の問題だから、俺はそれに口は出さずに応龍皇のデータベースを漁って二人の語らいが終わるのを待った。使い魔二人も俺と一緒にデータベースを漁った。

実際に二人が何を想い、どんな事を言い、どう感じたのかは俺には分からない。リニスとアルフは使い魔の精神リンクでおおよその状況を察知していたようだが、俺にそんな便利な力はない。

ただ、プレシアもフェイトも説明を終えて俺達の所に来たときには目が充血していた。

そして、二人の手は優しく互いの掌を握りしめていた。

それはつまり・・・そういう事だろう。泣き顔がそっくりの似たもの親子だと笑い飛ばしてやった。



そして・・・



「では採決を取ります。賛成3、反対1。多数決を以て・・・光龍の名前をシャイン・テスタロッサと改名します」
「だーかーらー!シャインだとリクセント公国の王女様と被るんだって!!」
「この世界にリクセント公国は無いから問題ないでしょう」
「大体それが嫌なら代案ちゃんと考えればよかったでしょうに・・・」
「ドラゴン・テスタロッサのほうが良かった?」
「もっと嫌だよ!だっさい上にどっかの革命家と同じ名前だよ!!」
「まぁまぁいいじゃないか!これで光龍・・・じゃなくてシャインもテスタロッサ家の一員だよ!」

俺は何故か姓までテスタロッサ家の一員になってました。うっかり名前が無いとか漏らすんじゃなかったなぁ・・・でも、悔しいけどこっちの方がちゃんとした名前っぽいな。

親も親族もいないからってこの人たちは気を利かせ過ぎだろうに。不覚にもこの話を言いだされたときは感動で涙出そうになったよ。

「よろしく、息子!」
「よろしく、兄妹!」
「「よろしく、新しい家族!」」
「へぇへぇ、よろしくお願いしますよ・・・まったく」

こうして光龍はその日よりシャイン・テスタロッサを名乗ることになった。
 
 

 
後書き
個人的に二次創作でオリ主、神様転生、チート能力って組み合わせは一番駄作が多いと思ってます。その分ハードルも低いから制作する側としてはすごく気が楽。はっちゃけてる作品は結構面白いしガチ書き込みしてる作品はクオリティが安定してる。いかにマンネリ展開を打壊すかで面白さが大きく左右されます。そういう意味で、この作品はとりあえずやってみたって部分がすごく大きいです。さらにリリなのは特に上記の組み合わせが多いからこんな作品はすぐにほかの作品に埋もれると当初は本気で思ってました。それがいつの間にやらこんなにたくさんの人が見ていて・・・面白いってなんなんでしょうね?作者に判らない面白さがこの作品にあるのかなと考えると、この作品には考えさせられることが多いなーと思う今日この頃。


つまり何が言いたいかというとですね・・・単位落としちゃった☆(・ω<) テヘペロ 
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